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2022年のIT業界動向展望、3割の組織で起きる“さよなら上司”とは?

ガートナーは2022年以降のIT部門とユーザーに影響を与える展望を発表した

» 2021年11月11日 13時16分 公開
[キーマンズネット]

 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2021年11月11日、2022年以降のIT動向のヒントとなる「重要な戦略的展望」を発表した。同発表はグローバルで同年10月19日に公開したものだ。

2022年以降の戦略的展望トップ10(出展:ガートナーのWebサイト)

5億人がチャンスを手に入れ、3割のチームに上司がいない世界

 ガートナーが発表した展望のトップ10と重要な指標は以下となる。

データ……2025年、70%

 2025年までに、シンセティック・データ(AI技術を用いて生成された合成データ)の成熟によって顧客の個人データの収集が減少し、プライバシー侵害制裁措置の70%が削減される。

 合成データは、実際のデータの代理として機能するためセンシティブな情報の収集や使用、共有の頻度を下げ、AIによる未来予測に寄与する。

追跡……2024年、40%

 2024年までに、消費者の40%は、収集された自身の個人データの価値を意図的に下げて収益化を困難にするために、行動追跡指標の裏をかくようになる。

 消費者は企業が個人データから得る価値をますます認識するようになっている。それに対抗して一部の消費者は、偽の情報を共有したり、興味のない広告をクリックしたりするなどして、そのような追跡方法を弱めようとしています。

行動……2027年、25%

 2027年までに、Fortune 20企業の4分の1は、ニューロマイニング(行動知能や関連技術を応用して、人間の行動を分析・理解し、大規模に影響を与えること)を利用して潜在意識下の行動に大きな影響を与える企業に取って代わられる。

監督管理……2024年、30%

 2024年までに、企業チームの30%では、仕事の自律化とハイブリッド化により上司不在になる。

 パンデミックによって業務アジリティやビジネスプロセスの本質的合理化が進んだ。これには、上意下達の意思決定からピアツーピアの意思決定への移行が含まれ、ハイブリッドな仕事環境でボトルネックを減らして時間を節約できるようになった。ハイブリッドな仕事が続く中では、従来のマネジャーの役割をなくすことが効率化のためのより現実的なルートになり得る。

人材……2026年、30%

 2026年末まで、アフリカ全体で開発者の人材が30%増加することで、アフリカは世界をリードするスタートアップ・エコシステムに生まれ変わり、ベンチャー投資の増加率でアジアと肩を並べる。

 ベンチャーキャピタルの流入によってアフリカのいくつかの国では「イノベーションハブ」の開発が進み、大企業と新興企業の連携を強化して人材や海外からの投資を呼び込むことが期待される。今後3年間で、非公式な教育チャネルの増加によってアフリカ全土で約90万人のプロの開発者が誕生し、世界の投資家が新興市場としてアフリカを選ぶようになる。

コンポーザビリティ……2024年、80%

 2024年までに、調査対象のCIOの80%は、業績の向上が加速した理由の上位5項目に、コンポーザビリティによるモジュール型のビジネス再設計を挙げる。

 コロナ禍以降も市場の混乱は続き、先進的なCIOはそれをチャンスと捉えるように考え方を変えている。相互依存性を最小限に抑えるために業務資産をモジュール化して再設計することで、業務を迅速かつ容易に、そして安全に再構成することが可能になる。

サイバー攻撃……2024年、G20

 2024年までに、サイバー攻撃が重要インフラストラクチャに大きな障害を引き起こし、G20加盟国は物理的な攻撃を宣言して反撃する。

 従来、サイバー攻撃は犯罪として扱われてきた。しかし近年の重要インフラを狙った攻撃による被害の増加に対して一部の政府はサイバー戦争への備えを進めている。短期的には企業がサイバー攻撃に対する防御の主要な責任を負うが、攻撃が深刻化すれば軍の関与が必要となるだろう。

顧客……2025年、75%

 2025年までに、企業の75%は、「適合性の低い顧客を維持するコスト」が「適合性の高い顧客を獲得するコスト」を上回ることを理由に、適合性の低い顧客と「決別」する。

 製品やサービスを購入した後に、積極的にその顧客を特定して決別する企業はほとんどありません。しかし適合性の低い顧客を維持することは、顧客を満足させるために費やす時間だけでなく、機会損失、ブランド価値の低下、長期的な利益の減少などの面でコストがかかる。

暗号……2026年、NFT

 2026年までに、NFT (非代替性トークン) のゲーミフィケーションを活用する企業は、最も評価の高い企業の上位10社にランクインする。

 NFTはデジタルエコシステムの効果を支え、企業の評価を加速させる強力なマーケティング・ツールとなる。ガートナーは、2024年までに上場企業の50%が、自社ブランドやデジタルエコシステムの存在感を支える何らかのNFTを持つようになると予測する。

デジタル……2027年、10億人

 2027年までに、低軌道衛星によって世界の最貧困層の10億人がインターネットを利用できるようになり、そのうちの50%が貧困から抜け出す。

 衛星バックホールを利用することで、携帯電話基地局の設置や運用のコストを大幅に削減できる。人口の少ない地域にも経済的にネットワークを拡大でき、文化やコンテンツの面でインターネットに大きな影響を与える。

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