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2人に1人が「5年以内にロボットやAIが財務担当になる」と回答【調査レポート】

14カ国の一般消費者と企業や団体の管理職9001人を対象にしたアンケートで、67%が「財務管理については自分以上にロボットやAIを信じる」と回答した。企業の管理職で「5年以内にロボットやAIが財務担当者の役割を担う」と回答した割合は半数を超えた。

» 2021年02月16日 08時30分 公開
[キーマンズネット]

 日本オラクルは2021年2月15日、Oracleと米国の金融専門家ファヌーシュ・トラビ(Farnoosh Torabi)氏が実施したお金や財政、予算に対する態度と行動、金融業務や管理に対するAIやロボットの役割と期待に関する調査の結果を発表した。それによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、家庭や職場、社会における人々とお金の関係にマイナスの影響を及ぼした。管理職が抱える財務の不安とストレスは、パンデミック前と比べてグローバルで186%、日本では122%増加した。一般消費者においても、財務状況に対する不安とストレスはパンデミック前と比べて100%(日本は71%)増加したという。

 同調査は米国と英国、ドイツ、オランダ、フランス、中国、インド、オーストラリア、ブラジル、日本、アラブ首長国連邦、シンガポール、メキシコ、サウジアラビアの14カ国の一般消費者と、企業と団体の管理職を対象に実施し、合計9001人から回答を得た。

財務の仕事をロボットやAIが担う日……背景に先行き不透明な世界経済への「不安」

 調査結果によると、企業や団体の管理職は低速な経済回復/景気後退(51%)や予算縮減(38%)、倒産(27%)に対して懸念を持っていた。一般消費者は失業(39%)や貯蓄の減少(38%)、抜け出せない借金状態(26%)といった経済不安を経験していた。

 世界的な金融不安は、財務管理に対する信頼の在り方にも変化を及ぼしている。オラクルは「財務の複雑さを切り抜ける方法として、人間以上にITを信頼する人が増えてきた」としている。具体的には、財務管理において「人間以上にロボットやAIを信頼する」と回答した割合はグローバルで67%、日本では91%に上った。企業に限定すると、財務管理で自分以上にロボットやAIを信頼している管理職の割合は73%、自社の財務部門以上にロボットやAIを信頼している管理職は77%を占めた。

 この傾向は一般消費者でも同様で、財務管理において自分以上にロボットやAIを信頼している割合は53%、個人金融アドバイザー以上にロボットやAIを信頼している割合は63%だった。

 また、管理職の56%が「今後5年以内にロボットやAIが財務担当者の役割を担う」と考えていた。「財務業務の支援をロボットやAIから受けたい」と考えている管理職の割合は85%に及んだ。これに対して、財務担当者に注力してほしいこととして管理職は、顧客とのコミュニケーション(40%)や値引き交渉(37%)、トランザクションの承認(31%)を挙げた。

 一般消費者でも、その42%が今後5年以内にロボットやAIが個人金融アドバイザーの役割を担うと考えており、76%がロボットやAIに自身の財務管理の支援を求めたいと考えていた。

 これらの結果を受け、オラクルは「財務部門や金融アドバイザーの役割がパンデミック前の状態に戻ることはない」と指摘する。同社は、企業の財務担当者や個人金融アドバイザーはITの影響と役割の変化を受け入れ、新たなスキルを身に着ける必要があると述べている。

 一般消費者の物品やサービスの購入方法にも、新型コロナウイルス感染症は影響を与えたことが明らかになった。「現金の扱い方に変化が生じた」と回答した割合は72%に上った。具体的には、現金を扱う際に「不安に感じる」と回答した割合は26%、「恐怖を感じる」は23%、「不衛生に感じる」は19%あった。現金のみでの取引は「ビジネス交渉を難航させる」と回答した割合は29%だった。

 企業もこうした一般消費者の態度に機敏に対応しており、管理職の69%が「デジタル決済機能に投資した」と回答した。

 トラビ氏は「財務管理は安定した時代においても困難であり、パンデミックによる金融不安は家庭と職場での財務課題を深刻化させた。ロボットやAIはこれを上手に支援できる。ロボットやAIは数字に強く、お金に対して感情的にならない。『人間の財務専門家が不要になる、またはロボットやAIによって全面的に取って代わられる』わけではないが、人間の役割が変化する中で、付加価値の高い業務やデータを活用し仮説を立てるなどのスキル向上に注力すべきであることを調査は示唆している」と述べている。

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