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37年前の「Windows 1.0」のイースターエッグが今になって見つかったワケ:655th Lap

かつてソフトウェア開発元は遊び心で、OSやソフトウェアに「イースターエッグ」を忍ばせていた。最近はこうした話題もめっきり減ったが、今になって「Windows 1.0」に仕込まれたイースターエッグが発見された。

» 2022年04月01日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 クリスマスやハロウィーンといった欧米発のイベントは、すっかり日本でも定着した。そしてここ数年で徐々に認知されつつあるのが「イースター」(復活祭)だ。もともとはキリストの復活を祝うイベントであり、カラフルに色づけした「イースターエッグ」を庭や家の中に隠して皆で競って見つけるなどして楽しく過ごすのが風習だ。

 この風習になぞらえて、かつてソフトウェア開発企業はこぞってOSやソフトウェアにイースターエッグを仕込んだものだ。最近ではめっきり見る機会が減ったが、今になって「Windows 1.0」に仕込まれたイースターエッグが発見された。その理由とは?

 ITにおける「イースターエッグ」というのは、OSやアプリ、ゲームなどといったソフトウェアに隠されたメッセージのような存在だ。プログラムの一部ではあるが、本来の機能とは全く関係ないことがほとんどであり、ノーヒントで見つけることは難しい。

 MicrosoftはWindows OSやOfficeアプリに必ずと言っていいほどイースターエッグを仕込んでいた。最近はイースターエッグの話題もめっきり減ったが、ここに来て1980年代にリリースされた「Windows 1.0」にイースターエッグが仕込まれていることが明らかになった。

 Windows 1.0に仕込まれたイースターエッグはルーカス・ブルックス(Lucas Brooks)氏が発見したもので、2022年3月18日に同氏は「Twitter」でそのことを公表した。Windows 1.0がリリースされたのは1985年で、実に37年越しに発見されたイースターエッグということになる。しかし、なぜ今になって見つかったのだろうか。

 実はこのイースターエッグはビットマップファイルの末尾に隠されていたのだ。Windows 1.0のリリース当時はビットマップファイルを抽出できなかったため、今まで発見されなかったのだという。

 ビットマップファイルを解析すると「Congrats! The Windows Team」と書かれた小さなダイアログが開き、Windows 1.0の開発に関わったスタッフの名前が表示された。最大の疑問はブルックス氏がWindows 1.0をどうやって動作させたのかだが、これについては今のところ明らかになっていない。

 このブルックス氏のツイートを見た多くの人は、ダイアログに表示される大勢のスタッフの中にゲイブ・ニューウェル氏の名前を発見した。ニューウェル氏といえば、PCゲームプラットフォーム「Steam」の運営企業Valveの共同創設者として有名だ。彼はMicrosoftの初期メンバーであり、Windows 1.0の開発者の一人であることが再確認された。

 ブルックス氏がイースターエッグを発見した後、ほぼ同様のイースターエッグが「Windows 2.0」でも発見され、黎明(れいめい)期のWindows開発陣のこだわりの強さが垣間見られる。

 37年もの時を超えて発見されたイースターエッグだが、最新OS「Windows 11」にイースターエッグが発見されたという話は耳にしないものの、もしかしたら今回と同様に「数十年越しに発見された」ということもあるかもしれない……。


上司X

上司X: Windows 1.0のイースターエッグが37年ぶりに発見された、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 37年越しの、悠久の時を超えた発見ですねえ。内容的には大したことのないスタッフロールですけど(笑)。


上司X

上司X: 大したことないとか言うんじゃないよ! でも実はさ、2021年には「Windows 95」の新しいイースターエッグが発見されていて、「25年ぶりの発見」という記録があったんだけどね。あっさりそれを打ち破ってしまった。


ブラックピット

ブラックピット: え、そんなこともあったんですか。


上司X

上司X: あったんだねえ。正確に言えばWindows 95に含まれていた「Internet Explorer」で利用できる「Internet Mail and News」にあったイースターエッグだけどね。


ブラックピット

ブラックピット: まあ、今さら細かい話はいいじゃないですか。それより、そうやって昔のイースターエッグが見つかるのは何ででしょうね?


上司X

上司X: 別にうまいことを言うつもりはないけど、そこにイースターエッグがあるから、じゃないのか。もう2000年ぐらいからイースターエッグのような、ちょっとした「おふざけ」が仕込まれることはめっきり減ったからね。


ブラックピット

ブラックピット: 確かにイースターエッグを今も続けているのって「Android OS」ぐらいですもんね。アレをああしたら意外なイースターエッグが発動しますよ!


上司X

上司X: なんだよその気になる言い回しは。ともかく、37年前のイースターエッグはなかなか貴重だけど、これまでのITの歴史の中で、見つかっていないイースターエッグって多分もっとあるだろう。今後もまだ知られていないイースターエッグを発見して、今回の記録を打ち破ってほしいものだよ。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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