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勤怠管理システムの利用状況(2019年)/前編

「働き方改革関連法」が施行されてそろそろ1年がたとうとするが、組織における勤怠時間の管理意識はどう変化したのか。2018年の調査結果と比較するかたちで、勤怠管理システムの利用実態を探った。

» 2020年01月23日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2019年12月20日〜2020年1月10日にわたり、「勤怠管理システムの利用状況」に関する調査を実施した。全回答者数130人のうち、情報システム部門が35.4%、製造・生産部門が18.5%、総務・人事部門が8.7%、経営者・経営企画部門が5.4%という内訳であった。

 今回は、勤怠管理システムの「導入状況」「満足度」「導入しない理由」などを2018年に実施した同様の調査結果と比較した形で分析。グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

「スマートデバイスで打刻」が2018年と比べて約8倍に

 最初に、勤怠管理システムの導入率の変化を探るために「勤務先で勤怠管理システムを導入しているかどうか」を尋ねたところ、「導入済み」が86.9%と全体の約9割を占めた。2018年11月に実施した同調査と比較すると「導入済み」の割合が6.4ポイント増加しており、この1年で勤怠管理システムの導入が微増した結果となった。

 次の問いでは、勤怠管理システムで採用している打刻方法を尋ねた。結果は「Webシステムへ直接入力」が最多で62.8%、「IDカード認証」30.6%、「PCへのログオンにより自動打刻」25.6%、「スマートデバイスで打刻」8.3%と続いた(図1)。2018年の調査と比較すると「PCへのログオンにより自動打刻」が約2倍に、「スマートデバイスで打刻」が約8倍に増え、いまだWebシステムへの直接入力が大多数を占めている。しかし、ログインするPCや入力するデバイスはスマートデバイスなどに取って代わっている様子がうかがえる。理由として、働き方改革を推進する企業を中心に、直行直帰など効率的な働き方を許可し環境整備を進める企業が増えていることが考えられる。

図1 採用している打刻方法

 勤怠管理システムを導入済みまたは検討中の企業に対して、導入目的やきっかけを聞いてみると「従業員の勤務実態を正確に把するため」66.1%、次いで「働き方改革関連法などの法令対応のため」35.5%が挙げられた(図2)。ここ1年で勤怠管理システムの導入率が増加した背景として、2019年4月1日施行の「働き方改革関連法」への対応が大きく影響しているといえそうだ。働き方改革関連法には、終業から始業までに最低10時間の休息時間を義務付ける「勤務間インターバル」や「長時間労働の上限規制」といった項目が含まれおり、勤怠時間の管理意識が高まったことによるものとも考えられる。

図2 勤怠管理システムを導入した目的

今の勤怠管理の不満の原因は、実態に即していない時間管理か

 次に導入済みの勤怠管理システムに対する「満足度」を尋ねた。その結果「満足している」が19.5%、「やや満足している」が46.9%、「やや不満である」が25.7%、「不満がある」が8.0%となり、まとめると66.4%が「満足」と回答する結果となった(図3)。これを2018年11月の調査結果と比較すると、「満足」と回答した割合が8.3ポイント減少しており、勤怠管理システムの導入割合の増加に反比例して満足度が下がっている現状が見て取れた。

 「やや不満である」「不満がある」と回答した層に理由を聞いたところ、「あくまでも勤務表入力形式で、客観的な打刻には対応していない」「自己申告であり、本当の勤務時間を管理できていない」など従業員の勤務実態を正確に把握する目的で導入したはずが、“自己申告制”での入力となっているため勤務実態と整合性がとれておらず、結局目的を果たせていないことへの不満を挙げる声が目立った。

 また「法令に基づいた管理ができない(一部手計算が必要)」「データを分析したいがクロス集計や重回帰分析ができず、BIツールへの接続性もない」「外部システムとの連携ができない」など、勤怠管理データを使って生産性向上のために勤務実態を分析しようとも分析機能や外部ツールとの連携ができず困っているとの声も多く挙げられた。

 PCへのログイン時刻を基に自動打刻する勤怠管理システムや働き方改革関連法に対応する製品、SaaS(Software as a Service)系を中心とした外部分析ツールとの連携を強化したサービスなど、市場に数多くの勤怠管理システムがある。一方でこうした不満の声が挙がるのは、勤怠管理システムを導入する目的とそれを実現するための運用方針、それらに合わせた製品選択と運用後の定期的な評価、改善を実行できている企業がそう多くはないということで、この点が企業の勤怠管理における大きな課題といえそうだ。

図3 利用している勤怠管理システムの満足度

一部では「Excelやタイムカードで十分」と考える企業も

 最後に勤怠管理システム自体を導入していない層を対象にその理由を聞いたところ、「管理対象が少ないため」55.6%、「Excelやタイムカードなどで十分に管理できるため」44.4%、「導入コストが高いため」「導入してもツールが使いこなせないため」が11.1%と同率で続く結果となった。

 続いて勤怠管理システムを導入していない層に現状の勤怠管理方法を聞いたところ、Excelなどの表計算ソフトやタイムカードで管理するケースが実際に多く、こうしたツールで代替できているケースはもちろん、従業員規模が小さい組織の場合は導入の必要性が低いのは妥当だろう。一方で働き方改革関連法においては一部の中小企業で実施時期に猶予が与えらえているが、基本的に全企業が「残業時間の上限規制」「勤務間インターバル制度」などの設置や「5日間の有給休暇取得の義務化」が必要になる。こうした背景から全従業員の正確な勤務状況の把握が必至となるのは明白であり、今後勤怠管理システムへのニーズが高まっていくことが予測できる。

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