パンデミックを機に組織再編、組織改革に取り組む企業事例が聞かれる。改革の成功を失敗を分けるポイントはどこにあるのだろうか。
ITリサーチ&アドバイザリー会社のInfo-Tech Research Groupが2023年2月9日に発表したレポートによれば、従業員が新たな仕事の進め方を受け入れなければ組織改革は成し得ないという(注1)。
テクノロジー業界の人事およびビジネスリーダーにとって有益な情報を提供するこのレポートでは、次のような実践方法が記されている。
まず、重要な人材を失わないためにも、リーダーは可能な限り透明性を持って、従業員と組織改革について会話する必要がある。また、改革によって最も影響を受けるであろう従業員も計画に参加させることが重要だ。
IT Techの調査によれば、組織改革に対して従業員から全面的に支持を得られることはまずないという。支持率が80〜90%に達して従業員の理解を得るまでは、組織改革は控えるべきだとある。また、組織は改革を進める中で、従業員のサポートやエンゲージメントに目を向け、監視する必要がある。
パンデミックによって職場は急激に変化し、組織に対する従業員の期待も変化した。従業員は、自身の仕事に直接的な影響を与える組織の方針について、経営者や上司と継続的に対話したいと考えていることが最近の調査で明らかになった。人材管理サービス企業のADPが2023年1月に発表した報告書では、従業員は組織が自分たちのニーズに耳を傾け、それに対するフィードバックと適切な対応を求めているという(注2)。
ADPのレポートでは従業員は業績のフィードバックを求めているとあるが、2023年2月2日付のSalary.comの報告書では、それに加えて、従業員エンゲージメント維持のために給与に対する方針や計画も伝える必要があると記してある(注3)。
専門家は、給与明細がその手段の一つだと語る。管理職は従業員への情報の伝え方や質問への答え方を学習する必要がある。さらに、人事担当者の意見も必要だ。専門家は、人事担当者は従業員からフィードバックを得るための適切な方法を考えるべきであり、それによって管理職は従業員との接点を確保できるという。管理職はただ待つだけではなく、時には従業員に対して適切にフィードバックすることも重要だ。
テレワークやハイブリッドワーク時代には、Web会議やメッセージングツールは職場に欠かせないものとなった。しかし、それらはミスコミュニケーションを生み、コスト増につながる可能性もあることが、ある研究によって明らかになった。
電子メールやメッセージングプラットフォームなどの非同期コミュニケーションは、異なる時間帯で働く従業員の橋渡しとなるものだ。あるCOO(最高経営責任者)によれば、複数のチャネルから寄せられる“メッセージの洪水”はかえって従業員を疲弊させる可能性があるという(注4)。同氏は、コミュニケーションツールの使用法について明確なガイドラインを策定し、勤務時間中にやりとりするよう管理職が交通整理をすれば抑制できると説明する。
人事担当者は、従業員のコネクティビティとコミュニケーションレベルを定期的に確認することで、彼らがどこで働いていてもコネクティビティを維持できるとあるCMO(最高マーケティング責任者)は述べる。
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