メディア

社内の非効率解消にアプリでアプローチし、DXを推進する「Yappli for Company」

» 2020年08月18日 10時00分 公開
[RPA BANK]

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

RPA BANK

これまでのサービスを一新するようなテクノロジーが次々と登場し、私たちの生活習慣が根本から覆されようとしている。スマートフォンが広く普及し、あらゆるサービスがスマートフォンを通じて受けられるようになる中で、これまでハードルが高いと思われていたアプリ開発をITの専門知識を持たない事業者でも可能にし、運用できるようにしたサービスが「Yappli」だ。この「Yappli」のBtoB向けサービスがこの夏、仕様と名称を改め「Yappli for Company」へリニューアルする。

「Yappli」は2013年の創業から成長を続け、アプリ導入実績400社以上を誇る株式会社ヤプリ(東京都港区)によって提供されている。同社がネクストステップとして提供するサービスは、「社内におけるあらゆる非効率の解消」を目指すものだ。

サービスローンチの経緯から、アプリがひろげるDX(デジタルトランスフォーメーション)の可能性まで、「Yappli for Company」の全貌について、株式会社ヤプリマーケティング本部執行役員CMO山本崇博氏に話を聞いた。

■記事内目次

  • BtoC向けサービスを提供する中で社内の非効率を解決できるアプリの可能性に気づく
  • 情報伝達と双方向の密なコミュニケーションが実現できることが自社アプリの強み
  • スピーディーな開発、簡単な運用など非エンジニア向けの使いやすさが特徴
  • 「Yappli for Company」で、コロナ禍でも取引先とのコミュニケーションが可能に
  • DXの領域にアプリという選択肢を提示していきたい

BtoC向けサービスを提供する中で社内の非効率を解決できるアプリの可能性に気づく

株式会社ヤプリ マーケティング本部 執行役員CMO 山本崇博氏

−貴社は「Yappli」で多くの企業にサービスを提供しています。そこから「Yappli for Company」の開発に至った経緯を教えてください。

Mobile Tech for Allをミッションとして掲げてきた当社は、モバイルテクノロジーを使うハードルを下げることで、企業に対して楽しく、便利に使えるサービスを提供してきました。

通販サイトの集客・売上アップや、オンラインとオフラインの隔たりをなくし顧客へシームレスな購買体験を提供するOMO(オムニチャネル)化を推進する事業者に対して、スピーディーな開発や簡単に運用できるアプリを活用してもらうBtoC向けサービスの提供がこれまでの代表的な事業でしたが、サービスを展開するうちに、導入先の企業が組織内にさまざまな非効率を抱えていることが分かりました。

例えば営業成績が上がらないのは、カタログに掲載されている膨大な製品情報が営業部隊に十分に伝わっていないからかもしれません。フランチャイズ加盟店を多く抱える企業では、社員、アルバイトを含め従業員一人一人に対して研修を行えず、企業理念やブランドの価値を現場まで伝えきることができないことも少なくありません。その結果として、会社全体として意思の統一を図れず、組織のエンゲージメントが低下しているのかもしれない、という声が上がっていました。

オールインワンのアプリプラットフォーム「Yappli」

−そこで、「Yappli for Company」のコンセプトが生まれたのですね?

「Yappli」が持っている技術を転用すれば、企業活動における非効率を解消するための社内アプリとして活用することも、更には社外とのリレーション構築にも使えるのではないかというアイデアが浮かびました。

「Yappli」を活用してできることには次の4つがあります。

まず1つ目は情報の集約です。必要な情報をアプリで1か所にまとめておくことができるので、必要な書類がどこにあるのか分からない、社外にいて会社のPCにアクセスできない、というトラブルが避けられます。

次に、カタログの電子化です。従来、紙のカタログで網羅していた製品情報や資料をアプリに集約できれば、営業先に資料を持ち歩く負担が大きく軽減されます。例えば、直販ではなく販売代理店に委託をしている場合は、同じ製品でも代理店向けの商品説明資料を配布するケースがあり、製品のリニューアルや新製品の発売の度に、都度カタログを制作する必要がありました。これらの情報をアプリでアップデートできれば、省コストが実現できます。

3つ目はアプリならでのメリットである、即時での情報共有が挙げられます。社内向けの情報共有という視点では、店舗従業員向けに教育コンテンツを配信し、販売支援を行う、社内報を紙でなくアプリで配布するという使い方も可能です。顧客向けでは、プッシュ通知はメルマガと比較すると開封率が3倍になると言われており、リアルタイムで情報を配信できるため、情報の浸透率アップにもつながります。

4つ目は、社内外含め関係者との接点として活用できることです。取引先に自社アプリをダウンロードしてもらうことで、常にコンタクトが取れる環境を構築すれば、直販だけでなく、販売代理店を介していても情報伝達がスムーズに進みます。

これらの強みを活かして、「Yappli」を使ったBtoB向けサービスの開発を始めることとなりました。

情報伝達と双方向の密なコミュニケーションが実現できることが自社アプリの強み

自社アプリはユーザーと深くつながるために必要不可欠なチャネル

−アプリで社内の情報共有と生産性向上が実現できることが分かりましたが、従来のコミュニケーションアプリやWebサービスではなく、なぜ自社アプリなのでしょうか。

自社アプリには他のコミュニケーションツールやチャットツールと比較して、企業のブランド色を出しやすく、ユーザーとより深く直接的につながれるという特徴があります。「Yappli」を導入している従来の企業も、オリジナルのアイコンやコンテンツを工夫することで、ユーザーに能動的にアプリにアクセスしてもらえるように働きかけ、コアなファンを獲得してきました。深くつながることで得られるメリットとしては、情報の伝達だけではないブランド価値の訴求があります。企業理念やクレドのようなメッセージは、これまではオフィスに出社するか冊子になったものを手に取らないと目につかないものでしたが、いつもそばにあるスマートフォンから手軽にアクセスできれば、日々触れられる、身近なものへと発展していきます。

また、ユーザー側へ適切なタイミングでプッシュ通知による情報を提供することも可能です。ユーザー視点でいうと、コンテンツの更新性が高いことで、自発的に情報を取得しようとアクションを起こせるのも自社アプリの強みだと言えます。

起動するたびに毎回アップデートされているとか、自分の業務に役立つ情報が配信されていれば、アプリをチェックする頻度も増え、検索などから欲しい情報へアクセスを試みるようになります。

スマートフォンの一番身近なデバイスという特性を活かし、身近な接点を着実に押さえることで、企業とユーザーが双方向のコミュニケーションを密に交わすことができるのです。

スピーディーな開発、簡単な運用など非エンジニア向けの使いやすさが特徴

「Yappli for Company」の特徴は非エンジニアにも使いやすいUIにあるという

−「Yappli for Company」の特徴を教えてください。

プログラミング不要のネイティブアプリをiOS/Androidのマルチプラットフォーム対応で開発することができます。機能は約40種類以上、多様なプッシュ配信機能や外部連携サービスを備えており、開発期間は最短で1カ月ほどと非常にスピーディーです。

運用に関しては、この7月にCMSを大幅にリニューアルしたので、管理画面が非常に使いやすくなっているほか、アクション分析も行えます。製品カタログや社内報などの紙媒体は、「どれくらい閲覧されたか」という数値を取得することが困難ですが、アプリならデータ分析の結果、より多く読まれるように改善案を提案しながらPDCAサイクルを回すことができます。

1つの会社の中で営業スタッフ向け、代理店向け、取引先向け、と用途別のアプリを運用することができますし、管理画面で対象者別にプッシュ通知の出し分けも可能です。ユーザーへのヒアリングをもとに機能改善し、そのたびに自動アップデートしているのでユーザビリティも常に進化しています。いかに楽にアプリを運用してもらうかを重視しているので、テクノロジーに関する知識がない人でも直感的に、楽しく利用・管理していただける工夫を盛り込んでいます。

一方で、身近に使えるアプリであることを意識している分、注力しているのがセキュリティの担保です。

例えばセキュリティを意識したログイン方法、スクリーンショット撮影を禁止してアプリ上で画面キャプチャを保存できないようにする機能、その会社の従業員だけが使えるアプリである点を考慮して、ダウンロード環境をクローズドに設定するなど、セキュリティ面のご要望を伺いながら我々自身も進化し続けています。

「Yappli for Company」で、コロナ禍でも取引先とのコミュニケーションが可能に

「Yappli for Companyでコロナ禍でも取引先との接点をキープできた」という顧客も

−実際のユーザー様のエピソードなどがあれば教えていただけますか?

ヘアカラー製品を扱う医薬品メーカーのホーユー様は、サロン様向けでご利用いただいています。商流は、ホーユー様・代理店様・サロン様・お客様の順になり、販売代理店を通じて全国の美容室に商品を卸していらっしゃいます。

全国に約22万軒もあるといわれているサロン様を隅々まで網羅するにはどうしても限界があるため、理美容師さんに向けて情報発信をされるためにアプリを選択されました。

製品情報だけでなく、ヘアメイクのハウツーなど、カタログでは伝えきれない種類の情報がある、代理店様向けの「商品説明資料」ももちろん必要になるので、その膨大な数を作らなくてはならない上に、全てのパンフレットや提案資料を持ち運ぶことは物理的に難しいといった非効率を感じる場面が散見されていました。

「Yappli for Company」のサービスを導入したことで実現されたことの1つは、全国約22万軒もあるサロン様に「直接必要な情報を動画を交えて配信できる」ということです。前述の製品情報はもちろん、ハウツーなどは写真より動画の方が伝えやすいですし、美容室向けのセミナーや講習もアプリ経由で受講していただくことが可能となっています。

また、別の事例では、これまでは営業スタッフや代理店が店舗に出向かないと、実際製品を使ってみた感想や意見をヒアリングすることができませんでしたが、アプリ内でアンケートを実施すれば短期間で幅広い声を集めることができます。集めたフィードバックはアプリのコンテンツや資料に活用することが可能です。

コロナ禍において、対面の営業や本社に集まってのミーティングを実施しづらいとお困りの企業が多い現在、「Yappli for Companyを導入していたから、取引先との接点をキープし、コミュニケーションを加速することができた」という声をたくさん頂戴しています。

これまで400社以上のBtoB、BtoCサービスに携わってきた経験の中でも、高く評価されているのが、専門チームによる運用支援、集客支援を行うカスタマーサクセス、カスタマーサポートです。プラットフォームならではのスピード感を活かしつつ、自社で運用できるようなサポート体制は今後より強化していくつもりです。

DXの領域にアプリという選択肢を提示していきたい

「Yappli for Company」で業務の非効率に悩んでいる人の手助けをしたい

−今後注力していきたい領域や展望があれば教えていただけますか?

目下直面している課題に対して今できることから着手するスモールスタート、スモールサクセスを積み上げていくことがDXの領域においては重要だと考えています。

DXの必要性は感じながらも、まだまだ「何から始めたらよいか分からない」と困っている企業は少なくないと思います。例えば営業における非効率を感じている、社内研修がしっかりできないといった企業に対して、アプリでそういった課題を解消するという選択肢を提示していくつもりです。

最大の強みである「ノーコードで開発ができる」点をアピールしながら、アプリで気軽にDXを推進し、BtoBコミュニケーションが円滑になるようなお手伝いをさせていただければと思っています。

(取材・文/真貝友香 デザイン/lifebook 構成/RPA BANK編集部)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。