メディア
ニュース
» 2022年05月20日 08時00分 公開

「メタバース」のお金や権利どうする? 新公表の政府主導ガイドラインで解説

3次元の仮想空間でアバターが自由に行動する「メタバース」は、かつてセカンドライフが隆盛した時代から、大きく進歩した技術を駆使して脚光を浴びる。メタバースとは何か、また、メタバース内におけるお金と権利といった課題を集約した日本政府主導のガイドラインとは。新たな取り組み"バーチャル渋谷"と合わせて解説する。

[土肥正弘,キーマンズネット]

詳しく解説「メタバース」 目次

「メタバース」ってそもそも何? 「セカンドライフ」から大きく進化

  • 新たな経済圏としてのメタバースへの期待と疑い

現実の課題を解決するメタバース活用例 「バーチャル渋谷」とは?

世界に先駆けたメタバースの行政主導ガイドライン、その中身とは?

単なるデジタルツインや「劣化版の現実」で終わらせない 克服すべき課題は?

  • 実在都市の景観の再現性、改変について
  • 「公共性」の考え方
  • 実在都市との連携、商流の整理
  • NFTやDAOを介するクリエイターエコノミーの活性化
  • UGC(User Generated Contents)の著作権
  • アバターの保護、肖像権、パブリシティー権

「メタバース」ってそもそも何? 「セカンドライフ」から大きく進化

 Facebookが「メタ」に改称した際、創始者のザッカーバーグ氏が「メタバースに1兆ドル規模の投資を行う」旨を発表し、一気に話題が盛り上がった「メタバース」。具体的な定義は曖昧だが、例えば現在人気のオンライン対応ゲーム「Apex」や「フォートナイト」「あつまれ どうぶつの森」などが実現する「複数のアバターが、互いにリアルタイムで相互作用性のある活動ができ、コミュニケーションも取れる仮想の3次元空間」も広義のメタバースだ。

 メタバースといえば、約15年前に一時隆盛となった「セカンドライフ」を想起する人も多いだろう。セカンドライフはユーザーが自分で店舗や各種施設といった不動産などを構築し、仮想の不動産やアバター関連のアイテムをユーザー同士が暗号資産で売買でき、しかも現金への交換も可能で、「新しい市場」になり得ると考えた人も多かった。現実には、現金化における不正やワールドの参加人数制限による過疎化、アダルトコンテンツの増加といったネガティブ要素が重なり、次第にユーザーを失っていった経緯がある。

 現在取り沙汰されているメタバースは、セカンドライフ登場当時とはまるで異なるVR(仮想現実)/AR(拡張現実)/MR(複合現実)技術や、5Gなどの高速ネットワーク、スマホやヘッドマウントデバイスといった高性能デバイスを活用し、より豊かな体験ができる。多くのビジネスチャンスが公共かつ社会的メリットをもたらすように拡張された3次元仮想空間が想定される。

新たな経済圏としてのメタバースへの期待と疑い

 メタバースに期待されるのは、メタバースプラットフォーム上に多種多様な事業者(サービスやコンテンツの提供者)と一般のユーザー(=消費者)が集い、現実世界と同様に複数の事業者とユーザー間でのコミュニケーションや商取引などの経済活動や文化活動ができる世界だ。

 提供されるサービスは、ゲームの他にもオンラインイベント、ライブステージなどのエンターテインメント、ショッピング、教育・医療関連のサービスやコンテンツといった、現実世界と同様かつ多岐にわたる。また、一つのメタバース空間だけでなく、複数のメタバース空間が連携して新しい経済圏を構成するとも予想される。具体的にどのようなものが出てくるのか、また技術的には可能でも法制度や既存の商慣習、現実での常識や倫理観と矛盾がないものにできるかどうか、期待と猜疑(さいぎ)が混ざった視線で注目される。

現実の課題を解決するメタバース活用例 「バーチャル渋谷」とは?

図1 仮想空間に再現された渋谷の光景(出典:KDDI提供資料)
図2 スクランブル交差点をアバターで散策(出典:KDDI提供資料)

 グローバル規模でメタバースは注目を集める中、日本では2020年5月から「渋谷区公認 バーチャル渋谷」(以下、バーチャル渋谷)というプロジェクトが進行している。バーチャル渋谷とは、上図のスクランブル交差点に代表されるような現実の東京・渋谷の街並みをデジタルツインのように仮想空間上に再現し、“渋谷らしい”サービスやコンテンツを提供する。また、行政や商工業者などとも協力、連携して、都市課題の解決や新しい街づくりに資する取組みをエンタメ領域から進める。例えば2020〜2021年と連続して開催された「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」を筆頭に、2021年10月16〜31日には音楽ライブやトークライブを中心に多様なイベントを開催し、延べ55万人に上るユーザーが世界中から参加した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。