2020年の外付け型ストレージシステムの支出額は、メインフレーム向けが5年ぶりに300億円以上の規模となった。ベンダー別売上額シェアを見ると、あの2社が2019年と比べて順位を上げた。
IDC Japanは、2020年第4四半期の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額は456億1600万円で、前年同期比11.2%減だと発表した。2020年通年で見ると、1940億1400万円で、前年比7.1%減となった。
セグメント別で内訳を見ると、メインフレーム向けが71億1500万円で前年同期比14.5%減、オープン向けが385億100万円で同10.6%減となった。メインフレーム向けは、2019年第3四半期から大幅なプラス成長が続いていたが、今期はその反動で減少に転じた。オープン向けは、同じ2019年第3四半期からマイナス成長が続いている。
その結果、2020年通年の外付型エンタープライズストレージシステム支出額のセグメント別内訳は、メインフレーム向けが315億3300万円で前年比27.3%増、オープン向けが1624億8100万円で同11.7%減となった。
メインフレーム向けは、大型案件やオールフラッシュアレイ(AFA)の新製品がけん引し、2年連続のプラス成長になり、大手金融機関の大型案件があった2015年以来の300億円以上の規模となった。メインフレーム向けなどのインフラ更改は長期間のプロジェクトとして進められ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に対して短期的な判断を避ける傾向があることから、大きな遅滞なくインフラの導入が進んだ。
その一方でオープン向けは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)のアプライアンス製品が好調ではあったものの、COVID-19の影響による経済活動の低迷を受け、更新案件の延期やクラウドサービスへのシフトが相次いだ。
2020年の国内外付型エンタープライズストレージシステムでは、AFAの支出額が550億900万円で前年比0.4%減となり、2013年のアレイタイプ別調査開始以来、初の前年割れとなった。
メインフレーム向けでは対象製品の拡大が寄与して増加したものの、COVID-19の影響が顕著であったオープン向けでは前年比でマイナス成長となった。しかし、市場の成長率がAFAの成長率を下回っているため、2020年の国内外付型エンタープライズストレージシステム支出額に占めるAFAの割合は28.4%で、前年の26.5%を上回った。
2020年通年の国内外付型エンタープライズストレージシステム売上額は1834億6400万円で、ベンダー別売上額の上位5社は日立製作所(16.0%)、富士通(15.9%)、デルテクノロジーズ(13.7%)、IBM(9.4%)、NEC(9.0%)だった。メインフレーム向けが好調であったことを受け、前年と比べてIBM位とNECが順位を一つ上げた。
IDC Japanの加藤慎也氏(エンタープライズインフラストラクチャ シニアマーケットアナリスト)は「2020年はCOVID-19の影響によって、保守契約の延長を伴う更新案件の延期が多く発生したことなどにより、支出額は大きく落ち込んだ。しかし、案件が縮小や消滅したのではなく延期したのであれば、近い将来に案件獲得の機会が期待できる。すなわち、ストレージベンダーのシェアは、このような需要の獲得によって変化する。需要獲得に際しては、優れた製品技術に加えて、ユーザーに対する投資リスクの軽減が差別化要素になる。すなわち、従来型の買い取りや定額のリースとは異なる、従量課金制によるオンプレミスのインフラ利用などの選択肢の提供が、ユーザーの支出の最適化に寄与する」とコメントする。
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