日本は米国、英国より出遅れ? テレワーク向けセキュリティ調査
新たに公表されたコロナ禍のサイバーセキュリティに関する調査では、テレワークを支援するために新規でセキュリティ対策を導入した日本企業の割合は73%で、米国や英国よりも10ポイント以上低かった。
セキュアエイジは2021年12月6日、「2021年セキュアエイジ コロナ禍のサイバーセキュリティに関する調査―日米英3カ国比較」の結果を発表した。コロナ禍のサイバーセキュリティへの懸念と、将来への備えについて日本、米国、英国の3カ国で調べたものだ。
調査結果によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として実施したテレワークを支援するために、新たなセキュリティ対策を導入した日本企業の割合は73%。これは、米国(83%)や英国(86%)の企業よりも10ポイント以上低い結果となった。
日本企業が導入した新たなセキュリティ対策では、「データの暗号化」を挙げた企業の割合が最も高く46%を占めた。この値は、米国(35%)や英国(39%)よりも高く、日本企業はデータの暗号化に優先的に取り組んでいることが分かった。
一方で「2要素認証の必須化」(日本企業の37%)や、「VPNの構築」(同35%)、「テレワークを行う従業員にウイルス対策ソフトの提供/インターネットセキュリティソフトの提供」(同38%)は、米国や英国よりも低かった。なお、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時にサイバー侵害を経験したことを認めた企業の割合は、英国が最も高く40%。これに対して日本は32%、米国は39%だった。
日本はセキュリティ予算の不足が課題に
新しいサイバーセキュリティ対策を導入した企業のうち、新たなサイバーセキュリティのプロトコルや戦略の導入障壁として「実装に関する技術的な問題」を挙げた割合は、日本と英国が38%、米国が41%だった。2番目の障壁として、日本では「予算の不足」を挙げた企業の割合が28%、米国と英国では「従業員が乗り気でなかったこと」がどちらも25%だった。
この点についてサイバーディフェンス研究所の専務理事で上級分析官を務める名和利男氏は、「米国や英国の企業と比べて日本企業は『経営幹部が対策に疑念を抱いていたこと』が新たなサイバーセキュリティ対策を実装するに当たっての最大の課題だ。日本企業の経営幹部はサイバーセキュリティの責任があることを自覚し、自らの能力を向上させるための努力に着手する必要がある」と述べている。
サイバー攻撃を回避するために効果的だと思う方法については、日本では「パスワード保護の強化」と「従業員を対象としてサイバー攻撃を回避/サイバー攻撃に対処するためのベストプラクティスを紹介するトレーニングを実施すること」がトップ2。実際に、パスワードを保護するためのベストプラクティスに特化した公式トレーニングを実施したと回答した企業の割合は41%だった。
これに対して米国と英国のトップ2はどちらも「従業員を対象としてサイバー攻撃を回避/サイバー攻撃に対処するためのベストプラクティスを紹介するトレーニングを実施すること」で、「パスワード保護の強化」はいずれも3位だった。この結果について名和氏は、「日本企業に残存している『横並び意識』と『同調圧力』に起因すると見られ、単一的なトレンドに集中した対策強化が見られている状況と符合する」と述べている。
サイバーセキュリティソリューションへの投資には日米英ともに積極的だ。「2022年にサイバーセキュリティ関連予算を増やす」と回答した企業の割合は全ての国で半数を超えた。
具体的な投資分野では、「クラウドソリューション」(58%)、「ファイル暗号化」(49%)、「HDD暗号化」(40%)が日本企業のトップ3。これに対して米国と英国では、「ファイル暗号化」や「HDD暗号化」よりも「クラウドソリューション」を重視していた。
今回の調査結果を受けてセキュアエイジでは、適切なトレーニングを受けるだけで将来のデータ漏えいを防げるのか、あるいはリアルタイムで発生している攻撃に先んじて迅速に対応するための正しい対処方法は果たして存在するのかが問題だと指摘する。同社は、サイバーセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性を最小限に抑えるためには、全てのデータを根源で保護する戦略を持つことこそが、企業にとって最大の防御になるとしている。
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