多くの企業が生成AIを職場で利用する際のポリシー作りに苦労している。現役の弁護士たちが語る、「生成AIについて職場ポリシーに盛り込むべき7つのポイント」を解説する。
多くの企業が生成AI(人工知能)を職場で利用する際のポリシー作りに苦労している。正しく生成AIの利用を管理しないと、トラブル発生時の責任の所在があいまいだったり、法令違反のリスクが生じたりするためだ。
以降では、法律事務所の弁護士が「生成AIについて職場ポリシーに盛り込むべき7つのポイント」について解説している。ポリシー作りに役立つかもしれない。
法律事務所であるCozen O'Connoの弁護士は2023年11月1日のバーチャル会議で、「生成AIの利用が浸透しており、人事担当者はこれを無視するわけにはいかない」と述べた。
同事務所のアソシエイトであるジャニス・スエド・アグレスティー氏は「現実から目を背けるようなやり方は適切ではない」と述べた。また、他のメンバーも「従業員を教育し、適用される法的義務を検討することは重要だが、AIに関するポリシーを定めることも賢明だ」と述べている。
既存のポリシーで、機密保持や行動規範などの懸念に対処できる可能性もある。しかし、テクノロジーに特化したポリシーは、偏見をはじめとする懸念を軽減するために役立つ。「そのため人事担当者は、生成AIに関するポリシーにいくつかの項目が含まれているかどうかを確認すべきだ」と弁護士たちは述べた。
「雇用主は、人間が生成AIが生成したコンテンツや製品に対して最終的な責任を負うように保証すべきである」と、スエド・アグレスティー氏は出席者に語った。
実際、生成AIに関するポリシーを作成する際には、「私ならまさにその一文を入れるだろう」とスエド・アグレスティー氏は述べた。「一般的に、AIや生成AIを使用して作成したコンテンツや製品について、最終的な責任を負うのは人である」とも彼女は付け加えた。
「人事部門は、どの従業員が職場で生成AIを使用できるかを雇用主と共に決定し、その情報をポリシーに含めるべきだ」とスエド・アグレスティー氏は述べた。
雇用主によっては、どの従業員もこのテクノロジーを使ってはいけないと判断し、包括的に禁止したいと考えるだろう。
スエド・アグレスティー氏によると、「発展途上のテクノロジーが自社の属する業界にどのような影響を与えるかについて期待している部分もあるが、まだ影響を与えているとは考えられていないため、生成AIを使ったコンテンツの作成を職場で許可しない」ということだ。
一部の雇用主は、生成AIの使用を特定の従業員グループに制限する可能性もある。法律事務所のメンバーであるエリン・ボラン・ハインズ氏は、「AIによって作成されたコンテンツを簡単に評価できる特定の専門家がいるのかもしれない。また、州法や地方法によって定められた特定の場所や特定の分野で、この技術を使用すべきか否かについては、さまざまな意見がある状況だ」と述べた。
「雇用主は、従業員が仕事で生成AIを使用する前に承認を得なければならないかどうかを検討する必要がある」とスエド・アグレスティー氏は述べた。
「これは、例えば、特定の個人が上司の同意を得なければならないことを意味し、追加の安全策が必要になる場合もある」とも彼女は述べている。
スエド・アグレスティー氏は「雇用主は、生成AIの使用を禁止する業務があるかどうかを明確にすべきだ」と指摘する。「例えば、2023年の初めに、ある大学が他校で起きた銃の乱射事件に関する声明を発表するために生成AIを使用し、謝罪している。確かにこれは、冷酷で無神経な行為に思える」とも彼女は述べた(注1)。
スエド・アグレスティー氏は、次のように述べている。
「雇用においても、生成AIの使用を禁止する業務があるかどうかを定義することが重要だ。生成AIを使用すべきでない業務として即座に思い浮かぶのは解雇通知だろう。解雇通知に関するタスクを完了させるために、生成AIを使用するのは簡単だ。しかし、雇用主は、解雇が訴訟につながった場合、陪審員にどのような印象を与えるかを考慮すべきだ。陪審員に良い印象を与えないだろう」
「同様に、カスタマーサービス業界の雇用主は、顧客からのクレームへの対応に生成AIの使用を許可しない可能性がある」とスエド・アグレスティー氏は示唆した。
「雇用主は、生成AIを使用する個人に対し、その結果に対する一貫した監視を義務付けるべきだろう」と弁護士たちは提案した。
「これらの取り組みは、人事業務に携わる従業員に求められるかもしれない。それは、生成AIが採用のプロセスに偏見をもたらしていないことを確認するためだ」とスエド・アグレスティー氏は述べた。
「雇用主は、生成AIが差別的なコンテンツを生成したり、ユーザーがツール内で差別的なコンテンツを発見したりした際の報告義務を、生成AIに関するポリシーに含めるべきだ」とスエド・アグレスティー氏は述べた。
「最後に、雇用主は従業員のために生成的AIに関する連絡窓口を設けるべきだ。質問がある場合や問題が発覚した場合に、誰に連絡すべきかを伝えておくことが重要だ」とスエド・アグレスティー氏は述べた。
スエド・アグレスティー氏によると、連絡を受ける人物は、関連する技術や法律の改正を定期的に監視する役目も担うべきだという。連絡窓口を指定することで、「誰かが技術の動向に常に注意を払っている状態を確保できる」と彼女は述べた。
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