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今度こそ本当の「さようなら、Flash」動画コンテンツのパイオニアの歴史を振り返る:568th Lap

2020年、ついにFlashが20数年の歴史に幕を閉じる。Webサイト制作の新時代を築いたFlash、その誕生から終幕までを振り返りたい。

» 2020年06月26日 08時00分 公開
[キーマンズネット]

 かつて、動画などWebブラウザのリッチコンテンツといえば、Flashベースのものが多くを占めていた。インタラクティブなWebサイトづくりにはFlashが欠かせなかったのだ。久しぶりの響きに懐かしさを覚える読者もいるだろう。1990年代後半から2000年代後半にかけ、一時代を築いてきたFlashがついに終了するという。とはいえ、そもそも最近では見かけなくなり、「とっくに終わっていたのでは」と思う読者もいるだろう。今度こそ本当に終わる「Flash」、終焉(しゅうえん)までの過程を振り返る。

 Flashが誕生したのは1996年の米国でのこと。FutureWave Softwareが開発した。ベクターイメージを使ってアニメーションを作成でき、クオリティーの割にデータサイズは小さいという特徴があった。Flashを会社ごと買収したのが、動画再生プラグイン「Shockwave」の開発元であるMacromediaだ。

 Flashは当時、多くの人に使われていたマルチメディアプレイヤー「Shockwave Player」に対応し人気を獲得していった。Webコンテンツに動画や音声を追加でき、Webのインタラクティブ化に大きく貢献した。FlashはWebブラウザでゲームをプレイ可能にした他、ストリーミング動画再生フォーマットとしても使われた。初期のYouTubeがFlashを採用していたことは有名だ。ただWebブラウザに専用のプラグイン「Flash Player」が必要で、相応のマシンパワーも必要だった。

 Web制作でFlashが使われるようになったこととは別に、Flashを使ったアニメーション作品も流行した。1999年にFlash 4がリリースされ、mp4ファイル形式の音源をBGMにできるようになり、本格的なアニメーション映像が個人で簡単に作れるようになった。Flash動画を作成して公開するユーザーは「Flash職人」と呼ばれ、当時の流行や時事ネタを取り込んだ数多くのFlash動画が作成された。中でも秀逸なものは「おもしろフラッシュ倉庫」など、Webサイトに収録され、多くの耳目を集めたものだ。

 混同されることが多いが、Web制作に使われるFlashとアニメ作成に使われるFlashとは本来別ものだ。Flashアニメは名称こそ違えどまだ作成できる。2005年、MacromediaはAdobeに買収されたが、AdobeからFlashアニメ制作ツール「Adobe Flash Professional」が提供されてきた。2017年に「Adobe Animate」へと継承され、それを使えば今でもFlashのようなアニメを制作できる。

 一方、Web制作に使われてきたFlashコンテンツは「Flash Player」が廃止されることで、もはや使えないコンテンツとなる。これが今回取り上げている「Flashの終了」を意味している。

 AdobeがFlash Playerの配布を終了すると発表したのは2017年7月のこと。3年も前だ。きっかけはスマートフォン、特にiPhoneやiPadの台頭が大きな理由だ。Flash Playerは先述のようにマシンパワーが必要で、当時のスマホでは十分に実行できなかった。

 2010年、AppleはiPhoneやiPadでのFlash Playerの「非サポート」を明言した。それに伴ってWebサイト側もFlashコンテンツの在り方を再考する必要に迫られた。ちょうど同時期、HTML5の登場によってFlash同様の機能をプラグインなしで再現可能となりつつあった。ほかに「WebGL」「Scalable Vector Graphics」といったオープンソースの標準仕様も登場してきた。

 Flash Playerには脆弱(ぜいじゃく)性が多かったこともユーザー離れを招いた要因の一つだろう。アップデートが頻繁にあるものの、すぐにそれに弱点が見つかる。イタチごっこ状態だった。もはやFlash不要論は止められなくなっていった。徐々にFlashコンテンツは姿を消し、YouTubeも2015年にFlashからHTML5へと移行を完了した。

 こういった一連の流れを受け、Adobeは2017年7月「2020年いっぱいでFlash Playerの開発、提供を中止する」と発表していたのだ。その期限がいよいよ迫り、Adobeは改めて2020年6月16日に、2020年12月31日をもってのFlash Playerのサポートを完全終了すると告知した

 多くの人にとっては2010年以降「Flash終了だな」と感じると同時にほとんど利用することがなくなっていた。2017年や今回のAdobe社の発表で「やはり終了するのか」と再び思ったことだろう。

 一時代を気づいたFlash。Webの世界をより充実させたのは間違いない。当時のFlashブームを覚えているなら、そっとその名前を心にとどめておきたい――。


上司X

上司X: あの「Flash」がとうとう終了する、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 実のところ、僕もとっくに終わっていると思っていた1人です。


上司X

上司X: まあ終了は発表されていたしな……。2017年に3年の猶予をもって終了宣言をしたのは、やはりFlashがWebプラットフォームとしてしっかり普及してきたという歴史があったからだと思うんだ。


ブラックピット

ブラックピット: ベンダーとして、ユーザーが対応する期間を長く設けてくれたというわけですね。


上司X

上司X: そうだろう。しかしFlash、懐かしいよ。アニメじゃなくてWebページの方な。当時、企業のWebサイトはかなり工夫を凝らされ作られるようになったよ。


ブラックピット

ブラックピット: いまも残っているページは少なくないですよね。でもFlash Playerがブラウザで有効にできないという……。まあ仕方ないでしょう。僕はアニメのFlashも好きでしたよ。あ、ゲームも遊びました。アニメやゲームの方なら、今の20代半ばぐらいまで、学校の情報室で見たことあるという子もいるんじゃないですかね。


上司X

上司X: そうそう、Flashで作られたブラウザゲームはかなりの数があったからね。この3年は、そういうゲームタイトルにとっても移行猶予だっただろう。ソースが残ってれば「Adobe Animate」でHTML5対応にコンバートもできるらしいが……。


ブラックピット

ブラックピット: いずれにせよ一時代を築いたFlashの終焉というわけですね。実際のところ、僕はそこまでの感傷もありませんけど……。ま、ネットの歴史にまた1ページってところでしょうか。


上司X

上司X: さっきは「好きだった」と言っていたのに、やけにアッサリしているな。ともあれWebの姿を大きく変えた1つの技術が消えるのは寂しいものだな。Flashよ永遠に――、と少し感傷的な気分になってきたよ。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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