メディア

Windows Server 2012サポート終了への対策状況(2022年)/前編

「Windows Server 2012/2012 R2」延長サポート終了の2023年10月が近づいている。キーマンズネット編集部は読者アンケートを実施し対応状況を聞いた。前編となる本記事では、OSの移行状況や移行先のインフラ基盤、その選定理由などを読み解く。

» 2022年03月18日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2022年2月18日〜3月4日にわたり「Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了に関する意識調査」を実施した。全回答者数220人のうち情報システム部門が42.3%、営業/営業企画・販売/販売促進部門が15.0%、製造・生産部門が14.1%、経営者・経営企画部門が5.4%と続いた。

調査インデックス

  • 意外と把握していない、業務システムのサポート終了時期
  • Windows Server 2012サポート終了まで1年半、移行計画の進捗状況は
  • 移行先インフラ基盤は、Windows Server 2008 EOS時と大きく異なる結果に

 2023年10月の「Windows Server 2012/2012 R2」延長サポート終了を前に、「利用しているWindows Server製品のバージョン」や「移行の進捗状況」「移行前後のインフラ基盤」など、企業の対策状況を調査した。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があり、事前にご了承いただきたい。

利用中の業務システムの“サポート終了”時期の認知度は?

 「Windows Server 2012/2012 R2」の延長サポート終了を2023年10月に控える。残り1年半を“余裕”と捉えるか“切迫”と感じるか、自社の取り組み状況にもよるところも大きいだろう。

 そこで、利用中の業務システムのアプリケーションやサーバOSのサポート終了時期についての認知度を調査したところ、全体の34.1%が「知らない」と回答する結果となった(図1)。

図1:利用中のアプリケーションやサーバOSのサポート終了時期の認知度

 一方、自社で何らかのWindows Server OS搭載の製品を利用している企業は全体の92.4%と大多数を占めており、こと日本市場においてWindowsを利用する企業割合が高い状況が続いている(図2)。

 中でもWindows Server 2012/2012 R2の利用率は合わせて33.7%と最も高い割合を示している。自社が利用しているシステムのサポート終了時期を認識できていない企業は注意が必要だ。また、既にサポートが終了しているWindows Server 2000〜2008 R2製品が5.2%残っている状況も見て取れた。

図2:利用しているWindows Server製品のバージョン

 次に、OSの移行計画の進捗状況や移行先のインフラ、その選定理由を見ていく。クラウドファーストでインフラを選択する企業は増えているが、キーマンズネット読者の企業はどうだろうか。

延長サポート終了まで残1年半……移行計画の“進捗”は

 Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了に向けた進捗状況を聞いたところ「移行を完了した」と回答した人は全体の22.1%、「移行中」は16.9%と約4割が完了および着手している。また、「計画中」(29.1%)や「調査中」(16.3%)も併せて45.4%で、検討も進んでいる状況が分かる(図3)。

図3:Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了に際しての移行計画

 移行後のサーバOSでは、「Windows Server 2019」(47.6%)や「Windows Server 2022」(17.2%)が多く選択されている(図4)。「Windows Server 2012/R2(継続利用)」も11.0%と一定数存在し、仮想化や最大3年間提供される「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU:Extended Security Updates)」などを利用した “延命”を選択するケースも少なくない様子だ。

 また、「その他」(9.7%)の回答では「オンプレからSaaSサービスに移行」や「VMもしくはAWS上で稼働」といったクラウドへの移行を中心に、ITライフサイクル自体の見直しを図る意見が挙がっている。

図4:移行後のサーバOS

移行先は「クラウド基盤」が6割 4年前の調査から大きく変化

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行など世界情勢が不安定な昨今、いわゆる“ニューノーマル時代”に適した基幹システムを構想する企業も増えてきている。

 移行前のインフラ基盤で47.6%と約半数を占めていた「物理サーバ」が、移行先のインフラ基盤として選定される割合は33.1%と14.5ポイントも減少している(図5)。

図5:移行前のインフラ基盤

 代わりに「プライベートクラウド基盤(Hyper-V、VMwareなど)」(28.4%)や「パブリッククラウド基盤(Windows Azure、AWS、GCPなど)」(18.9%)、「ハイブリッドクラウド基盤(オンプレミスとクラウドの混在)」(13.5%)といった“クラウド”を中心に基盤選定が全体の6割と逆転する結果となっている(図6)。

図6:移行先のインフラ基盤

 2018年8月に実施した「Windows Server 2008サポート終了への対策状況」という同様の調査ではあまり見られなかった傾向で、当時は「物理サーバ」を移行先インフラ基盤に選択する割合が76.5%と圧倒的だった。

 2018年当時から大きく技術が進歩したことはもちろん、クラウドの利用実績も増え信頼性が増した。何より外部環境の変化がより激しくなったことで、ククラウドを活用して変化へのスピーディーな対応を目指す企業が増えたと予測できる。

 フリーコメントでは「主な業務システムをクラウド化したため、仮想化物理サーバは廃止した」や「基幹系や人事系はプライベートクラウド、分析系や開発系はパブリッククラウド」「将来のデータ取り扱い量の増大に備えて、ハイブリッド運営を考えている」など、移行を機に柔軟な構成に切り替えたといった声が挙げられている。

 もちろん、「複数の業務システムがクラウド利用に適さない」や「現在の環境と同じ環境に移行したいため」など、既存・新規の物理サーバを選択するケースもあり、自社業務とのバランスや未来構想によって選択は変わるだろう。

 Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了への対応をチャンスと捉え、自社の取り組みを進展させるのも一つの考えだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。