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今注目のiPaaSとは? メリットやデメリット、おすすめツールを紹介

» 2020年08月24日 10時00分 公開
[川内洋平RPA BANK]

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クラウドサービスの導入が盛んに行われるようになりiPaaS(アイパース)という言葉を業務の自動化や、効率化が話題になっている中で、一度は耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。

アメリカでは日本よりもいち早く導入され、大きな効果を出している。一方で日本での認知度はそれほど高くはないのが現状だ。

本記事では、今後日本でも注目されることが予想されるiPaaSについての基本的な概要、メリットとデメリット、導入予算、さらにはiPaaSのおすすめツールなどを紹介していく。

目次

  • iPaaSとは
  • iPaaS導入のメリットと注意点
    1. メリット
    2. 注意点
  • iPaaS導入の予算は
  • 今導入すべきiPaaSを紹介
    1. Zapier
    2. Workato
    3. Anyflow
  • クラウドサービス導入拡大でさらなる普及へ

iPaaSとは

iPaaSはintegration Platform as a Serviceの略称だ。integration Platformは直訳すると「統合プラットフォーム」という意味になる。訳からもiPaaSは何かを「まとめる・結びつける」というようなニュアンスが伝わってくる。

ではiPaaSとはいったいどのようなサービスなのだろうか。具体的に説明すると、iPaaSはクラウドサービス同士の連携、またクラウドサービスとオンプレミスのサービスの連携を行ってくれるプラットフォームのことを言う。プラットフォームというと、少し難しい表現になってしまうが、簡単に言うと、iPaaSが中心にいて、さまざまなサービスがiPaaSと手を結んで繋がっているような感覚だ。

現状、多くの企業ではクラウドサービスというものが採用され始めている。クラウドサービスとはインターネット上にあるデータなどを、ネットワークを経由してパソコンなどで利用できる外部サービスのことだ。いわゆるSaaS(Software as a Service)と呼ばれているものである。業務で使っているGmailなどのWebメールも、クラウドサービスの一つだ。クラウドサービスは安価で手軽に使えるため、現在日本でも主流になり始めている。

しかし、SaaS等のクラウドサービス導入には課題もある。企業の中にはクラウドサービス以外にも、オンプレミスと呼ばれる自社内だけで情報を共有して、管理・運用するシステムを利用しているところもある。SaaS等クラウドサービスが普及する以前まではこのオンプレミスが主流であった。クラウドサービスへの移行が進んでいく中で、今までのオンプレミスも含む全てを自社で管理するのは、非常に手間とコストがかかってしまう。これがクラウドサービスを導入することによる課題だ。

そこで登場するのがiPaaSだ。iPaaSは先に説明した通りさまざまなサービスの連携を行なうので、システム間の連携がスムーズになり、煩雑な管理が解消されることが期待できる。

iPaaS導入のメリットとデメリット

iPaaSの基本的な概要は理解していただけただろうか。

ここからは実際にiPaaSを導入することのメリットと注意するべき点を紹介する。

メリット

・情報共有が容易になる

従来のクラウドサービスはそれぞれが独立しているため、一つのクラウドサービスに登録しているデータが他のサービスでは使えないという問題があった。そのためクラウドサービス上の情報を共有するためには複数のサービスに登録する必要があり、手続きが非常に煩雑であった。しかしiPaaSを使うことで、異なるクラウドサービス上の情報共有を自動的に行うことが可能となる。またオンプレミスからクラウドサービスに乗り換える際も、iPaaSを使えばオンプレミス上の膨大なデータを簡単に移行できる。

・業務削減・業務効率化につながる

iPaaSを使わずに、さまざまなクラウドサービスを統合するのには、時間、コストがかかってしまい、それ自体が業務となってしまう。しかしiPaaSを導入することで、それらの業務を削減することができる。その結果、他の業務にも手が回るようになり、全体の生産性が上がることが期待できる。

・RPAと組み合わせることでさらなる効率化が図れる

同じ自動化のツールとしてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)があるが、RPAはUIの仕様の変化、つまりボタンの位置の変更などがあるとエラーが起きてしまうという弱点がある。そこで、UIの変更が起きないような自社のみで使っているサービスにはRPAを、UIの変化がありそうなクラウドサービス同士の連携による自動化はiPaaSを、といったように使い分けることで、よりよい効率化が実現できる。

デメリット

・全てのクラウドサービスが連携できるわけではない

導入するiPaaSサービスによって、連携できるアプリケーション、クラウドサービスは変わってくる。加えてiPaaSは海外製が主である。そのため日本製のクラウドサービスが導入検討中のiPaaSに対応するかどうかは、前もってしっかりと調査する必要がある。

iPaaS導入の予算

iPaaSの導入予算は、使うiPaaSの製品によってそれぞれである。またWorkatoやZapierなどのiPaaS製品は、動かしているフローの数によっても値段が変わってくるが、1年あたり50万円以上、また100万円以上かかるケースが主である。

今導入すべきiPaaSを紹介

では実際に、それぞれのiPaaS製品の特徴を見てみる。

Zapier

概要

Zapierは2011年創業のZapier社(米)が提供しているiPaaSだ。Zapierの特徴はGmail、Slack、Twitter、Salesforceなど2,000以上の、日本でもおなじみのアプリケーションに多数対応している。Zapierでは「Zap」とよばれるワークフローを作成して、アプリ同士を連携させていく。UIは英語で、まだ日本語対応していない。また特徴として、ノーコードでアプリ同士を接続できるため、非エンジニアの方でも対応できる。

価格は、タスクの数によって変わる。タスクはZapsが正常に実行される回数だ。さまざまなプランが存在するが、大企業向けのプランだと10万タスクで、月6万円ほどだ。14日間のフリートライアル期間もある。

Workato

概要

Workatoは2013年創業のWorkato社(米)が提供しているiPaaSだ。アメリカでは、Workatoは金融サービス1位の会社など、多くのマーケットリーダーに使用されている。またガートナー社によるiPaaS企業の分類によると、Workatoはリーダーに位置付けられている。特徴としては、400以上ものアプリ同士を繋げるコネクターを提供している点、また22万5,000以上の「レシピ」とよばれるフローがWorkatoのコミュニティには存在し、それらを自分好みにカスタマイズできる点がある。Workatoもノーコードでアプリ同士を接続できる。価格は、動いているレシピ数によって変わる。

Anyflow

概要

Anyflowは日本のiPaaSの企業だ。こちらも他のiPaaS製品と同様に非エンジニア向けに作られており、簡単にアプリ同士を繋げることができる。また日本の企業ということもあり、海外のiPaaSが対応していない日本製のSaaSに対応しているのも特徴の一つだ。今後、日本でも大注目のiPaaS製品であると言える。

クラウドサービス導入拡大でさらなるiPaaS普及へ

今回は、iPaaSの基本的な概要や、メリット&デメリット、また実際の製品の特徴について解説した。海外製のiPaaSが多く、UIも日本語に対応していない製品が多いことから、iPaaSはまだ日本で主流であるとは言えないだろう。今後さらにクラウドサービスが企業内で多く導入されていくことを考えると、iPaaSも同じように普及していくと考えられる。

ぜひ気になった方は、フリートライアルを実施しているiPaaS製品もあるため、実際に手を動かしてiPaaSの魅力を体験してみてほしい。

(文/川内洋平 デザイン/藤澤専之介 構成/RPA BANK編集部)

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