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» 2020年05月07日 08時00分 公開

“テレワークでやる気喪失”を防ぐ SAPの従業員体験向上事例とは

テレワークが長期に及ぶことで、従業員のモチベーションや帰属意識の低下が懸念されている。従業員が働くことに満足しているか、今抱えている課題とは何かを可視化、分析することはなぜ重要なのだろうか。SAPジャパンの取り組みからその方策を探る。

[谷川耕一,キーマンズネット]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以後、テレワークによって自宅に閉じこもり1人で働くことになった。運動不足による健康面への支障や仕事へのモチベーション低下など、精神面の課題も散見される。

 そんな中、企業の持続的な成長のために働きやすい環境や組織づくりをし従業員エンゲージメントを向上させる取り組みに注目が集まっている。従業員エンゲージメントつまり「働くことに対する満足度」を上げられるかどうかは、生産性向上と密接に関わってくる。

テレワークで“従業員エンゲージメント”は低下するのか?

 顧客や従業員のエクスペリエンス管理を支援するクアルトリクスの市川幹人氏(EX〈従業員エクスペリエンス〉ソリューションストラテジーディレクター)は「テレワークに移行したからといって、すぐに従業員エンゲージメントが大きく下がるわけではありません。とはいえWeb会議がうまくつながらない、オンライン会議やチャットが増え過ぎて嫌気が差すといった状況が続けば、仕事がやりにくくなり従業員エンゲージメントにはマイナスになります」と語る。

 本来、従業員エンゲージメントの変化に影響するのは、従業員それぞれのキャリアプランや業務上の権限、裁量の範囲、担当業務と組織の戦略的目標の理解などだ。これらは、テレワーク勤務になっても大きく変わるものではない。もちろん長期的なテレワークで、業務の進め方を根本から見直す組織もあるかもしれない。しかし急きょ1カ月ほどテレワークを実施したところで従業員エンゲージメントが大幅に低下することはないという。

 一方で、長期にわたるテレワークともなれば、就労環境の不便さやコミュニケーション不足から従業員エンゲージメントの低下が懸念される。例えば、オフィスで働いていれば、表情や声から従業員の状況をある程度予測し、上司や同僚が声を掛けられる。テレワークではビデオ通話をつなぐまで表情や声は分からず、ばらばらな場所で働いているため組織としての一体感も薄れてしまう。市川氏は「仕事をする姿を“見てくれる人”がいないことも、モチベーションの低下につながります」と話す。

 新型コロナウイルス感染症の流行以前、働き方改革のために推進されていたテレワークは「時間コントロールが容易で、移動時間や通勤時間から解放されメリットが大きい」とうたわれてきた。いざ取り組んでみるとメリットがある一方で、家庭の状況によって集中できなかったり、仕事と休みのメリハリがなかったりとさまざまな課題も出てき始めた。「テレワークは良いことだらけだったはずなのに、やってみるとデメリットも見えてきました。長期にわたって実施すればさらに課題が明らかになっていくでしょう」と市川氏は指摘する。

SAPジャパンの従業員エンゲージメント管理 テレワークでの変化と対応

 クアルトリクスを2019年に買収したSAPでは、「Qualtricsリモートワークパルス」(以下、リモートワークパルス)をいち早く活用している。2020年3月上旬からテレワーク体制に移行したSAPジャパンでは同年4月15日、リモートワークパルスを用いてアンケートを配布し、2日後に締め切って結果を回収、同月20日のオンライン全社ミーティングでアンケート結果を共有した。派遣従業員を含む国内の従業員1300人にアンケートを配布し、期日までに788人から回答を得た。回答率の高さからも従業員の関心の高さがうかがえる。テレワークでSAPジャパンの従業員エンゲージメントはどう変化したのだろうか。

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