バーコード決済など多くの用途で利用されるQRコード。iPhoneには液晶を保護しているガラス面に、人間の目では見えないQRコードが存在するという。
「QRコード」は2次元バーコードの中でもポピュラーなもので、スマートフォンを使った決済をはじめ、URLのようなさまざまな情報を伝達する手段としても利用されている。
iPhoneには液晶を保護しているガラス面に「見えないQRコード」が存在するという。実は、これには重要な意味があるらしい。
いくらじっと見つめても見えない、人間には不可視のQRコード。これがiPhoneを製造する上で非常に重要で、製造コストの削減に貢献する欠かせないものだという。
この件について、Tech系ビジネス情報サイト「The Information」が2023年9月29日に記事を掲載して話題になった。それによると、約0.2mmの極小のQRコードがディスプレイを覆う保護ガラスに2箇所、エッチング加工によって刻まれているという。
ご存じのように、iPhoneの主力生産地は中国だ。そして、そのガラスカバーを製造しているのが中国企業のLens TechnologyとBiel Crystalだ。1箇所はガラスカバーの内側に刻まれていて、どの企業が製造したガラスなのかが分かるようになっている。
そしてもう1箇所はガラスカバーにあり、製造工程でそのガラスカバーを追跡できる仕組みになっている。どれだけの量のガラスカバーが製造されていて、製造工程のどこで不良品と判断されて破棄されたのかを把握できるという。これによって、工程のどこに問題があって、どれだけのガラスが無駄になったのかを正確に把握できるようになったのだそうだ。記事によれば、問題を改善することで30%だった廃棄率を10%にまで低下させることができ、年間数百万ドル規模のコスト削減につながったという。
なお、そのQRコードは0.2mmという大きさのためエッチング加工で刻み込むのは技術的に困難であり、読み取るにも専用機器が必要となる。Lens TechnologyとBiel Crystalは2020年ぐらいに数百万ドルもの投資をしてその専用機器を導入したが、製造コストの削減によってその投資を回収できたようだ。ちなみにAppleは、iPhoneの製造工程において各パーツを追跡可能とするシステムを2020年以前から採用しているという。
部材のロスが少なくなって製造コストも改善されているのだから、なんとかiPhoneの販売価格も下がることを願いたいものだが……。
上司X: iPhoneのガラス面に目に見えないQRコードが刻まれている、という話だよ。
ブラックピット: 製造工程で必要なんですね。それでコスト削減にもつながっていると。私のiPhoneでも確認してみたいところですね。
上司X: 残念ながら専用の機器じゃないと無理らしい。QRコードが刻まれている位置も必ずしも同じではないというから、そういう意味でも見つけるのは至難の業だな。
ブラックピット: そりゃ残念。それにしても、iPhoneのパーツを全て追跡できる仕様になっているんですね。
上司X: iPhoneに限らず、今のデジタル製品には多い使用なんじゃないかな?
ブラックピット: そういうものですか。
上司X: ちなみにQRコードっていうのは……。
ブラックピット: はいはい、日本のデンソーが1994年に開発したって話ですよね。それで、特許は持っているけど特許権を行使していないから世界中で使われていると。もう何回か聞きましたよ!
上司X: 補足するなら、もともとデンソーでも自動車部品を管理する目的でQRコードを開発したという背景がある。だからiPhoneのガラス面に刻まれるのも本来の使われ方、というわけだ。これを応用してコード決済でも使われているのだが、まあ、今後もQRコードとは長い付き合いになるだろうな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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