メディア

さよなら、8ビットCPU「Z80」:757th Lap

誕生して48年、長く愛された8ビットCPU「Z80」。いよいよ、生産が終了されるらしい。今も組み込み系システムなどで利用されているというが、Z80がなくなっても問題ないのだろうか。

» 2024年05月10日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 「Z80」と聞くと、懐かしく感じる人もいることだろう。1970年代後半から1980年代にかけて、当時主流だった8ビットコンピュータの多くでCPUにZ80が採用された。

 一部は互換チップではあったものの、国産PCでいうと「PC-6001」「PCー8001」「MZー80K」「MSXシリーズ」など、多くのZ80搭載機種が存在した。個人向けコンピュータ以外にも、ゲーム機や音楽機器など電子製品に幅広く採用されている。

 そんなZ80の生産がついに終了するという。いやいや、「まだ、生産されていたの?」と思う人もいるだろう。2024年となった今も組み込みシステムなどさまざまな機器での需要があるというが、今も必要とする業界に影響はないのだろうか?

 Z80は、1976年にZilogによって販売された8ビットマイクロプロセッサだ。同じく8ビットマイクロプロセッサの「Intel 8080」より2年遅く市場に登場したものの、豊富な命令セットに加えて安定性が高く、何より低コストであったことから、冒頭で触れたようにコンピュータやゲーム機など、さまざまな製品に採用された。

 Z80向けに最適化されたOS「CP/M」との相性は抜群で、1970年代後半から1980年代の多くの個人向けコンピュータやビジネス向けコンピュータで採用された。

 意外なことに、Microsoftが1980年に初めて発売したハードウェア製品もまたZ80に関係していたという。「Microsoft Z-80 SoftCard」という拡張ボードで、「Apple II」に装着することでApple IIでもZ80アーキテクチャおよびCP/Mが利用できたという(ちなみにApple IIのCPUはMOS 6502だった)。それほどまでにZ80は当時のコンピュータ業界を席巻したのだ。

 そんなZ80の生産が、誕生から48年を経ていよいよ終了するという。Tech系情報サイト『Ars Technica』が2024年4月23日に掲載した記事によれば、2024年4月15日にZilogはZ80の製造を終了する旨をニュースリリースで発表したという。

 もちろん、現在販売されている製品は1976年発売当時のZ80そのものではなく、互換性のある「Z84C00」と呼ばれるマイクロプロセッサだ。しかし、その外観は当初と変わらないデュアルインラインパッケージ(DIP)のままだ。コアプロセッサ本体を長方形のセラミックまたはプラスチックで覆い、側面に20本のピンを備えるいわゆる「ゲジゲジ型」のチップだ。CPUの外観といえば、いまだにZ80のそのゲジゲジ姿を思い出す人は少なくないだろう。

 クロック数など使用は若干異なるが、Z84C00チップには13モデルが存在している。その全てが製造停止になるという。ZilogはZ80と互換性のある「eZ80」を提供していて、今後はZ80の需要をeZ80でカバーするという。

 また他社の互換製品も幾つか存在し、パッケージや仕様は異なるものの、Zilogの製造中止によってZ80を今後も必要とする業界が大きく混乱することはなさそうだ。ただ、古式ゆかしいあのゲジゲジ姿が消えてしまうのは惜しいところだ。


上司X

上司X: Zilogが48年にわたって作り続けてきた「Z80」が、いよいよ製造中止になる、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: あのゲジゲジしたCPUがいままでずっと製造され続けていたんですね。


上司X

上司X: そうみたいだね。


ブラックピット

ブラックピット: ところで「Z80」の読み方はどういう感じです? あと「Z-80」っていうふうにハイフンは入らないんですか?


上司X

上司X: う、俺は登場以来「ゼットハチマル」と呼んでいたが、正しくは知らん。それから表記はずっとハイフンがある認識だったけど、今回読んだZilogのリリースにはハイフンがなかったから「Z80」と書いているのさ。


ブラックピット

ブラックピット: そうですか。聞いておいてなんですが、別にどっちでもいいんですけどね。


上司X

上司X: なんだよ、それ。


ブラックピット

ブラックピット: それにしても互換チップや後継チップはあるし、結局のところZilogがオリジナルのZ80を作らなくなってしまったとしても、Z80自体はまだこの世に残り続けそうですね。


上司X

上司X: そうだな。なかなかロマンがあっていいじゃないか。登場して48年が過ぎても、まだ現役で使われる技術ってのはまれな存在だ。俺たちが業界や人生から退場するまで、いや退場したとしてもずっと使われていてほしいものだね。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。

編集部からのお知らせ