多くの従業員は仕事に対する不安を抱えながら働いている。不安を抱えたまま働く従業員は、職にはとどまるものの、必要以上に一生懸命働くのをやめる「静かな退職」を迎えるリスクがあるという。解決策はあるのか。
人事関連サービスを提供するisolvedは2022年9月7日、労働者の本音に関する調査の結果を発表した。回答者の半数が「日曜日の恐怖」(日本でいうサザエさん症候群)を経験したと回答し、40%が仕事に対する自分の能力や実績を自身で認められない「インポスター症候群」であると回答した。
しかも、専門家によると、仕事に不安を抱えたまま働く従業員は「静かな退職」(職にはとどまるものの、必要以上に一生懸命働くのをやめること)を迎えるリスクがあるという。人事領域の専門家が提案する解決策とは。
回答者は「従業員は自己不信と不安に悩まされている」と述べた一方、「雇用主がマネジャーに学習プログラムの機会を増やすことで解決を支援できる」とも答えた(注1)。isolvedは、学習の機会はチームミーティングと同様に従業員の意欲を高めるとしている。
isolvedの最高人事責任者であるエミー・モシャー氏は、「インポスター症候群や仕事上の不安を抑えられないと、従業員はやる気を失い、生産性や利益の損失、離職率の上昇につながる可能性がある」と述べた。
「雇用主は自分(従業員)のことを気に掛けているのか、自分は正しいキャリア決定をしているのか、生活と仕事のバランスを取れるのかといった内面の葛藤が『静かな退職』といった、労働力を変える一番の理由になっている」(モシャー氏)
労働者のメンタルヘルスが良くないことは広く知られており、学習プログラムは悩みを抱える労働者を巻き込むための方法として過小評価されているかもしれない(注2)。
EラーニングプラットフォームGo1の共同設立者であるヴー・トラン氏は、以前HR Diveへの寄稿で「多くの場合、労働者は企業のL&D(Learning and Development)プラットフォームを通じてメンタルヘルス学習プログラムに直接アクセスできる」と述べた(注3)。「L&Dはストレス管理に関するリソースを提供したり、インタラクティブなトレーニングを通じて従業員間のつながりを強化したりすることも可能で、従業員の意欲を維持したい企業の結束力をより高められる」とトラン氏は言う(注4)。
雇用主は管理職研修の中心にメンタルヘルス研修を据えることもできる。専門家は以前HR Diveに対して「悩んでいる従業員に目を配り支援する方法をマネジャーに教えることは、従業員を健康に保ち従事させる上で大きな効果がある。例えば、従業員が苦しんでいるように見えたら、『何かサポートが必要?』といった重要な質問をするようマネジャーに指導する」と語った(注5)。
ある専門家によると、マネジャーは企業での役割に応じた職務の遂行方法を教わることは多いが、人間関係の管理については、チームの管理という役割があるにもかかわらず教わらない場合が多い。マネジャーは直属の部下を指導する役割も期待されるようになっており、スキルを養うためのトレーニングが必要だ(注6)。
出典:Workers have imposter syndrome, but say L&D can help(HR Dive)
注2:Punching out: The dire state of worker mental health
注3:Learning is a bridge to employee well-being
注4:Should HR help employees make friends at work?
注5:What’s the most appropriate way to talk about mental health at work?
注6:Managers can fuel employee growth but only when trained to lead
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