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採用を縮小しても「ココだけは欲しい」人材とは?

IT人材の採用難度が上がる一方で、企業は既存の従業員の教育に力を入れ始めたようだ。そんな時代でも多くの企業が採用したがる人材とは?

» 2023年06月29日 09時30分 公開
[Carolyn CristHR Dive]
HR Dive

 Linux利用促進を目指す非営利団体The Linux Foundationが2023年5月に発表したレポートによると(注1)、現在、テクノロジー人材の獲得が難しくなっており、企業は既存の従業員のスキルアップや資格取得を優先し始めているという。

 特にクラウドやコンテナ、サイバーセキュリティ、AI(人工知能)およびML(機械学習)に関連する分野で、その流れが顕著だ。

とにかく「足りない人材」とは?

 採用よりも教育が重視される現在においても、多くの企業が「採用したがる」のはどのような人材なのだろうか。

 レポートの調査対象となった組織のうち、全体の59%が「2023年の採用計画を見直し、新規採用を凍結した」と回答した。ただし、「サイバーセキュリティやAIなどの需要の高い分野を中心に従業員数を増やす予定だ」と答えた企業の数も増えている。新規採用において、企業は上級技術職よりも開発者やマネジャーに焦点を当てており、実装や管理、技術開発に貢献できる従業員を求めているようだ。

 これに対処するために、既存の従業員のスキルアップと入社前のテストが一般的になっている。社外に適切な候補者が見つからない場合、企業は「コンサルタントを雇う」(38%)よりも、「既存の従業員に対する教育」(58%)をより頻繁に行っている。また、ほとんどの回答者は適切な候補者を見つけるために「認定試験」(73%)と「入社前のテスト」(81%)が必要だと述べた。

 The Linux Foundationで教育・認定担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーを務めるクライド・シーパーサッド氏は次のように述べた。

 「採用の状況が変化する中で、トレーニングとスキルアップは組織が取り組むべき重要な戦略だ。同レポートによると、調査対象の企業のうち70%が既存の技術スタッフに対して新しいテクノロジーのトレーニング機会を提供しており、継続的な成長と発展への取り組みを行っている」

 他の情報源によると(注2)、2023年にはテクノロジー業界で大規模な人員削減が行われたにもかかわらず、チームリーダーは既存の従業員のスキルアップに投資している。従業員の潜在能力を最大限に引き出すために、採用よりも定着に力を入れているようだ。

 別のレポートによると(注3)、テクノロジー業界以外でも、現在の仕事に必要なスキルを有していない従業員が存在している可能性がある。また、近年の技術スキルの習熟度の低下も人材不足の一因となっている可能性があり、研修や専門的な能力開発の機会の必要性が強調されている(注4)。

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