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経理・総務のストレスは解消できるか? LINEの出張手配丸投げツール

LINEと同じ操作性で利用できる「LINE WORKS」は、これまで勤怠管理や日報を作成する機能などを提供してきた。新サービスでは、出張ワークフローをチャットで完結させるという。

» 2020年02月12日 08時00分 公開
[北原静香クロスラフ]

 働き方改革などの影響で、ビジネスチャットのツールを導入する企業は増加し市場競争は激化している。そんな中、個人向けサービス市場で国内アクティブユーザー数8300万人超のLINE(注1)のビジネス版「LINE WORKS」は、ビジネスチャット市場でもシェアを拡大している。2019年末には導入企業が10万社を突破、個人用LINEユーザーとLINE WORKSの連携数は237万ユーザーを超えたという。

出張にかかわる申請を「LINEしました」で済ませられる

 2020年1月30日、LINE WORKSを提供するワークスモバイルジャパンは、チャットbotから出張時の移動や宿泊の予約を行う出張支援サービス「LINE WORKS トラベル」を同年夏ごろから開始すると発表した。

 LINE WORKSは、勤怠管理をトーク画面から『おはよう』『おつかれさま』のスタンプを送ることで処理したり、チャットbotと会話するだけで日報や報告書を生成したりする機能を提供している。このほど発表されたLINE WORKS トラベルでは、出張経費精算や新幹線と宿の手配などを「LINEしました」で済ませられるようになる。

ALTALT LINE WORKS上の新幹線やの手配画面。スタンプの使用も可能
ワークスモバイルジャパン マーケティング本部長 増田隆一氏

 同日に開催されたユーザーカンファレンス「2020 LINE WORKS DAY」に登壇したワークスモバイルジャパンの増田 隆一氏(マーケティング本部長)によると、LINE WORKS トラベルは、チャットbotの質問に答える形で出張の日程や希望条件などを入力して手続きを完了させられるという。増田氏は「出張は旅行ではない。企業の出張規定に沿って手配、精算、報告といった手続きが必要になるため、とても“手間”がかかる。この手間を“手軽”に変えるのがLINE WORKS トラベルだ」と説明する。

 出張前の機能として、新幹線や飛行機といった交通機関および宿泊先の予約、海外出張時のWi-Fiルーター手配、保険の加入、出張先での食事の手配(レストラン予約)、さらに出張後にはSFA(営業支援システム)と連携した精算や報告書作成のサポート機能などを提供する予定だ。現在は実証実験を実施中で、2020年初夏には一部ユーザーを対象としたクローズドβ版のテストも予定されている。夏以降、有償ユーザーへのサービス提供の開始を予定し、年内に無償ユーザーにもサービスの提供を開始する予定だ。

情シス不在でも使えるツール

ワークスモバイルジャパン社長 石黒豊氏

 ワークスモバイルジャパン社長の石黒 豊氏は、「“仕事、楽しい”を47都道府県のビジネスユーザーに広げたい。『はたらく仲間がつながる世界』の開拓者になる。LINE WORKSはチャット中心、スマートフォンなどモバイル重視、誰でも簡単に使えるというプロダクトコンセプト。個人利用のLINEと同じように簡単に使えるので、普段あまりITツールを活用しない企業も利用している」とLINE WORKSの魅力を語る。

 LINE WORKSは顧客と社内とでアカウントを使い分けたいといったニーズに対応してマルチアカウント機能を実装するなど、常に進化を続ける。2019年だけでも3回のメジャーバージョンアップがあった。石黒氏はLINE WORKSが新たなビジネススタンダードとなることを見据え、「今後のプロダクトの方向性は『誰でも使える』『もっとつながる』だ。誰でも使えるツールであり続けるため、継続的なUXの改善、余計なひと手間を減らすデザインの採用、操作性への配慮を心掛け、情シス不在の企業でも簡単に利用が開始できるようなツールであることを重視して開発していく」と意気込む。

 2018年11月から無償版のLINE WORKSの提供を開始したことで、中小企業を中心に幅広い業種業態の顧客が社内コミュニケーションだけでなく取引先や顧客とのコミュニケーションにLINE WORKSを採用しているという。

LINE WORKSから利用できる外部機能

 サービス開始以来、LINE WORKSは業務支援、総務・人事・労働管理、営業・顧客管理、BOT開発・ツール、シングルサインオン、ID連携などさまざまな製品やサービスを連携して提供してきた。2020年1月30日の段階で、連携するサービスの総数は57種類に及ぶ。

LINE WORKSと連携する外部ツールの例

 日本はITツールの導入数こそ多い国だが、その一方で労働時間の25%を雑務に費やし(注2)、労働生産性はG7で最下位とされている(注3)。そういった現状を改善するため、LINE WORKSのトーク画面をフロントエンドにした外部のITサービスとの積極的な連携も進めている。新たに技術者コミュニティー「LINE WORKS Tech Talk」も発足し、今後も連携する製品やサービスの拡充を狙っているようだ。

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