後編では、出張会議の有無やテレワークに焦点を当てて調査結果を解説する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策として注目を集めるテレワークだが、組織制度として取り入れている割合はどの程度か。また、テレワーカーとの会議の実施方法は?
キーマンズネットは2020年1月24日〜年2月6日にわたり「会議の実施状況とIT活用」に関する調査を実施した。全回答者数169人のうち、情報システム部門が26.0%、製造・生産部門が21.9%、営業・販売部門が8.9%、経営者・経営企画部門が6.6%といった内訳であった。
今回は「出張や移動を伴う会議の有無」や「対面会議から遠隔会議への切り替え計画の有無」「テレワーク制度の導入状況」など、主に社外とつなぐ会議の運用実態を調査。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
前編では「会議の参加人数」や「1週間に出席する会議数」「会議に対する課題や不満」について読者に尋ねた。平均的な会議は「数人で1〜2時間、週に2〜3回」で、会議に対する不満は「1回当たりの会議時間が長い」「参加する会議が多く業務時間が削られる」に回答が集中した。後編では、遠隔会議の実施状況などについて解説する。
はじめに2拠点以上を持つ企業を対象に「出張や移動を伴う会議の有無」を尋ねたところ、「ある」は70%だった(図1)。2019年1月に行った同調査では「ある」と回答した割合は63.5%で、この1年で6.5ポイント増加したことになる。
ただし、前編で触れた通り「結論が出ない会議が多い」「開催するまでもない会議が多い」などの割合は前年度より減少傾向にあり、いわゆる”無意味な会議“は減ってきていることから、出張をしてでも出席すべき会議は残っていても開催頻度は下がっているのではと推察できる。
開催頻度は少なくても、出張会議は会議そのものの時間と移動時間がかるため場所によっては1日仕事になることもある。こうした出張会議を遠隔会議にすることで、業務時間の節約にもつながるが、Web会議システムや遠隔会議システムなどに置き換える計画はどのくらいあるのだろうか。
計画が「ある」は76.2%で、「検討中」は12.4%、「ない」は11.4%となり、合算すると88.6%と約9割が遠隔会議への切り替えを検討、計画していることが分かった(図2)。この結果を2019年1月の同調査と比較すると、「ある」が63.5%から12.7ポイント増加した代わりに、「検討中」が6.2ポイント、「ない」が6.5ポイント減少した。ここ1年で遠隔会議への切り替えを検討する企業が増えた。
一方、遠隔会議に「切り替えない」と回答した層にはどういった理由があるのだろうか。理由を尋ねたところ、「対面で話す必要がある会議が多いため」「会社として対面でのコミュニケーションを重視するため」といったコストよりも対面で実施する会議の必要性を訴える回答が多く寄せられた。
今やアジアだけではなく全世界を巻き込んだ問題となっている新型コロナウイルスだが、国内での感染例も見られ、感染防止のために全社的に業務をテレワークに切り替える組織も出てきた。当アンケートの実施時期もちょうどこの問題で騒がれた時期であった。その状況の中で「テレワークを組織の制度として導入しているか」を聞いたところ、「導入している」と回答したのは全体の約47.3%で、約半数の企業がテレワークを制度として取り入れていることが分かった。2019年1月の前回調査と比べると5.8ポイント増加している。
次にテレワーク制度を導入しているとした層に対してテレワーカーと会議を実施する場合の方法について尋ねたところ、「出社日は対面会議、テレワーク時はWeb会議/ビデオ会議」が63.8%、「出社日に対面会議」が21.3%、「対面会議はなく常にWeb会議/ビデオ会議」が6.3%と続く結果となった(図3)。
今回は主に社外または別の拠点にいる従業員との会議方法に焦点を当てた。チームメンバー、取引先との遠隔なコミュニケーションを考えたときに、対面型会議のメリットは否定できない。しかし、2020年1月に入り新型コロナ感染症が猛威を振るい、遠隔会議を余儀なくされるケースも出てきた。こうした予期せぬ事態に備えるためにも、遠隔地に拠点を持たない企業であっても遠隔会議について考えなければならない時期にきたといえるだろう。また、2020年から商用サービスとして展開が期待される「5G」によって、遠隔会議にどういう影響をもたらすのだろうか。
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