腕時計型やリストバンド型、イヤフォンやヘッドフォンなどの耳装着型デバイスなどのウェアラブルデバイスは、2020年第1四半期はコロナ禍であったものの一部のベンダーは成長を見せたという。
IDC Japanが発表した調査によると、2020年第1四半期のウェアラブルデバイスの出荷台数はグローバルで前年同期比29.7%増の7258万台となった。腕時計型は1692万台で前年同期比7.1%減となり、一方リストバンド型は1524万台で前年同期比16.2%増となった。音声アシスタント対応イヤフォンやヘッドフォンなどの耳装着型デバイスは、3987万台で前年同期比68.3%の成長となった。耳装着型デバイスは、ウェアラブルデバイス市場の54.9%を占めている。
IDCのジテシュ・ウブラニ氏は「COVID-19は市場の抑制要因であったが、耳装着デバイスは立ち直りを見せた。消費者の多くは在宅勤務を余儀なくされ、スマートフォンやスマートアシスタントで周囲の騒音を低減する方法を模索していた。オーディオ再生機能だけでなく、生産性向上にも役立つ耳装着型デバイスへのニーズが高まったといえる」とコメントする。
COVID-19の拡散は、スマートウォッチやベーシックウォッチなどスマートフォンやPCと部品やリソースを共有しているウェアラブルデバイスの供給にも影響を及ぼした。2020年の第1四半期は腕時計カテゴリーの出荷台数が減少する結果となったが、HuaweiやGarmin、Huamiなどの一部のベンダーは中国市場への依存度を低め、米国や欧州、その他アジア地域へのさらなる展開を進めたことで健全な成長を維持した。
2020年第1四半期の日本国内のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で165万9000台で、前年同期比60.3%の増加となった。腕時計型デバイスは27万7000台で前年同期比58.5%増、リストバンド型は13万2000台で前年同期比136.5%、耳装着型デバイスは115万1000台で前年同期比63.6%増となった。
IDC Japanの菅原 啓氏(PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト)は「店舗の閉店や外出自粛などが本格化していなければ、2020年第1四半期は各デバイスともに安定的な成長を実現できた。第2四半期はCOVID-19の影響が懸念されるものの、全体としてウェアラブルデバイス市場は着実な成長を続ける」とコメントする。
2020年第1四半期の世界ウェアラブルデバイス市場(出荷台数ベース)の1位のベンダーはシェア29.3%で、2124万台であった。2位のベンダーはリストバンドとウォッチの合計の出荷台数が734万台で、中国国外への進出と、流通を小売店からオンラインおよびオフラインの小売店にシフトしたことで好調にリードを維持できた。
3位のベンダーは第1四半期の総出荷台数の74.0%を占める耳装着型デバイス事業が2019年第1四半期の58.9%から増加したことで3位にランクインした。4位のベンダーは、強力なオンラインプレゼンスと小売店との緊密な連係によって、COVID-19によるロックダウンにもかかわらず中国での成長を達成した。中国以外でもヨーロッパやラテンアメリカ、その他のアジア市場での成長に成功したが、複数の国からの政治的圧力により、これらの市場での長期的な成功には疑問が残る。5位のベンダーは、生産拠点を主に中国に置いており、第1四半期は26.1%の減少となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。