調査によると、2020年のネットワーク機器の市場規模は前年よりも拡大した。しかし内訳を見るとベンダーごとに明暗が分かれた。2022年以降の見通しは。
IDC Japanは2021年6月14日イーサネットスイッチ、ルーター、企業向け無線LAN機器からなる国内ネットワーク機器市場について、2020年の規模とベンダー別シェアを発表した。
2020年の国内ネットワーク機器市場規模は3551億円で、2019年の3155億円から12%超拡大した。市場拡大の背景には、商用5G(第5世代移動通信システム)サービスやGIGAスクール構想、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの影響がある。特特にGIGAスクール構想が企業向け(非コンシューマー向け)ネットワーク機器市場をけん引したことから、ベンダーシェアにも変化をもたらした。
ベンダー別の市場シェア(支出額ベース)は、1位が48.3%、2位は6.1%、3位は5.3%、4位が4.7%、5位が4.0%だった。
1位のシスコシステムズはGIGAスクール向けのクラウド管理型ソリューションやWi-Fi 6対応製品、通信事業者向けの5Gサービス向けルーターやイーサネットスイッチで高いシェアを獲得した。同社は2019年には過半数のシェアを獲得していたが、2020年は躍進した2位以降に押された。ただし支出額は対前年比で伸びている。3位のアライドテレシスと5位のヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)はGIGAスクール向けでシェアを伸ばした。特にHPEは、企業向けイーサネットスイッチや無線LAN機器でも躍進した。
IDC Japanは2021年以降について「2020年をけん引したGIGAスクール向けの反動で市場環境は厳しくなる」と予測する。IDC Japan コミュニケーションズのグループマネージャーを務める草野賢一氏は、「GIGAスクール向けビジネスで成功したベンダーも、期待に届かなかったベンダーも、そこで得た製品やパートナー、顧客との関係性に対する経験を、2021年以降の競争に生かすべきだ。特にGIGAスクール向けで十分な成功に至らなかったベンダーは、製品展開や顧客との関係性構築の遅れといった要因をどのように改善し、次の機会にどのように備えるかを十分議論すべきだ」と述べている。
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