今や国民総スマホユーザーと言っても過言ではない。そうした中でWebサービスのスマホアプリ化が進むが、この公共サービスのスマホアプリには注意が必要だ。
現代は、国民総スマホユーザーと言っても過言ではない。企業や店舗、公共機関などが、これまでWebサイトで提供してきたサービスをスマホアプリに移行する例も増えてきている。
2022年9月、ある公共機関のスマホアプリが問題になった。このアプリのダウンロードサイトを見つけたら、ダウンロードボタンを押すのはちょっと待ってほしい。
問題のアプリとは、東京都水道局の公式アプリだ。東京都水道局は、水道契約者向けのWebサービス「水道局マイネット」を運営してきた。過去2年間の水道・下水道の使用量確認やそれに伴う料金の確認、水道料金の支払いのための各種申し込みができた。だが、この水道局マイネットは2022年9月30日をもって終了した。
そして同局は2022年10月1日に「東京都水道局アプリ」の提供を開始した。iOS版とAndroid版を「App Store」「Google Play」からダウンロードできるという。ところが、水道局マイネット終了直前の2022年9月29日に、同局は「東京都水道局アプリ」のニセモノが存在すると「Twitter」の公式アカウントで注意を促した。
内容は「URL『https://windowsapp.』で始まるサイトは東京都水道局が準備しているアプリとは関係ありません。ダウンロードをクリックしないようにご注意ください。ダウンロードはApp StoreかGoogle Playストアからお願いします」というものだ。
これはまだ公式アプリが提供される前であり、この警告を見て「どうしたらいいのか」と思う人もいたことだろう。そう思ったユーザーが気になってネットで検索したところ、東京都水道局が警告した偽アプリのダウンロードサイトがヒットし、被害に遭うというカラクリだ。
偽サイトでは、アプリをダウンロードするためにクレジットカード番号などの情報を入力させようとする。Windows PCで水道局マイネットを利用していた人にとっては「Webサービスが終了したとなれば今度はPC版のアプリだ」と勘違いした人もいるはずだ。こうした勘違いを狙ってフィッシングサイトが登場したのだ。
何でもアプリだけにしてしまうのはこうした事態を招きかねない。今回の偽サイト騒動については、その他の自治体や行政機関において一つのモデルケースとなるだろう。
上司X: 「東京都水道局のニセアプリに注意してね」という警告が出回ったという話だよ。
ブラックピット: Windows向けのアプリですと言いながらそれはフィッシングだったのですね。
上司X: そうなんだよ。まったくなあ。
ブラックピット: PCでWebサイトを利用してた人もいるでしょうに。全員にスマホのアプリに移行しろというのはちょっと傲慢(ごうまん)ですね。
上司X: そこまでは言わないけどさ、確かに「待望のアプリ化だ」と喜ぶ人もいるかもしれませんが、Webサービスは残しておいても良かったんじゃないかと思うよ。なぜ全てアプリにと。
ブラックピット: こういうケースは多いんでしょうか。今までのWebサービスをスマホアプリだけにというのは。
上司X: どうなんだろうか。あまり話題にはなったことはなかったと思うよ。今回のこの件も、フィッシングサイトが出てこなかったら別になんてことなくスルーされていたのかもしれない。
ブラックピット: 確かに僕だってスマホを手放さないですけどね。ユビキタスな世界は実現しましたけど、必ずしもそれだけじゃ……という今回の話ですかねえ。
上司X: ユビキタス……10年ぶりぐらいに聞いた気がするよ。スマホファーストな世界ではあるけど、スマホオンリーにするのはさすがに早急といういい例になったんじゃないかな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
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中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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