「最悪な上司」の下で働く従業員の割合が分かった。従業員から評価されるために、上司はどうすればいいのだろうか。
調査会社のPerceptyxが2023年6月13日に発表したレポートによれば(注1)、現在「最悪な上司」の下で働いている従業員にその印象を聞いたところ「無能」(46%)、「非協力的」(46%)、「無礼」(28%)、「不公平」(27%)と表現したという。一方、良い上司に共通する資質の上位3つは「プロ意識」「信頼性」「思いやり」だった。
では、「最悪な上司」「良い上司」の下で働く人はそれぞれ何割程度いるのだろうか。
同レポートによれば、従業員の24%が「特定の行動に関してこれまでで最悪な上司の下で働いている」という。一方、64%の従業員が「今までで最高の上司の下で働いている」と答えた。
Perceptyxでリサーチおよびインサイト部門のディレクターを務めるエミリー・キルハム氏は次のように述べた(注2)。
「従業員に対する支援体制を備えていること、信頼できること、思いやりを持っていることが上司の評価に直結する。従業員はビジネスライクな関係ではなく、人間として上司とつながりたいと考えている。上司が従業員からフィードバックを求められたときは、信頼性のある形で、タイムリーに、そして徹底したコミュニケーションをすべきだ。これは、レイオフのニュースが従業員に不安を与えている時期には特に重要だ」
上司と部下の良好な関係は、企業の生産性と利益に不可欠だ。1500人の管理職と1500人の従業員を対象とした調査では、最悪な上司の下で働いている人は、離職する可能性が3倍高く、「今後1年以内に辞めるつもりだ」と回答する割合が約4倍高かった。これらの従業員には、睡眠時間の減少やストレスによる生産性の低下、飲酒行動の増加といった傾向があり、健康に悪影響を及ぼす可能性が2倍高かった。
従業員と管理職では幾つかの点について意見が分かれた。40%の従業員と32%の管理職が、上司の重要な資質として「従業員への対応」だと回答している。しかし、実際に「上司の対応が良い」と評価した従業員はわずか29%だった。また、「上司の対応についてコーチングが必要だ」と考えている管理職はわずか17%だったが、従業員の27%は「上司にコーチングが必要だ」と回答している。
「従業員は上司に対して、より良いコミュニケーションとより多くのサポートを望んでおり、それらを実現するためにさらなるトレーニングが必要だと上司と従業員の双方が語っている」とキルハム氏は述べた。
最近の調査によると(注3)、「現在自社に優れたリーダーシップが存在している」と述べたリーダーはわずか40%だった。これは2年前と比べて17%減少しており、過去10年間における最大の落ち込みで、2008年の不況時に見られた低水準に匹敵する。
別の報告書によると(注4)、管理職の活動として従業員のスキルアップや成長の促進、自主性の育成に関する重要性が説かれる中、実際の管理職は日々の課題に忙殺されている可能性がある。管理職に対して、最新の社会情勢やリーダーシップの理想のあり方に対応するための研修が必要だ。こういった研修は、管理職がより良い習慣を身に付け、職場で新しい考え方を活用するのに役立つはずだ(注5)。実践と継続的な改善に重点を置いた学習と能力開発プログラムは、より良い成果と投資回収効果をもたらすだろう。
出典:24% of employees are working for their ‘worst boss ever’(HR Dive)
注1:Research Reveals the Impact of Great (and Not so Great) Managers(Perceptyx)
注2:Nearly a Quarter of All Employees Are Working for the Worst Manager They’ve Ever Had(GlobeNewswire)
注3:Hybrid work may be dampening confidence in leadership(HR Dive)
注4:Work has changed, but leaders aren’t ready, Deloitte says(HR Dive)
注5:Managers need better training, report says(HR Dive)
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