従業員エンゲージメントを高める取り組みはどの程度評価されているのか。育成施策や人間関係、報酬などへの満足度が明らかになった。
人事関連の調査会社であるMcLean & Companyは179の組織、15万7000人の従業員を対象に、所属先へのエンゲージメントを高める要素について調査した(注1)。
同社は従業員エンゲージメントに影響を与える要素を「業務に対するモチベーションを高める取り組み」「従業員の定着を目指す取り組み」「組織への所属満足度を高める取り組み」の3点に整理した。
その結果、「業務に対するモチベーションを高める取り組み」については多くの従業員が肯定的で、特に約60%の従業員がキャリアアップや能力の開発に満足しており、約82%の従業員が同僚と良い関係を築いているという。
では、報酬や職場環境、ワークライフバランスなどの「従業員の定着を目指す取り組み」や、組織文化やリーダーシップなどの「組織への所属満足度を高める取り組み」に対する満足度はどうだろうか?
報酬や職場環境、ワークライフバランスなどの「従業員の定着を目指す取り組み」については、多くの従業員から最低の評価が付けられたという。McLean & Companyによれば、これは昨今のインフレが暮らし向きに影響を与えているためだという。
「組織への所属満足度を高める取り組み」についてはさまざまな評価があった。従業員はカルチャーとインクルージョンを高く評価する一方で、部門間の連携や経営陣のリーダーシップを低く評価しており、組織内のコミュニケーションの改善が必要だと同社は指摘する。
「従業員体験を構成する要素として、エンゲージメントは生産性と定着率に影響し、企業にとって重要なものだ」とMcLean & Companyは述べる。
しかし、米国では従業員エンゲージメントは低下傾向にある(注2)。2023年初めに発表されたGallupの調査結果によると、フルタイムおよびパートタイムで働く従業員の32%が自らの仕事にエンゲージメントを感じていると回答したが、これは2021年の34%、2020年の36%と比較して減少している。
この傾向を踏まえ、企業は従業員エンゲージメントの意味を根本的に見直すべきだ(注3)。従業員の強みや目標を重視する戦略へのシフトが必要だと思われる。
従業員の仕事への愛着心を形成することも効果的な戦略だという。従業員が投資対効果、つまり自身の仕事に見合った効果を得ていると感じ、その仕事に意味を見出し、自分の強みを生かせると感じられるようにするのだ。
人材サービスを提供するRandstadが実施した調査によると、経営幹部や人事リーダーの大多数は、エンゲージメントを含む従業員体験が人材を引き付け、維持するための重要な要素だと述べている(注4)。採用候補者の獲得からキャリアの移行、退職に至るまで、一貫して優れた体験を従業員に提供し、「従業員にとって特別な存在になる必要がある」とRandstadは述べる。
McLean & Companyは「従業員エンゲージメントの改善計画は常に従業員からのフィードバックに基づいて立てるべきだ」と指摘する。
出典:Ask if employees would recommend their job to a friend, McLean suggests(HR Dive)
注1:New Employee Engagement Trends Report From McLean & Company Highlights Critical Need to Measure and Act With Purpose to Improve Employee Engagement(Cision)
注2:Employee engagement is trending downward. How can HR respond?(HR Dive)
注3:‘The needle is not moving’: HR must rethink employee engagement, SHRM speaker says(HR Dive)
注4:Randstad: Employers are focusing on employee experience over cost savings(HR Dive)
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