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「うまく伝わらない!」を解消する動画編集クラウド 実際に使って解説動画を作ってみた

企業活動で動画コンテンツを活用する場面が増えている。従来は広告や商品カタログで動画が活用されていたが、最近は商談や採用、業務連絡などでの利用が増えているという。本稿では、動画の気軽な利活用を後押しする、動画編集クラウドの基本と選定ポイントを解説する。また、編集者が実際に動画編集クラウドで作成した動画も紹介しているので、ご覧いただきたい。

» 2022年06月06日 07時00分 公開
[指田昌夫キーマンズネット]

動画制作"素人"の編集担当が1時間で作った「本記事のポイント解説動画」を公開

 本記事の本題であるサービスの選定ポイントを、実際にオープンエイトの「Video BRAIN」でまとめてみた。BGMが流れるので注意して再生してほしい。動画を制作してみて気付いた点やサービス選定の詳細については、記事の後半で解説する。

 企業内で動画コンテンツの活用が進んでいる。従来の動画利用は、広告や商品カタログなどマーケティング活動のイメージが強かったが、最近は商談資料や採用活動、社内の業務連絡に動画を使用するケースが急増しているという。

近藤洋司氏

 その背景には、専門知識がなくても手軽に動画制作できるクラウドサービスの存在がある。動画編集クラウド「Video BRAIN」を提供するオープンエイト執行役員の近藤洋司氏は、次のように語る。

 「『企業代表の社員向けメッセージの配信』『経費精算の締切日のお知らせ』など、連絡事項の発信に動画が使われています。こうした動きは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、企業内コミュニケーションの希薄化が影響しているとみています。温かみのあるコミュニケーションを目的に、動画に着目する企業が増えています」

五十嵐 憂子氏

 同社でカスタマーサクセス部門のマネジャーを務める五十嵐 憂子氏も、「企業の動画の使い方が変化している」と話す。「コロナの影響で社員にオフラインのOJTができないため、動画で代用したいというニーズや取引先にオンラインで商談する際に文字や音声だけでなく動画でも説明したいというニーズが拡大しています」(五十嵐氏)

 注目を集める動画編集クラウドについて、企業が活用する際にチェックすべきポイントを聞き、その内容を同社のVideo BRAINで実際に動画にまとめた。

動画編集クラウドの制作フロー

 動画編集クラウドは、あらかじめ用意した動画ファイルをクラウドにアップロードし、Webブラウザ画面で編集できるSaaS(Software as a Service)である。動画編集スキルがない人でも、手軽に高品質な動画コンテンツに仕立てることができる操作のしやすさが特徴だ。

 Video BRAINも操作性の高さを売りにしている。「従来の動画編集アプリは、左から右へタイムラインが流れてその上にコンテンツや音を乗せるイメージでした。対してVideo BRAINは、『PowerPoint』のスライドのようにシーンを並べて、シーンごとに中身を編集するイメージです」(近藤氏)

 シーンごとの素材を用意して、それをAI(人工知能)で解析して1本の動画にもできる。しかし、AIで完璧なものができるわけではないため、ほとんどの場合は人の手による編集が加えられるという。

見落としがちなサービス選定のポイント

 ここからは、実際にサービスを選定する際のポイントを詳しく紹介する。

カスタマーサクセスによるサポート

 動画編集クラウドの操作は簡単だが、最初から動画をサクサク作るのは難しい。そのため同社では、契約した顧客に対するサポートに力を入れている。その理由を五十嵐氏は次のように話す。

 「初めての人がサービスだけを渡されて、『これは簡単です』と言われても使いこなせません。そこでカスタマーサクセスは、お客さまに最初に『動画は手段』というお話をしています。何を目的にして、何を達成できたらいいのかをお客さまと一緒に決めて、定例会を開催し、設定した目標を達成できるよう伴走します」

 Video BRAINはサブスクリプションサービスで、契約期間は原則1年以上としている。「短期間で使用いただくことは想定していません。基本的には1年後にどういう姿を目指したいかをお客さまと一緒に考えて、その目標に向かって使用していただきます」(近藤氏)

 同社のサポートチームは動画のクオリティー改善も支援する。「Video BRAINは直感的なインタフェースによって、多少PCの知識がある人なら最初からクオリティーの高い動画を制作できます。ただ、少し慣れてくると、『もう少し凝った編集をしたい』『ここがうまくいかない』といった要求や壁が出てきます。その際に、弊社のサポートが持っているノウハウを提供して、動画のクオリティーを上げるお手伝いをします」(五十嵐氏)

 同社のサービスは定額制のため、作る本数が多くなるほど制作コストは割安になる。「ある企業は年間数百本の動画を作成しています。長さや演出方法によっても変動しますが、商品・サービス紹介動画の制作相場は、外注すると約30〜100万円と言われています。Video BRAINを利用することで、1本1万円で内製できるようになったそうです」(五十嵐氏)

 サービスによっては、価格を抑える代わりにカスタマーサクセスのサポートに注力していないこともある。導入する際は、動画担当者のスキルや動画制作の目的などをしっかり棚卸してから選定する必要があるだろう。

動画配信効果を分析するレポーティング機能

 動画制作の目標達成のために使えるのが、動画の配信管理とレポーティング機能だ。作った動画は、ローカルにダウンロードすることも可能だが、Video BRAINのクラウドサーバにも保存できる。サーバは配信機能も持っているため、自社のWebサイトやSNSで、動画がどのように再生されたかをダッシュボードで分析できる。クラウドサーバに保存したものを、記事内に「HTML埋め込みタグ」で挿入することも可能だ。

 分析機能はSNSが対象だ。複数のSNSアカウントの分析が可能で、競合他社のデータも登録できる。他社と比較した分析の結果を次の動画制作に生かせる。「社内利用であっても、動画の視聴データを分析することは非常に重要です。途中で離脱している人が多ければ時間を短くするなどの改善をして、動画の利用を活性化できます」(五十嵐氏)

動画テンプレートの拡張性

 操作性についてポイントになるのは、テンプレートが豊富にあるかどうかだ。初心者がゼロから動画を作るのはハードルが高い。そのため、動画編集クラウドではテンプレートを用意している企業が多い。作る内容に合ったテンプレートを選択し、そこに自社のコンテンツをはめ込んで動画を作れる形が一般的だ。

 Video BRAINではテンプレートを2600以上用意している(2022年5月時点)。「商品・サービス紹介」「採用・求人」「マニュアル」「施設紹介」など、利用シーンに合わせてすぐに使える実用的なものばかりだ。「PowerPointの場合でも、白紙のスライドから作る人はあまりいないと思います。過去に誰かが作った資料を基にしたり、いくつかのファイルを組み合わせたりして作ると思いますが、動画編集でも同じように、テンプレートを活用して効率よく制作できます」(近藤氏)

 最初のうちはテンプレートを使い自社のオリジナル動画を作り、次はその動画をテンプレートにして、自社ならではのバリエーションを広げるというパターンが多いという。

 「1本作ると基本的な作り方はすぐに分かると思います。次回は、そこにお客さまごとにロゴやフォントなどのこだわりを加え、オリジナル性の高いコンテンツを作っていただきます」(近藤氏)

 動画制作の効率化のためのテクノロジーの支援も進んでいる。Video BRAINの特徴の一つに、AIによる制作支援機能がある。例えば「スピーチダイジェスト」は、動画素材で人が話している内容を認識して、その動画に日本語字幕を付ける機能だ。「60分の動画でも、10〜20分で字幕を付けられます。人の単純作業を大幅に効率化してよりクリエイティブな業務に時間を使っていただけます」(近藤氏)

事例で分かる、企業の活用方法

 実際の企業の作例を見ていこう。ベーカリーと洋菓子店を運営するオールハーツ・カンパニーは、Video BRAINを活用して店内のデジタルサイネージで流す商品紹介コンテンツを制作した。「素材が非常にきれいで、商品の魅力を引き出していると思います。また、素材のアニメーションなど、Video BRAINの機能を私たちが見てもびっくりするぐらい、上手に活用いただいていると思っています」(五十嵐氏)

 この事例のように、動画編集クラウドをフル活用する企業も多く登場している。「使いこなしているお客さまの事例を、当社のカスタマーサポートが他のお客さまに紹介することで、全体をレベルアップできると感じています。ユーザー同士のつながりも徐々に生まれています」(五十嵐氏)

 オールハーツ・カンパニーの制作した動画は、『Video BRAIN 動画コンテスト2022』のデザイン性大賞の受賞作品から確認できる。

ハードルの高い動画制作 導入を成功させるコツは?

 それでも、動画制作は難しいという先入観を持っている企業は多い。イメージを払拭(ふっしょく)するために、最初の1本を作ることが重要になるという。

 「動画制作を始めるお客さまの声で意外に多いのが『素材がない』というものです。そういうとき当社では『自己紹介動画から作ってみませんか』とお話ししています。自分をスマホなどで撮影すればいいので素材がないとは言えません。その素材を使って動画を作って『こんなに簡単なんだ』と感じていただけると、ハードルが一気に下がります。当社では自己紹介動画を作るための『60分の説明ビデオ』も用意しています。作った自己紹介動画をQRコードにして、名刺に印刷している企業もあります」(五十嵐氏)

 「テンプレートや自己紹介動画など、どのようなものでも1つ作ると、次はそれを素材にして加工すればいいので、2本目以降の制作時間は大幅に短縮されます。それがこのサービスの魅力です」(近藤氏)

 営業資料や業務マニュアルなど、同じフォーマットで中身を変える動画を大量に作る場合、本数を作るほど操作にも習熟して制作時間は短くなる。動画編集クラウドの活用は、そういった用途に一番向いていると言えるだろう。

キーマンズネット編集部で実際に使った感想

 キーマンズネット編集部で動画を制作するに当たり、カスタマーサクセスの五十嵐氏から15分ほどのレクチャーを受けた。内容は、動画を構成する素材のアップロード方法や編集画面の使い方など、基本的な動作の説明のみだ。

 レクチャー後、Video BRAINを使用してみてまず思ったのは、「確かにPowerPointと同じ感覚で動画を作れる」ということだ。動画テンプレートに素材をドラッグアンドドロップで当てはめるだけで、直感的に制作できる。

 素材はロゴしか用意していなかったが、豊富なフリー素材から画像・動画を入手できた。結局特につまずくことなく動画を制作でき、30秒の動画を作るのに1時間もかからなかった。

 ある程度形になった動画を五十嵐氏に確認してもらい、軽く修正してもらったところ、動画のクオリティーが目に見えて高くなった。当記事の編集者が最初に作った動画と見比べると、字幕の流れる順番や色合い、ズームやトランジションの工夫が見て取れた。

 カスタマーサクセスのアドバイスを受けクオリティーを上げるイメージができると、「もう少し凝った編集をしたい、ここがうまくいかない」といった要求が出てくると、五十嵐氏が言っていた理由がよく分かる。

 最近のPCの能力は高く、性能的には動画を編集できるものが多い。だが、一度も動画を作ったことがない企業が、自力でスムーズに動画制作ができるかというと話は別だ。人的なサポートが付いた動画編集クラウドは、機能説明はもちろん、制作ノウハウや効果的な使い方まで踏み込んで支援してくれる。

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