2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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コロナ禍でイベントがオンラインに移行し、これまでのようなマーケティング活動ができない企業が増えている。一方で、MA(マーケティングオートメーション)ツールなどを駆使し、他社との差別化に成功している企業も存在する。
クリエイティビティにより、顧客のデジタル体験を支援することで知られるアドビ株式会社(東京都品川区)。「Marketo Engage」は同社が提供するMAツールであり、「見込み客からの契約獲得を可能にする」として、数多くの企業から支持されている。従来の方法が通用しない不確実な時代に、マーケティングにおいて必要とされることについて、DXマーケティング&セールスデベロップメント本部本部長祖谷考克氏と、同部マーケティングスペシャリストの虻川稜太氏に話を聞いた。
−コロナ禍により、従来のようなマーケティング活動ができない企業が増えています。オンラインでのマーケティング活動における課題について教えていただけますでしょうか。
祖谷考克氏(DXマーケティング&セールスデベロップメント本部本部長): 分かりやすいところですと、リードの質が挙げられると思います。オンラインイベントはオフラインイベントに比べて気軽に参加しやすいため、参加者には情報収集を目的としている人や、アドビに興味があるだけという人も含まれています。自室にいながらボタン1つで参加できることから心理的なハードルが低く、結果的に多様な層が集まる可能性が高い。しかしそうなるとサービスに本当に興味を持っている見込み客の割合が低くなり、見つけ出すのが容易ではありません。
また、オンラインイベントが当たり前になってくると、イベントが埋没してしまうリスクが高くなります。似たようなイベントが多数開催され、差別化が図りにくい。オンラインイベントはオフラインイベントと違い、独自性が出しづらいという特徴があるのです。
−リードの質や他のオンラインイベントとの差別化に課題があるのですね。これらを解決するためには、どういった工夫が必要だとお考えですか。
祖谷: それぞれの顧客がどのような状態なのかを見極めながら、適切な施策を実行していく必要があります。見込み客をしっかりと見つけ出すことはもちろんですが、アドビに興味がある顧客に対しては、顧客がデジタルの力で実現したいことが出てきた時にまずアドビを想起していただけるような、長期的な関係構築をしていくことが大切です。
また、イベントの差別化では、必要としている顧客にきちんと見つけてもらうための工夫が必要です。「最適な相手(Right Person)」に、「最適なタイミング(Right Timing)」で、「最適な内容(Right Content)」を、「最適なチャネル(Right Channel)」で届けるという「4Rコミュニケーション」という考え方がありますが、私はここにもう1つ、「目につく内容(Remarkable Content)」を加えるべきだと思います。顧客の目につく、ブランドを体現したコンテンツを作ることが大切で、そのためにはマーケターが自分の手でコンテンツを作れるようなツールが必要です。
−これからのマーケティングでは、顧客ごとの状態を見極めて長期的な関係を構築することや、顧客に見つけてもらうための施策が必要になってくるのですね。
虻川稜太氏(DXマーケティング&セールスデベロップメント本部マーケティングスペシャリスト): はい、そうです。弊社が提供するマーケティングオートメーションの「Marketo Engage」では、顧客の属性や行動、そしてその頻度といった情報をデータベースに蓄積し、顧客の興味や関心を理解した上で、アナリティクス・オートメーション・AIの3つの機能を用いて顧客体験を設計します。これによって顧客の状態に合わせた質の高い情報を継続的に届けることができ、顧客とのエンゲージメントを高めて長期的な関係を構築することが可能となります。
特に匿名顧客や見込み客、継続して利用・支持するロイヤル顧客といった、顧客ごとのステージを可視化できる点がポイントです。顧客がどのステージにいるかが可視化できれば、どのような施策を行えばよいかはおのずと明確になるからです。
また、拡張性が高い点も大きな特徴です。「Marketo Engage」の統合プラットフォームは完全にオープンな設計であり、顧客が利用している既存のシステムやデータとつないで活用することが可能です。グローバルでは550以上の検証された連携ソリューションが存在し、この連携機能を生かすことで最適なコミュニケーションを実現することができます。特にSFAやCRMといったツールとの連携が強みであり、情報を取得して活用することが可能です。
−機能以外の特徴があれば、教えていただけますか。
虻川: 機能以外の面では、顧客の要望を先回りして実現できるという特徴があります。例えばQ&Aのページを一週間に10ページ以上見ている既存顧客がいるとします。その情報を察知したら、本来であればカスタマーサクセスが送るメールを、「Marketo Engage」から送付するように実装できます。マーケターがこれまで無理だと諦めていた施策が、「Marketo Engage」を使うことで実現可能となるのです。
ほかにはJMUG(Japan Marketo User Group)という、ユーザーが主体となって運営するユーザーコミュニティがあります。現在2千数百名以上の方にご参加いただいているのですが、マーケティングの施策を共有したり、「Marketo Engage」に関するノウハウについての意見交換が可能で、マーケター同士のつながりの場としてご利用いただいています。マーケターはどうしても孤独になりがちですので、こうした横のつながりがあることで、安心してマーケティング活動に専念していただけると考えています。
−「Marketo Engage」を活用し、効果を出している企業の事例を教えていただけますか。
虻川: クラウドセキュリティサービスを展開しているある企業では、「Marketo Engage」を使い、営業活動に役立つ情報をアラートメールで送っています。内容は「過去に失注した顧客が再度Webサイトを訪れた」「決算月の近い顧客がWebサイトを訪れた」などです。
これによって営業がホットなタイミングを知ることができるだけでなく、Salesforceに入力すればするほど精度の高いアラートメールが飛んでくることに気づき、進んでSalesforceに活動履歴を残すようになったそうです。
また、とある法人向けクラウド車両管理サービス企業では、一度問い合わせがあったものの成約に至らなかった顧客を対象に、メールを対象としたナーチャリングや顧客のタイミングに合わせたアウトバウンドコールをかける取り組みを行っています。その結果、それまでゼロだった失注からの再案件が、案件全体の約50%になったそうです。
ここ数年急速に事業拡大が進むあるバックオフィス支援サービス企業では、「Marketo Engage」を使って「商談エンゲージメント」と呼ばれる仕組みを構築しました。顧客は営業に対して本音を言っているとは限りません。「商談エンゲージメント」は商談ステージが上がったタイミングでマーケターから内容確認のメールが届くようにし、顧客がクリックした内容から何に興味を持っているかを推察し、営業と連携して継続的な顧客育成を行う仕組みです。
商談リードへのメール反応率は、営業に渡る前のマーケティングリードに比べて平均開封率が2倍、クリック数が8.5倍になりました。メール受信をきっかけに見積もり依頼が届き、受注に結びつくケースもあるそうです。
これらの事例から分かるように、「Marketo Engage」は見込み客を獲得するだけでなく、結果を出せるツールとして、多くの企業から高い評価をいただいています。
−オンラインでのマーケティング活動がさらに増加すると予想される中で、今後どのようなことが大切になってくるとお考えですか。また、オンラインにおけるマーケティング活動に悩みを抱えている企業に向けてアドバイスをお願いします。
虻川: 今目の前で起きていることに対して、仮説ベースでも素早く反応することが大切だと思います。マーケターには、今まで常識だと考えられていたこととは異なるアイデアを多く出し、現場を動かしていくことが求められるようになるのではないでしょうか。そしてそれには「Marketo Engage」のような、機動力のあるMAツールが役に立つだろうと考えています。
祖谷: 今はこれから先に何が起こるか予測できない、不確実な時代だと言えます。このような時代においては、過去の成功体験が通用する保証はありません。今後マーケターにはコンフォートゾーンから踏み出してあらゆることを再定義し、クリエイティビティを発揮することが求められるようになるでしょう。
そのためにはまず、どのようにして顧客に新しい価値を提供するのか、その価値はどのようなものであるべきなのかをしっかりと議論するところから始める必要があります。大事なのは目的であり、手段を目的と取り違えてはいけません。新しい一歩を踏み出すのは勇気がいることですが、ぜひ挑戦していただき、これからの時代を切り開いていってほしいですね。
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