新型コロナウイルス感染症の拡大前と後で、契約業務における課題意識はどこまで変わったのか。本稿では、業種別に課題意識の変化を見ていく。
クラウド型契約マネジメントシステムを開発、提供するHolmes(ホームズ)は2020年9月10日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大前後の契約業務に関する実態調査」の結果を発表した。複数拠点を持つ飲食や宿泊、小売り、サービス、建設、IT関連企業において、契約業務に携わった経験のあるビジネスパーソンを対象に実施した調査で、契約関連業務を非効率だと感じる現場の実情が浮き彫りになった。
まず、業務の効率化が必要だと感じている領域を尋ねた項目(複数回答)を見ると、「紙の書類のペーパーレス化」と回答した割合が最も高く63.4%に上った。次いで、「契約関連業務の効率化」(33.2%)、「拠点間を繋ぐワークフローシステム構築」(27.5%)となった。
それぞれをCOVID-19の影響が生じる前と比較すると、「紙の書類のペーパーレス化」が52.5%から63.4%と10.9ポイント増、「契約関連業務の効率化」は31.2%から33.2%と2.0ポイント増加した一方で、「拠点間を繋ぐワークフローシステム構築」は、29.2%から27.5%と1.7ポイント減少した。
最も変化が目立ったのは「ペーパーレス化」のニーズである。COVID-19以前と以後での割合を見てみると、飲食業が28.8%から59.6%と30.8ポイント増。IT関連業についても、51.%から65.2%と14.2ポイント増加しており、COVID-19発生後にペーパーレス化への意識が急進していることがうかがえる。
次に、売り上げの向上以外で、拠点運営業務における課題を尋ねた項目(複数回答)では、「従業員の雇用契約管理に手間・時間がかかる」(30.8%)や「拠点運営にかかるコストの削減」(25.8%)、「店舗従業員の採用・定着」(22.0%)が上位を占めた。「従業員の雇用契約管理」の回答割合は、COVID-19拡大前と比べると、特に飲食業とサービス業での増加幅が著しい。全体では3.2ポイント増だったのに対して、飲食業では7.7ポイント増、サービス業では5.5ポイント増だった。
拠点運営業務における課題において「従業員の雇用契約管理」と回答した業種別割合を基に、COVID-19以前と以後での課題意識の変化を探る。
飲食業は23.1%から30.8%と7.7ポイント増加、サービス業は31.1%から36.6%と5.5ポイント増加した。一方で小売業は、39.5%から32.5%と7.0ポイント減少し、コロナ禍における「従業員の雇用契約管理」に対する課題感の変化について、業種による違いがみられた。
拠点運営に関する契約業務の課題を尋ねた項目(複数回答)では、「契約書や関連書類の書類不備対応に手間・時間がかかる」(44.4%)や「本部と拠点間での契約書等のやりとりに手間・時間がかかる」(33.3%)、「契約書の締結に時間がかかる」(32.0%)に回答が集中した。
これらのうち、「契約書や関連書類の不備」への対策を採っているかどうかを聞くと、飲食業では「対策をとっていない」と回答した人の割合が30.0%、「対策をとるか検討中」が13.3%。建設業においては「対策をとっていない」と回答した人の割合が28.6%、「対策をとるか検討中」が34.3%と、両業種において対応の遅れが垣間見れる。
最後に、契約関連業務で導入したい、あるいは導入済みのツールやサービスを尋ねた項目(複数回答)を見ると、トップ3は、「契約書の電子化」(40.4%)、「社内のワークフローシステム」(32.8%)、「契約書の管理システム」(32.3%)だった。
「契約書の電子化」は40.4%の導入ニーズに対して導入済みは18.9%、「契約書管理システム」は32.3%の導入ニーズに対して、導入済みは18.3%と、双方においてニーズはあるが導入が進んでいない現状が見えた。
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