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部下に嫌われる1on1ミーティングの特徴は? 3つの課題とツールで改善する方法

業務の進み具合や今後のキャリアなど、本来、上司と部下が心を開いて会話を交わす場である1on1ミーティングだが、「時間の無駄」「意味がない」などの声が多く聞かれる。なぜ部下にそう感じさせてしまうのか。考えられる3つの課題と、1on1ツールを用いた改善策を考える。

» 2023年04月17日 07時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]

 近ごろ、人事施策に「1on1ミーティング」を取り入れる企業が増えてきた。週に1回、少なくとも月に1回の頻度で面談の場を設け、短期スパンのコミュニケーションを取ることで部下の成長や目標達成の支援を目的とする。もともとは米国シリコンバレーの新興IT企業が積極的に取り入れたことで普及し、日本国内ではヤフーが大々的に採用したことで広く知られるようになった。

 だが、一定の導入成果を上げるケースもあれば、「時間の無駄と感じる。この時間を業務時間に充てたい」「毎週上司と1対1で営業成績を詰められるので、苦痛でしかない」とマイナスの効果ばかりが目立って、部下から敬遠されるケースもある。本来は部下の成長を後押しすることを目的とした場であるにもかかわらず、単なる業務報告の時間で終わることもよくあることだ。

 また、上司は良かれと思って部下に対して自分の思いの丈をぶつけ、「良いアドバイスができた」「良好なコミュニケーションが取れた」と一方的に思い込んでいるが、アンケート調査を取ってみると、上司が自身の思いを一方的に話す自己満足な1on1に陥っていることも珍しくない。

 こうしたことが続くと、上司や人事部門に対して現場の不信感が募り、それ以外の施策や人事評価全般に対する従業員からの信頼を損ねることすらあり得る。

部下が嫌がる1on1ミーティング「3つの課題」と改善策

 そもそも、なぜ部下の不満を招く1on1になってしまうのだろうか。そこには、上司が考えるべき3つの課題があった。

1.「継続的なコミュニケーションの場」になっていない

課題: 部下の中長期的な成長を支援する場である以上、目標の達成や課題の克服に向けて上司と部下がともに継続的に取り組む姿勢が望ましい。しかし、上司は大勢いるメンバー全員の状況全てを把握しきれないため、その場で思い付きのアドバイスを送るだけにとどまり、一貫性と継続性に欠ける支援となってしまう。場合によっては、部下の悩みに対してその都度送るアドバイスが異なり、これが続くと部下の上司に対する信頼感と1on1に対するモチベーションが低下してしまう。

解決策: 一貫性と継続性のあるコミュニケーションを維持するには、話した内容を記録し、後で参照できるようにすることも必要だ。上司と部下が双方で話した内容をメモすることも有効だが、人事異動などでメンバーが変わった時にも情報をスムーズに引き継げるように、システムに履歴を記録でき、かつ広く共有できる仕組みがあると理想的だ。

2.1on1が単なる業務報告の時間になりがち

課題: 1on1の本来の目的は部下の成長を中長期的な視野に立って支援し、組織全体の成長や事業の強化を図ることにある。しかし、多くの場合、上司がこの目的を忘れてしまい、短期的な業績や進捗(しんちょく)の確認に時間を費やしてしまうことが多い。また、部下もそれに引っ張られ、「そもそも1on1は何を話す場なのか」という目的を忘れてしまい、いつの間にか単なる業務報告の場になってしまいがちだ。

解決策: 上司と部下の双方が実施目的やアジェンダを常に認識し、それを見失わないようにするためにも、1on1設計の見直しと、その運用をサポートするシステムの導入など、仕組みとシステムの両面で考える必要がある。

3.「1on1のPDCA」が回せていない

課題: 1on1に課題が持ち上がり、メンバーに不満がたまって来た時は、人事部門がいち早くそれをくみ取って制度の改善に向けた手を打つ必要がある。しかし、導入効果をきちんと測定、評価できていないため、改善方針が立てられないケースが多い。「単なる雑談で終わる」など現場から声が上がってきても、人事部としては「今さらこの制度を止めると上司と部下のコミュニケーションが希薄になる」と考え、制度の見直しを先延ばしにしてしまう。その結果、形骸化した制度をだらだらと続けている企業も少なくない。

解決策: 定期的にアンケート調査を実施して、1on1の効果を検証できる仕組みの導入を検討したい。上司、マネジメント側にとって満足度の高い施策は、部下や現場から見ると満足度が低いことが多い。マネジメント側の意見だけを反映させるのではなく、現場側の評価や意見も定期的に吸い上げて、施策に反映させながら1on1の制度を定常的に見直すことが求められる。

 加えて、1on1に参加する双方のプロフィール情報を事前に参照できる仕組みがあると良いだろう。部署や役職、等級などの「基本データ」に加えて、スキルや資格、研修受講履歴などの「能力データ」、キャリアイメージやコンディションなどの「主観データ」といった部下の情報を収集、集約し、事前にバックグラウンドやスキルを把握することでスキルや職務にマッチしたアドバイスを送りやすくなる。部下としても上司のプロフィールや個性などをあらかじめ把握することで、相談を持ち掛けやすくなるだろう。それには「人事情報の集約と一元管理」が前提となるため、人事システム運用の見直しも併せて考えたい。

3つの人事情報を集約して「1on1の下準備」を(出典:HRBrain提供の資料)

 以上の3点に加えて、対面の場において率直なコミュニケーションを安心してとれるよう、心理的安全性が確保された企業文化を醸成することも重要だ。1on1を形骸化させないためには、制度の運用はもちろん、制度が定着しやすい環境づくりが何よりも重要だ。

押さえておくべき、タレマネシステムの1on1関連機能

 最近は「タレントマネジメントシステム」の一機能として1on1の支援機能を盛り込む製品やサービスが増えてきた。タレントマネジメントシステムは社内のさまざまなシステムに散在する人事関連情報を一カ所に集約して、さまざまな切り口から参照可能にすることで従業員一人一人の能力や適性を見極め、適材適所の人材登用によってポテンシャルを最大化することを目的とする。

 国産タレントマネジメントシステムの「HRBrain」を例に、1on1の関連機能を見てみよう。

従業員情報の一元管理機能

 社内に散在している人材データを一元化し、従業員一人一人の人材データを集約して1つの画面で参照できる。HRBrainでは、従業員のコミュニケーションの傾向や特性をプロフィール情報の一部として保持、参照できるため、1on1の参加者はあらかじめ面談相手のコミュニケーションタイプを把握することで面談をスムーズに運ぶことができる。

1on1の下準備に必要な情報が1つの画面で分かる(出典:HRBrain提供の資料)

継続的なコミュニケーションを支援する「ログ機能」

 ログ管理機能によって1on1の面談内容を記録することで、適宜それを振り返って1on1の目的を確認できる他、面談前にあらかじめその内容を振り返ることで継続性のあるコミュニケーションが可能になる。

 また、1on1の効果を評価するアンケートを実施することで、実際に従業員が1on1の制度についてどのように感じているのか、定期的にフィードバックを得ながらPDCAサイクルを回し、制度を改善していくこともできる。

1on1の面談内容を記録することで、継続的なコミュニケーションを可能にする(出典:HRBrain提供の資料)

ツールの機能だけでなくシステムを使って「回す」ことが重要

 さらにHRBrainでは、同社のカスタマーサクセスチームが、ツールの運用が業務現場に定着するためのサポートを提供する。システムの導入プロジェクトは、導入自体が目的化し、その後の運用や定着がおろそかになってしまいがちだ。こうした事態を避け、確実に導入成果を上げるためには、外部の定着支援サービスを利用するのも手だろう。

 1on1のためのITツールを選定する際には、こうした支援サービスをベンダーから受けられるかどうかも、あらかじめ重要な選定ポイントの1つとして押さえておきたい。

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