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RPAの「困った!」をオンラインで解決 伴走型サポート「Robo Runner」

» 2020年06月19日 10時00分 公開
[今井裕美RPA BANK]

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RPA BANK

新型コロナウイルス対策を契機にリモートワークの必要性が見直される中、サービスのオンライン化に注目が集まっている。RPA支援サービスも例外ではない。従来のRPA支援サービスは実際に会社に赴いてサポートする常駐型が基本だったが、2020年5月、オンラインでRPAの困りごとを解決するサービス「Robo Runner」がスタートした。「Robo Runner」は企業のRPA担当者に伴走しながら積極的にアプローチを行い、困りごとを顕在化して解決するサービスであるという。提供元であるPeaceful Morning株式会社(神奈川県横浜市)代表取締役の藤澤 専之介氏に、RPA支援サービスの現状と「Robo Runner」の特徴、今後の展望について話を聞いた。

■記事内目次

  • RPA導入後の課題は、コストと技術の習得だった
  • リモートワークの拡大に伴い、オンラインで利用できるRPA支援サービスが求められるように
  • 困りごとに積極的にアプローチし、顕在化して解決するオンラインサポート
  • RPA担当者に伴走しながら、企業の自動化をサポートしたい

RPA導入後の課題は、コストと技術の習得だった

Peaceful Morning株式会社 代表取締役 藤澤 専之介氏

―RPAの導入が増える中で、導入したものの期待したような効果が得られていない企業が少なくないようです。背景にはどのような課題があるとお考えですか。

RPAは導入したら終わりではなく、稼働後も継続的なメンテナンスが必要です。また、RPAの活用ステージによって課題が異なるという特徴もあります。RPAを活用し続けるには、こうした保守と変化する課題への対応が必要になります。そのためこれまでは大きく2つのRPA支援サービスが提供されてきました。

1つは常駐型支援です。専門のエンジニアが常駐し、開発や保守、人材育成などを行います。長期にわたり手厚いサポートを受けられますが、一般的な週5常駐サポートは月80〜150万円ほどと高額です。こうしたコストが高いサポートを継続利用できるのは一部の企業に限られます。

そのため、保守コストを抑えたい企業ではRPAの導入が一段落したタイミングで、自立・自走を目指します。その際に利用されるサポートがもう1つのRPA支援サービスである、RPA人材を育成するハンズオントレーニングです。コストは比較的安いですが、サポート期間は1日〜1週間程度と短く、サポーターとサポートされる側の接点が少ない傾向にあります。また、技術の習得は簡単ではなく、研修を受けたからといってすぐに自分でロボットが作れるようになるかというと実際には難しいことがほとんどです。

こうした背景により、保守コストがかけられない企業ではRPAを導入しても期待したような効果が得られないという課題がありました。こうした課題を何とかしたいと考え、弊社がスタートしたサービスが、オンラインで利用者に伴走しながら支援を行う「Robo Runner」です。

リモートワークの拡大に伴い、オンラインで利用できるRPA支援サービスが求められるように

―これまでは常駐が一般的だったRPA支援サービスをオンラインで行うことは可能なのでしょうか。

弊社では、2019年4月からオンラインでUiPathのトレーニングを提供しており、Webミーティングとチャットで受講者のサポートを行っています。要望があれば、トレーニング後の開発・保守サポートも行っていたので、オンラインでも必要なサポートを提供できる確信がありました。

これまで常駐サポートが一般的であったのは、サポートの多くが開発代行、特に基幹システム周りの自動化だったことが1つの要因です。基幹システムはセキュリティが厳しくリモートでは扱えない場合や、リモートで扱える環境であってもなんとなく不安という顧客心理がありました。また、サポート提供側も経営が安定しやすい常駐を好みがちでした。

この状況を大きく変えたのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。リモートワーク実施の必要性から、リモートでもシステムを利用できる環境へ変化したり、オンラインツールが浸透したりと、オンラインに対するハードルが低くなりました。また、都道府県をまたぐ移動が制限されたため、地方で従来の常駐型サポートを受けることが困難になりました。地方ではRPAツールの導入経験が豊富なSIerは多くはありません。そのため首都圏から出張してもらいサポートを受けているRPA導入企業が多く、オンラインの重要性が顕在化したのです。

こうしたオフラインとオンラインの使い分けや人の移動に対する顧客心理の変化に伴い、今後はオンラインで利用できる柔軟性の高いサービスが主流になると予想します。

困りごとに積極的にアプローチし、顕在化して解決するオンラインサポート

―社会環境の変化で、オンラインサポートが歓迎されるようになったのですね。「Robo Runner」の特徴について具体的に教えてください。

「Robo Runner」はRPAツール(WinActor、UiPath)を導入した企業の担当者を、Webミーティングとチャットを用いてオンラインでサポートするサービスです。週1回、月数時間のWebミーティングと回数無制限のチャットサポートが受けられる利用者に寄り添ったサービスですが、月5万円からとリーズナブルな価格体系です。RPAに多額の費用をかけられない企業でも長期にわたり利用することが可能です。

オンラインサポートといえば、これまでもメールや電話でのサポートは存在しましたが、困ったことがあれば解決する受け身なサポート、いわゆるカスタマーサポートと呼ばれるものでした。これに対し、「Robo Runner」はカスタマーサクセスという立ち位置で、企業のRPA活用をゴールとしてサポートします。定期的なWebミーティングでこちらから積極的にアプローチを行い、困りごとを顕在化して解決します。

現場担当者が1人で抱えてしまいがちな悩みに、「Robo Runner」がオンラインから働きかけ、解決に導く

「Robo Runner」のサポーターはサポーター総勢で2,000体以上のロボット開発実績、RPAツールでの開発経験が1.5年以上と実績豊富であることはもちろん、コミュニケーション力の高さやホスピタリティも兼ね備えています。RPA活用を進めるには担当者本人のモチベーションが重要ですが、中小企業や地方企業ではRPA担当者が1人きりで周りの理解も不十分ということが少なくありません。サポーターはこうした担当者の味方となり、あらかじめ設定した目標を達成するまで伴走します。

「Robo Runner」のサポートスタッフはのべ2,000体以上のロボット開発経験があり、幅広い業種の知見がある

―「Robo Runner」で解決できる困りごとについてお聞かせください。

「Robo Runner」ではお客様の状況に応じてサポートを行います。導入サポート、担当者の引継ぎサポート、RPAの活用や人材育成が進んだ段階で常駐サポートからの切り替えなど、あらゆるお悩みをお気軽にご相談いただきたいと思っています。

実際に「Robo Runner」をご利用いただいている某物流企業では、プログラミング経験がなかったRPA担当者に対し、UiPathのトレーニングから開発、保守サポートまでを行っています。今後は開発者を増やしたり、RPAの適用部署を広げていきたいということで、そこもサポートしていく予定です。

RPA担当者に伴走しながら、企業の自動化をサポートしたい

―どのような企業に「Robo Runner」を活用してほしいとお考えですか。

RPAツールのライセンスを購入し、社内で活用していこうと思っていたものの、さまざまな課題に直面し、上手く使いこなせていないと感じている企業のお役に立てると思っています。また、中小企業や地方企業ではRPAにそこまでお金をかけられない、担当者の人数が少なかったり通常業務と兼務のためRPAツールに触れる時間が少なくRPA活用が進まない、という声をよく聞きます。「Robo Runner」は低コストで利用でき、利用者の課題に寄り添った伴走サポートが特徴です。コストやリソース不足が原因でRPA利用が思うように進まなかった中小企業や地方企業にぜひご検討いただければと思います。

―最後に、今後の「Robo Runner」のサービス展開についてお聞かせください。

WinActorとUiPathのサポートからスタートしましたが、「Robo Runner」でサポートできるツールを増やす予定です。RPA業界の会社と提携することで、より多くの企業のRPA活用を後押ししたいと考えています。

また、「Robo Runner」はチャットでのやりとりが基本なので困りごととその解決策がテキスト化され、ナレッジを蓄積しやすいという利点があります。弊社ではメディア事業も行っているので、メディアを通じて「Robo Runner」で蓄積したナレッジを全国のRPA導入企業に還元することも視野に入れています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経営環境の悪化で、経営層の多くが正社員という固定費を抱えこむリスクを感じました。今後、柔軟な労働力を確保するためにRPAによるデジタルワーカーの比率は確実に上がっていくでしょう。日本全国のRPA担当者に伴走し、きめ細かなサービスを提供することで、もっと自動化を進めたい、デジタルワーカーに任せる範囲を広げたいという要望に応えていきます。

(取材・文/今井裕美 デザイン/今井裕美 構成/RPA BANK編集部)

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