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読者が選ぶ“本当に役に立つ”IT資格は? IT資格取得状況を大調査IT資格の取得状況(2023年)/前編

キーマンズネットはIT資格の取得状況に関する読者調査を実施した。ITパスポートや基本情報技術者、AWS認定資格など、どの資格が人気なのだろうか。また、給与アップ/案件獲得など“本当に役に立つ”資格は何だろうか。

» 2023年12月21日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 労働人口の減少が社会課題となっている昨今、行政や企業は働き方改革やリスキリング推進などの施策で個人のスキルアップやキャリア自律を促進してきた。市場にはさまざまなオンライン学習サービスが登場し、国が助成する教育訓練給付制度も整備され、充実した学習環境が構築されてきたと言えるだろう。そこでキーマンズネットでは「IT資格の取得に関するアンケート」(実施期間:2023年11月22日〜12月5日、回答件数:442件)を実施した。IT関連資格に絞り、その取得状況や取得目的、業務での活用シーンなどを調査した。

人気のIT資格トップ3と“本当に役に立つ”IT資格

 はじめにIT資格の保有状況を調査したところ70.4%が「保有している」と回答した。2021年の62.9%、2022年の65.9%と続き2年連続で増加傾向にあった。業種別に見た結果は図1の通りだ。

図1 IT関連資格の保有状況(業種別)

 IT関連業で9割近い保有率であったのに対し、IT関連外製造業においては54.2%と大きな差が見られた(図1)。同様に所属部門別でも情報システム部門の81.3%に対し、ユーザー部門では57.1%と開きが確認され、業種や職種によって業務上重要となる専門スキルが異なることが、IT資格保有率の差につながっていると思われる。

 保有しているIT資格としては「基本情報技術者」(48.6%)、「ITパスポート試験」(30.2%)、「応用情報技術者」(27.0%)と続き、傾向としてはトップ10内に国家試験が7つも入るなど人気の高さが伺えた。一方「G検定」(3.0%)など、昨今注目を集めるAI関連の資格の保有率はまだ低い。試験開始からまだ数年しかたっておらず認知度が低い可能性もある。

 業種別で見ると、教育・医療機関やサービス業、製造業といったIT関連外の業種で「ITパスポート」や「MOS」(マイクロソフトオフィススペシャリスト)の保有率が高い(図2)。反対にIT関連業ではそれら項目が低い代わりに「応用情報技術者」や「ネットワークスペシャリスト」「情報処理安全確保支援士」(登録セキスペ)といった、高度な専門知識を習得できる資格保有率が高い傾向にあった。また「Microsoft Azure認定」や「AWS認定」などクラウド系資格の保有者も多い。

図2 保有しているIT関連資格(業種別、保有率上位のみ)

 所属部門別に見ると、IT部門では「情報セキュリティマネジメント」や「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」といったセキュリティ資格の保有率が高い一方、ユーザー部門では「ITパスポート」や「基本情報技術者」「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)各種」といった基本レベルのIT資格保有者が多い傾向にあった。

給与アップに昇進、案件獲得など、“本当に役に立つ”IT資格は?

 IT資格の取得者はその資格を業務にどう生かしているのだろうか。調査の結果、IT資格を保有していて役立った経験がある人は46.7%と約半数で、役立ったシーンとしては「就職、転職に有利に働いた」(14.8%)、「給与が上がった」(10.3%)、「入りたいプロジェクト、案件に参加できた」(10.3%)と続いた(図3)。

 これをカテゴリー別に整理して傾向を見ると、「AWS」や「Google Cloud」「Microsoft Azure」などのクラウド系資格については、プロジェクト参画や案件獲得、就職/転職といった形で役に立ったという声が多い。ITパスポートや基本情報技術者については他資格に比べて給与アップや昇進につながる傾向が高いようだ。企業側が一定の役職に就く者が持つべき最低限のITリテラシーとして、それらのIT資格を昇進や給与アップの条件に設定している可能性もありそうだ。「ネットワークスペシャリスト」などのネットワーク系や、「データベーススペシャリスト」や「ORACLE MASTER」といったデータベース系に特化した専門スキルは希少価値が高く重宝されており、給与アップや昇進につながることはもちろん「役に立ったことはない」との回答も少なかった。

図3 それぞれの資格がどのように役に立ったか

 資格取得によって自身のスキルが一定水準以上にあることが証明されるため、業務の幅も広がり、経験値も上がることで、自身に対する評価やキャリアの向上につながっているようだ。

業務に最も役立つIT資格、3位「基本情報技術者」、2位「応用情報技術者」1位は?

 関連して業務に”最も”役立ったIT資格をカテゴリー別に整理すると情報処理安全確保支援士や情報セキュリティマネジメント、「CISSP(セキュリティプロフェッショナル認定)」といったセキュリティ系資格が20.4%と最多で、次いで「応用情報技術者」(14.1%)や「基本情報技術者」(12.0%)が挙がった。業種別では、IT関連業でクラウド系資格やプロジェクトマネジメント系資格を挙げる割合が高い傾向にあり、IT関連外のサービス業や医療・教育機関においてはセキュリティ系資格を挙げる割合が高かった(図4)。

図4 業務に最も役に立ったIT資格(業種別)

 以上、前編ではIT資格の取得状況や活用シーンなどを紹介した。後編では、読者が“これから取得したい”IT資格や合格に向けての勉強法などを紹介する。

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