「販売管理」の事例、比較、解説記事を総まとめ

　販売管理システムの基本機能には、見積管理、受注管理、売上管理などの販売管理機能と、請求管理、入金管理、入金消込などの売掛管理機能が挙げられる。製品によって詳細機能は異なるものの売上データの集計や分析機能なども提供される。お金の流れはモノの流れとも密接に関係することから、仕入管理や在庫管理の機能も含めて販売管理システムと定義することもできる。

　サービス業などモノの仕入れが発生しない業種もあり、その場合には在庫管理という発想もない。そこで仕入管理や在庫管理機能を別製品で提供し、必要に応じて販売管理システムと連携させて使うことを前提とするベンダーもある。

製品選定時の注意点

　販売管理業務には付随する周辺業務が多く存在する。密接に関連するのは仕入や在庫の管理機能だ。

　商品の販売チャネルとして、外部ディーラーや小売店だけでなく、自社からの直送体制も備えるという企業の場合、売上処理と同じ画面内で仕入処理を行える周辺業務モジュールが提供されれば、作業の効率化と同時に仕入計上の漏れ防止まで実現できる。

　重要となるのは、カスタマイズの手間をかけることなく周辺業務モジュールが自動で販売管理システムと連携することだ。これによってユーザー企業は周辺業務の作業負荷を大幅に軽減できる。

帳票設計の柔軟性はあるか

　帳票は、大きく2種類に分けられる。一つは販売管理業務自体で使用するもので、顧客に対して発行する見積書や請求明細書、社内で使う売上伝票などが挙げられる。もう一つは予実対比表や取引実績一覧表など集計、分析したデータを閲覧するためのレポート類だ。

　前者は取引先の要望に応じたカスタマイズが必要になるかもしれないし、後者は経営マネジメント層が見やすい形での提示が求められるかもしれない。帳票類を自由に設計できる機能が提供されるかどうかはチェックしておきたい。

ライセンス体系はどうか

　パッケージソフト型の販売管理システムは、1台のPCにインストールしてスタンドアロンとして使うか、サーバを立ててネットワーク経由で複数のPCから利用するかのどちらかになる。

　前者は売り切り型が多く、3台のPCで使いたいならライセンスも3つ購入することになる。後者は5台単位あるいは10台単位といったレンジで料金設定がされる。自社が何台のPCで利用するかで製品の価格が変わることに留意しておく必要がある。売り切り型を選ぶ場合、製品のバージョンアップや買い替えのために追加コストを支払う必要があるかどうかも注意しておきたい。一般的には年間保守サービスの範囲内でバージョンアップに対応するベンダーが多い。

　近年は販売管理機能を中心にSaaS型の製品も登場している。利用ユーザー数やデータベース作成数に応じて課金（月額／年額）される他、初期費用が発生する製品もある。

　自社の利用形態や外部要因の変化も見据えながら、ライセンス体系と保守サービスメニューも考慮して、一番コストメリットの出る導入形態を精査することが重要だ。

保守サービスのカバー領域はどうか

　保守サービス契約には、バージョンアップや機能追加、法改正への対応、リモートサポートが含まれることが一般的だが、よりきめ細かなサービスメニューを提供するベンダーもある。例えばパッケージソフトの場合、売上実績データをクラウドにアップしてモバイル端末などから参照できるようなメニューを提供するところもある。

　いわばユーザー企業が必要とする機能を保守サービスの中でカバーするものだ。自社のニーズに即した保守サービスかどうかも十分にチェックしたいポイントだ。

販売管理システム導入で、ありがちな失敗はコレ

　帳票の独自フォーマットにこだわり過ぎると、販売管理システムそのものの費用以上にカスタマイズ費用がふくらんでしまうことがある。しかも1年後にはその帳票を使わなくなってしまったという例もあるので注意が必要だ。

　販売管理システムには、集計や分析機能も搭載される。不要なコストを極力減らすためには、パッケージの機能に自社業務を合わせるという対応も検討すべきだ。外部ツールと連携して集計や分析機能を提供する製品もある。使い慣れたExcelを使って自社の望む帳票フォーマットを作成できることもあるだろう。