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安否確認サービスとは? メリットやデメリット、主要サービスを解説

災害時に従業員の状況を素早く把握して事業の継続や不要なリスクの回避を支援する。東京都内の企業を中心に導入が推奨されるが普及率は高くない。

» 2022年01月21日 07時00分 公開
[キーマンズネット]
  • 安否確認サービスで何ができるのか
  • 安否確認サービスの普及率
  • 安否確認サービスのメリット/デメリット
  • 主要サービス6つ

 安否確認サービスは、災害などの発生時に従業員やその家族の安否情報を自動で収集する。収集した情報はマネジャーや経営者に集約され、従業員の安全確保や事業継続の判断などに活用される。

 自然災害や感染症の流行などによる事業の停止やサプライチェーンの分断を契機に注目されるようになったBCP(Business Continuity Planning|事業継続計画)ニーズに応えるものとして、コミュニケーションツールのベンダーなどがサービスを展開している。

安否確認サービスで何ができるのか

 一般的に実装されているのは、従業員の安否情報を集計できる機能だ。災害発生時に従業員の端末に通知が届き、従業員は「けがをしていないか」「どこに滞在しているか」「出社の予定はあるか」などを選択して返信する。

 サービスによっては従業員同士でメッセージのやりとりをできる機能や掲示板機能、感染症対策として健康状態を確認する機能などを付帯する。

 通知の方法は電子メールやスマホアプリのプッシュ通知、SMS、SNSなどがある。従業員からの回答方法も「アプリ内で回答する」「電子メールで返信する」「Webサイトから連絡する」「自動応答の電話」など、サービスによって異なる。

安否確認サービスの普及率

 BCPの観点から政府も導入を推奨するが、普及率は高くない。

 2021年5月に東京商工会議所が発表した調査結果によると、従業員の安否確認手段として有料の安否確認システムを導入している企業は27.1%、災害用伝言ダイヤルなどの無料サービスを利用している企業は28.8%だった。最も普及しているのは一般のインターネットサービスで、62.7%が「メールやSNS(「Twitter」「Facebook」「LINE」など)を利用する」と回答した。

安否確認サービスのメリット、デメリット

 一般のインターネットサービスによる情報収集は慣れたツールを使える利点がある一方で、非常時の通信品質は保証されない。安否確認サービスを導入すれば災害対応に最適化した仕組みで情報が収集でき、電話やメールなどの個別連絡が不要になる。また、東京都内の中小企業は導入にあたって助成金が申請できる。

 一方で、活用の機会は非常時のみのため高額なサービスの導入は難しい。また、従業員個人の端末を使ったりプライベートの連絡先を連携したりする必要があること、サービスを活用した情報収集フローを構築したり利用者を教育したりといった、BCPへの組み込みが必要になることなどがデメリットとなる。

主要サービス6つ

 安否確認サービスのほとんどが国産サービスだ。各社がシステムの堅固性やUIの使いやすさ、他社のコミュニケーションツールとの連携などを強みとする。以下に主要な6サービスを紹介する。

トヨクモ

 シンガポールにメインシステムを置き、日米でバックアップをとる堅固なインフラ基盤を特徴とする。回答はメールかアプリを利用する。サービス価格は月額6800円〜で、従業員数によって異なる。

セコム安否確認サービス

 警備サービスのセコムが提供する安否確認サービスで、24時間365日体制の専門スタッフによる情報収集や誤報判断、サポートを強みとする。災害時以外の緊急連絡網としての活用や感染症対策として従業員の健康状態確認も可能だ。オプションでLINE連携にも対応する。

Biz安否確認/一斉通報

 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズによるサービス。NTTビルをはじめとした自社通信インフラの信頼性を強みとする。地震時の安否確認の他、インフルエンザや台風、大雪などの対応にも利用可能。料金は初期費用+月額固定費+IDごとのサービス使用料となる。

LINE WORKS

 LINEのビジネス向けコミュニケーションアプリに搭載されるアンケート機能で安否情報を集計できる。掲示板機能で情報共有も可能。フリープランで100人まで対応でき、月額300円/ユーザーのライトプランでは利用人数は無制限となる。

安否LifeMail

 コム・アンド・コムによるサービス。メール通知の他、LINEやTwitter、Facebookとの連携によって利用のハードルを下げ、回答率を上げられる。初期費用15万円で、月額80円/ユーザーとなり、ランニングコストの低さを強みとする。

ANPIC

 静岡大学と静岡県立大学、アバンセシステムが共同開発したシステムで、100名までなら初期費用5万円+月額5510円で利用でき、コストパフォーマンスに優れる。LINE連携やアプリの利用が可能だ。

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