従業員の生産性を阻み、時間を奪うと考えられがちな「会議」にまつわる不満はなかなか減らない。2019年の調査結果と比較して、会議にまつわる問題意識はどう変化したのだろうか。
キーマンズネットは2020年1月24日〜年2月6日にわたり「会議の実施状況とIT活用」に関する調査を実施した。全回答者数169人のうち、情報システム部門が26.0%、製造・生産部門が21.9%、営業・販売部門が8.9%、経営者・経営企画部門が6.6%といった内訳であった。
今回は、1週間に出席する会議の数や平均出席者数、会議が始まる時間帯など現在運用されている会議の実態を調査した。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
まず会議の実施状況を知るために「1週間当たりの会議数」を尋ねたところ、最も多いのが「週2〜4回」40.8%、次いで「週1回」が27.8%、「週5〜7回」が11.8%と続いた。会議1回の平均時間は「1時間以上、2時間未満」が46.7%、「30分以上、1時間未満」が40.8%、「〜30分」が8.3%となった(図1)。
「会議の平均出席者数」は、最も多いのが「6〜10人」で45.6%、次いで「4〜5人」32.5%、「11〜15人」8.3%であった(図2)。全体的に規模の大きな企業体で会議数や時間、出席人数が多い傾向にあったが、この結果から見ると「数人で1〜2時間行う会議が週に2〜3回ほど」が平均的な会議の実施状況のようだ。
一般的に会議というと「業務時間を奪われるもの」「生産性の向上を阻むもの」といったイメージを持たれがちだ。そういうイメージのある会議に対して従業員はどう感じているのか。次に勤務先の会議に不満があるかどうかを尋ねたところ、回答者の73%が「不満がある」と答えた。
具体的には「1回当たりの会議時間が長い」60.5%、「参加の必要性を感じない会議が多い」51.9%、「結論が出ない会議が多い」45.7%、「開催するまでもない会議が多い」37.2%、「参加する会議が多く業務時間が削られる」31.8%などが挙がった(図3)。
この結果を2019年1月に実施した調査と比較したところ、「1回当たりの会議時間が長い」が50.0%から60.5%に、「参加する会議が多く業務時間が削られる」が23.8%から31.8%にそれぞれ10ポイント近く増加した。代わりに「結論が出ない会議が多い」が54.0%から45.7%に、「開催するまでもない会議が多い」が43.1%から37.2%に減少した。
会議の目的やアジェンダ設定の弱い“無意味な会議“の見直しは進んでいる一方で、会議目的を果たすよう議題を”決めきる”ために会議時間や会議数は増加傾向にあるようだと推察される。
会議の長時間化や会議数の増加などを中心とした会議を取り巻くあらゆる課題に、企業は対策を講じているのだろうか。
勤務先では、「会議にまつわる課題解決に向けて何か取り組んでいるか」と尋ねたところ、全体の31.8%が「取り組んでいる」、28.7%が「検討中」、39.5%が「何も取り組んでいない」であった(図4)。
会議の課題解決に「取り組んでいる」と回答した層を対象に、実施している取り組みについて聞いたところ「ビデオ会議システムを導入し出張会議を削減」70.7%、「チャットなどコラボレーションツールを活用し会議を削減」43.9%、「会議のゴールを設定し会議目的を明確化する」31.7%、「開催ルールの見直し」「参加者の見直し」が同率で24.4%と続く結果となった。
ちなみに施策を実施した効果を聞いたところ「やや効果を感じる」70.7%、「大きな効果を感じる」14.6%と合わせて85.3%が効果を実感しており、自社の会議についての問題に向き合い解決策を講じた企業では満足度の高い会議運用がなされていることが分かる。
それでは満足度の高い会議にするためには、どのような施策が効果的なのだろか。フリーコメントで聞いたところ多くの意見が寄せられた。主に「会議のゴール設定をすること」「事前に会議資料を配布すること」といった声が集中した。
その他「発表者が100円ショップで購入したタイマーをセットして、『今から何分で発表します』と言うのが一番効果的だった」といったアイデアや、「メーリングリストでほとんどの意思疎通を図っており、時間と労力を要する会議は極力しないようにしている」といった対面会議をできるだけ控え、メールやチャットなどのコミュニケーションツールを活用した施策も紹介された。
また課題の解決策ではないが、「日本人は時間に厳しいといわれるが、それはスタート時刻だけ。終わりはダラダラ」といった会議の終了時間設定について指摘する声や、「年齢が高い層の方が長時間会議が当たり前と思っている。そのため、無駄な会議が減らない」といった声もあった。
「必要な時に会議や打ち合せができるWeb会議環境を整えられれば、会議の意味合いが変わり1回の会議がより短時間で有効なモノとなる」といった会議実施のハードルをあえて下げ、必要に応じて短時間で行うことでスピーディーに目的を果たせるようにしているケースなどの取り組みも挙げられた。重要なのは組織やチームの業務内容に応じて最適な会議スタイルを選択し、それに応じてITツールなどで後押しすべきなのだろう。
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