コロナ禍によるテレワーク対応などが始まってからおよそ1年。会議の実施状況はどう変化しているのだろうか。以前よりも具体化した会議に関する不満などに焦点を当て紹介したい。
キーマンズネットは2020年12月9日〜23日にわたり「会議の実施状況」に関する調査を実施した。全回答者数145人のうち、情報システム部門が26.2%、製造・生産部門が20.7%、経営者・経営企画部門が10.3%、営業・販売部門が9.7%と続く内訳であった。
今回はコロナ禍による会議への影響を確認すべく、テレワーク制度の導入状況から会議形態の変化、遠隔会議に対しての課題や不満などを調査した。その結果、2020年1月に行った前回調査と比較し、テレワーク制度の導入状況や出張、移動を伴う会議の有無が大きく変化していることなどが明らかになった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
新型コロナウイルス感染症の大流行は、2021年の現在に至るまで私たちの生活を脅かし続けている。人々は新しい生活様式に対応せざるを得なくなり、当然企業活動も同様に変化対応が求められている。その中で今回は“会議”に焦点を当てコロナの影響によってどのような変化があったのかを調査した。
はじめに現在自社でテレワーク制度を導入しているかどうかを聞いたところ、87.5%と大多数の企業で導入していることが分かった(図1)。これを2020年1月に行った前々回調査と比較したところ47.3%(前々回調査後編記事)であったことから、この1年間で40.2ポイントと倍近くまで急伸していることが明らかになった。
次にテレワーク制度を導入済みの企業に対し、テレワーク実施者と会議を実施する際の会議形態について聞いたところ「出社日は対面会議、テレワーク時はWeb会議/ビデオ会議」が55.6%、「対面会議はなく常にWeb会議/ビデオ会議」が38.1%、「出社日に対面会議」が3.2%と続いた(図2)。
この結果も同様に2020年1月の調査と比較したところ、前回2位であった「出社日に対面会議」が21.3%から3.2%に18.1ポイント減少している代わりに、前回3位であった「対面会議はなく常にWeb会議/ビデオ会議」が6.3%から38.1%に31.8ポイント増加している。2020年4月〜5月に発令された緊急事態宣言の影響で、多くの企業が時短勤務や出社日を減らすなどの対応を取るため体制構築を迫られたことは記憶に新しい。そうした背景もありテレワーク会議を中心とした運用形態が定まりつつあるようだ。
2020年に急変した会議の在り方について課題はないのだろうか。調査したところ、全体の61.3%と過半数で何らかの不満や課題を抱えていることが分かった。
具体的には「1回当たりの会議時間が長い」43.8%、「結論が出ない会議が多い」38.2%、「開催するまでもない会議が多い」32.6%、「参加の必要性を感じない会議が多い」31.5%、「会議のルールが定まっていない」29.2%などが上位に挙がった(図3)。
一方でフリーコメントでは遠隔会議について賛否両論が寄せられていた。肯定派では移動や接待にかかるコストが短縮できたことによる生産性向上を挙げる声が多く、導入時には多少の混乱があったものの運用も落ち着いているという意見が目立った。反対に不満や課題に挙げられていた点は下記のようだ。
以上のように不満や課題も明らかになってきたものの、リモートワーク制度の導入によって「出張や移動を伴う会議」自体は大幅に減少していることは事実であり企業にとっては大きなメリットとなっているだろう。2020年1月の前回調査では出張や移動を伴う会議が「ある」とした割合が全体の70.0%を占めたが、今回の調査では「ない」が71.5%となり逆転している。地方自治体によってはコロナ対策により“県をまたぐ移動”の自粛を要請するなど外部環境が大きく変わったことが影響していると考えられるが、前項で取り上げた結論が出ない会議や開催するまでもない会議などを見直し、極力移動を伴う会議を減らそうとした企業や個人の対応も大きかったと予測できよう。
また全体の約3割存在した出張や移動を伴う会議が「ある」企業についても、29.3%が遠隔会議への切り替えを計画しており、46.3%が検討中であることからも今後移動を伴う会議が減少していく傾向にあることは間違いない。一方、こうした状況下にあっても遠隔会議に「切り替えない」としている企業の理由としては「対面で話す必要がある用件会議が多いため」が60.0%と最も多かった。
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