メディア

1割の企業が「やめたい」 調査で見えたテレワーク実施企業の困りどころ、デルの救済策

日本の中堅企業にIT投資の動向を聞いてみたら、テレワークを体験した企業の1割が「やめたい」とネガティブな意見を寄せた。今までのやり方がうまくいくのはなぜか。

» 2020年08月04日 18時06分 公開
[原田美穂キーマンズネット]

 デル・テクノロジーズ(デル)は2020年8月4日、「IT投資動向調査 追跡調査」の結果を発表した。それによると、この数カ月間で国内中堅企業のテレワーク導入の裾野は拡大したものの、十分な準備や体制が整わず、定着に苦労する企業が多いことが分かった。

 今回の調査は、2020年2月に実施した中堅企業IT投資動向調査に続いて2020年6月に実施したもので、2020年2月と6月の状況を比較して中堅企業のIT投資マインドや課題感の変化を分析した(調査期間:2020年6月8日〜7月3日、対象:従業員数100〜999人の企業470社)。

 その結果について、デル・テクノロジーズ 上席執行役員 広域営業統括本部統括本部長の瀧谷貴行氏は次のように総括した。

 「約4割の企業が新たにテレワークを開始したが、そのうちの1割がテレワークの継続を断念する状況にある。事業継続計画(BCP)整備の予算は減額され、ノートPCの調達予算やセキュリティ対策への予算割り当てが優先された結果、それ以外のテレワーク環境の整備予算が減額され、十分にテレワークの恩恵を得られていない」

 瀧谷氏によると、実際には各企業ともデジタル化を推進しようという意向は決して弱くないが効果的な施策を打てていないという。瀧谷氏らは、問題はデジタル化を推進したいものの、効果的な施策を打てない状況にあるとみている。

1割の企業が「テレワークやめたい」 調査で見えたテレワーク実施企業の困りどころ、デルの救済策

 今回の追跡調査では、2020年2月の調査と比較して、新たにテレワークを開始した企業は全体の63.9%だった。

 これらの企業に課題を尋ねると、“押印出社”が40.4%、請求書や帳票業務のための出社を挙げる企業が38.9%に上った。同時に、IT担当者のヘルプデスク業務の負担が10%ほど高まっており、約20.9%が外部ベンダーとの相談機会が減ったとしている。

 今回の調査で注目したいのが、テレワークを試してみたものの「やはり元通りに戻したい」と考える企業の存在だ。前進するのではなく、元の状態に後退したいと考える企業はなぜそう判断したのだろうか。デルが示す解決策と併せて見ていく。

 調査では、テレワーク実施企業のうち、「今後はテレワークを継続しない」とした回答が9.8%あったことも明らかになっている。これらの回答者はテレワークではコミュニケーションが難しく、業務が滞ることを課題としている。このことを裏付けるようにテレワーク実施企業の60.7%はメール以外の社内システムに接続できていないことも判明した。

コンサルティングの内容 テレワーク実施状況の比較

 またBCPの策定企業は7.6%増えたものの、その予算は減額傾向であることも明らかになった。テレワーク対応に予算を割いた結果と考えられる。こうした状況下でも42%の企業がデジタル投資を継続する意向を示した。

 デル・テクノロジーズはこの結果を受け、2020年8月4日から新たに中堅企業向けの支援施策を実施する。

 具体的には、(1)労働環境の改善支援、(2)ペーパーレス化を軸とした仕事の仕方改革の支援、(3)オンラインコミュニケーションの習熟度向上支援の3つだ。

(1)労働環境の改善支援

 労働環境の改善支援では次の3つの施策を用意する。

  • テレワークアセスメント/コンサルティング

 急ごしらえでテレワーク環境を整備した企業の場合、最低限の環境整備をしたものの、多様な従業員のニーズを把握して、何が足りず、どんな環境を整備すればよいかといった情報が整理されていない状況があるとして、課題の発見から最終的なゴールの設定までを「人」「場所」「デバイス」「業務」ごとのペルソナやロードマップの検討や実行計画を策定する。どの部門の誰にどのレベルの環境を用意すればよいかについて、明確な指針作りを支援する。

コンサルティングの内容 コンサルティング内容
  • 3カ月無償利用可能のPCレンタラルプログラム

 パシフィックネットと提携し、中堅企業向けにテレワーク用ノートPCを最少5台から、3カ月間無償で貸与する。急な調達が必要だが予算確保が難しい場合でも3カ月の猶予が得られる利点がある。

PCレンタルプログラム PCレンタルプログラム
  • ノートPC即納モデルの提供

 当日昼までの注文で当日中に出荷できるノートPCを用意する。こちらもPCレンタルと同様、すぐに調達できるモデルを複数用意する。

即納モデル 即納モデル

(2)仕事の仕方変更の支援

 書類への押印のためだけにリスクを犯して出社するワークフローなどの問題を解消する目的で、パナソニックITソリューションズと協業してペーパーレスソリューションを提供する。他社製PCを含むヘルプデスク機能を提供するPCマルチベンダーサポートプログラムも拡充する。

ペーパーレス化支援 ペーパーレス化支援

(3)コミュニケーション支援

エンドユーザー向けにZoom活用講座やMicrosoft Teams活用講座などなのテレワークツール活用講座を開催する。管理者向けにはオンラインコミュニケーション講座も提供する。

オンラインコミュニケーションの習熟支援 オンラインコミュニケーションの習熟支援

 これら3つの支援策は、デル・テクノロジーズが中堅企業向けのデジタル化支援の5つの施策として既に展開しているものを補強するものと考えられる。中堅企業向けデジタル化支援も、セミナーや相談会、勉強会をオンラインで開催するなどテレワークシフトを進める。

中堅企業のデジタル化支援策 中堅企業のデジタル化支援策

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。