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» 2023年10月12日 07時00分 公開

「これでDX?」データに無頓着な経営層にあきれる社員 データ活用の現実を聞いたデータ活用の現状とセルフサービスBIの利用状況/後編

いくら現場の一部がデータ活用に対して前向きであっても、経営層の理解を得られなければ組織的なデータ活用にはつながらず、近ごろ叫ばれているデータドリブン組織への転換は難しい。

[キーマンズネット]

 ビジネス課題を特定し、改善に向けて迅速に意思決定を下すためには、データドリブン経営、データ活用組織への転換が欠かせない。

 キーマンズネットは「データ活用の現状とBIツールの利用状況に関するアンケート(2023年)」と題して調査を実施した(実施期間:2023年9月15日〜9月29日、回答件数:184件)。後編は「データ活用の現状」に焦点を当て、データ活用に対する勤務先の意欲や経営層の理解が得られない原因、収集しているデータと、システム、人材面の課題について、調査結果を基に紹介する。

結局、経営層のやる気次第? 「意識変革」が重要課題

 データドリブン経営の実現とデータ活用組織への転換が求められる中で、勤務先におけるデータ活用への意欲を尋ねたところ「データ活用に積極的」(27.7%)、「データ活用にやや積極的」(41.8%)で、積極的とした回答は69.6%だった。この結果を従業員規模別に見ると、従業員数1001人を超える企業では9割が「積極的」と回答した一方で、100人以下の企業では45.2%と半数を下回る(図1)。

図1 自社におけるデータ活用への意欲(従業員規模別)

 一般的に、データ活用を阻害する要因はデータドリブン経営への経営層のコミット度合いだと言われている。変化の激しいビジネス環境において、論理的、合理的な意思決定を素早く実行する。そうした経営判断が問われる現在、「KKD(勘・経験・度胸)」からの脱却とデータドリブン経営の必要性が増している。

 この認識が経営層に不足していると、組織的なデータ活用は進めようがない。実際「データ活用への意欲」と「データ活用に対する経営層の理解度」をクロス集計したところ、経営層に「やや理解が足りない」とした企業は「データ活用に消極的」が55.2%、「理解が足りない」とした企業は85.2%となり、BIツールなどの導入以前に経営層の意識改革が課題であることが分かる(図2)。

図2 データ活用への意欲、データ活用の重要性に対する経営層の理解度

DX時代でも「直感的な経営と現場の努力」 データ活用の現実

 経営層の理解が得られないのはなぜだろうか。データ活用またはその重要性について、経営層の理解が「やや足りない」「足りない」とした回答者に対して、その理由を尋ねたところ、経営層の考え方に対する指摘が多く寄せられた。

 最も多い回答は経営層自身の知識不足を指摘する声だった。具体的には「直感的な経営と現場の努力によって事業が成り立っている」「現場に丸投げで、(経営者)自身が課題に向き合う気がない」「経験と勘の世界だから」「情報と知識が不足していて、データ収集と(分析スキルの)習得の優先順位が低い」「情報リテラシーが低いため、内容を理解していない」などの声が上がった。

 勘と経験に頼る意思決定文化が色濃く残る理由として、「暗黙知」を「形式知」にできていないことや、職人文化が残る企業体質などが考えられる。環境変化が激しく新たな価値創出をスピーディーに求められる現在にフィットしない企業体質を見つめ直すこと。そして、新たな経営手法を取り入れ、経営層自らの意識変革が必要であるといった声が多数派だ。

 その他「経営層は目先の数字だけを追い求め、現場のニーズを理解していない」「コストをかけてまで(データ活用に注力)する必要はないとの認識で、ミクロ視点での対応に終始する」など、経営層が現場課題に耳を傾ける姿勢がないことを問題視する声や、「そもそも基となるデータを集約できていない」「データアナリスト不足」のように、データ活用以前に、体制が不十分であることを課題とする意見も見られた。

受発注、販売、IoTログ、現場で主に活用しているデータ

 データをビジネスに生かす企業は具体的にどのようなデータを収集し、どう事業に役立てているのか。事業に活用しているデータを選択式で尋ねたところ(複数選択可、数値順)、「受発注データ」(48.4%)、「販売データ」(47.8%)、「業務で利用する画像や動画データ」(34.8%)、「IoT機器などのログデータ」(28.8%)、「提携先企業の顧客データ」(13.6)が上位5つの回答となった(図3)。

図3 事業に活用しているデータの種類

 最後に、データ活用における課題について「システム面」と「人材面」に分けて尋ねた。

 システム面の課題では「データの保存、保管」(46.2%)、「システムやツールの活用」(37.5%)、「データ分析ロジックの構築」(37.0%)、「データの加工」(32.6%)と続いた(図4)。データ分析ツールの導入に始まり、収集と分析環境の構築、データの保管場所の確保など課題は多く、企業側の対応が追い付いていない様子が見てとれる。

図4 データ活用におけるシステム面での課題

 人材面の課題では「分析ツールを利用するためのスキルが不足している」(53.8%)、「社内にデータ活用ツールを扱える人材がいない」(44.6%)、「非IT部門の従業員に基礎知識が不足している」(35.3%)など、データ活用におけるスキルや知識、専門人材の不足に回答が集中した(図5)。

図5 データ活用における人材面での課題

 人材の育成や最適配置などで苦労する背景には「データよりも勘や経験を重視する風土が強い」(26.6%)が関連している可能性もあり、組織横断のデータ活用を実現するには、前述した経営層のデータドリブン経営へのコミット度合いがキーポイントとなるだろう。

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