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Z世代に足りないのはエチケット? 世代間のギャップを埋めるベストプラクティス

人事領域の専門家はZ世代に対し「時間管理や整理整頓、コミュニケーションについて基礎から教える必要がある」と主張する。Z世代の特徴や企業が取り組むべき教育とは。

» 2024年01月05日 07時00分 公開
[Caroline ColvinHR Dive]
HR Dive

 人事領域の専門家はZ世代の従業員に対し、「時間管理や整理整頓、コミュニケーションについて基礎から教える必要がある」と述べる。

 そして同氏は、Z世代と接する際のベストプラクティスをまとめた。それは「明確さこそが優しさ」というものだ。Z世代の特徴はいったい何だろうか。そして、企業はどのように接するべきなのだろうか。

Z世代に足りていないエチケットとは

 2010年代以降、さまざまな業界の新入社員において、テクノロジースキルへの理解が成功の鍵となっていた。当然のことながら、生成AI(人工知能)をはじめとするAIは、現代の学習と開発に関する議論の中心に位置している。

 しかし、2024年の新入社員を含む場合、「学習と開発」(L&D)はハードスキルを磨く以上に重要かもしれない。雇用主が提供するL&Dは、職場全体のスキルの基礎を築くことができる。

 デジタル教育プラットフォームを提供しているedXの報告書によると、従業員の80%が雇用主を高等教育機関と見なしている(注1)。高等教育は世代間のギャップを埋め、雇用主はその基盤を構築する機会を有している。

 人材サービスを提供しているHandshakeのクリスティン・クルスベルガラ氏(最高教育戦略責任者)は、「HR Dive」に対して「AIに関するスキルアップのみならず、プロフェッショナリズムとエチケットは、若い世代のプロフェッショナルスキルの分野で話題のトピックだ」と語った。彼女が高等教育機関のクライアントから継続的に聞かされている内容の一つは、アルバイトの経験がないまま大学に入学する学生が増えているというものだ。

 クルスベルガラ氏は、次のように説明した。

 「レストランで働いたこともない。映画館で働いたこともない。地元のベーグル屋で働いたこともない。彼らの最初の仕事は、通常、キャンパス内での就職だ。食堂で働いたり、図書館で働いたり、レクリエーションセンターで働いたりする」

 クルスベルガラ氏は「無断欠勤や病欠に関するコミュニケーション不足が普遍的な問題だ」と言う。要するに、エチケットという概念が危機に瀕しているのだ。「ここで言うエチケットは決して古風で堅苦しいものではない」と彼女は付け加えた。

 「時間管理や整理整頓、コミュニケーションについて、スキルアップと能力開発の観点から教える必要がある」(クルスベルガラ氏)

人事が従業員と雇用者の両方のニーズに応える方法

 職場における世代間の違いについて、クルスベルガラ氏は彼女なりのベストプラクティスを簡潔にまとめた。それは「明確さこそが優しさ」というものだ。

 補足すると、Z世代に対して、期待を明確かつ直接的に伝えていないかどうかを確認してほしい。データによると、Z世代の従業員は職場での期待にストレスを感じている(注2)。

 例えば、従業員が急な欠勤を申し出た場合、思いやりをもって対応する方法として、次のように伝えよう。「生活においてトラブルが起こることもあるし、プライベートの時間を取らなければならない状況や瞬間があるのは分かる。しかし、そのために計画を立てたり、補償を得たり、誰かと連絡を取ったりして、他の人に迷惑をかけないようにしてほしい」

 配慮の重要性や、一種のコミュニティーとしての職場の重要性を強調することは有効だ。病欠の例について、人事部門や管理者が従業員に対して、「たまに」連絡するのは問題ないが、「たまに」をどのように定義するかが重要だ。クルスベルガラ氏は「『たまに』とはどのようなものだろうか。それは週に一度ではない」と述べた。

 「このような会話を前もってすることが重要であり、これには、面接のプロセスも含まれる。早過ぎるということはない」と彼女は付け加えた。

 クルスベルガラ氏は「雇用主が今や、実質的に次の高等教育機関である。以前であれば、学生は入社前に職務経験を持っていた。しかし現在は、雇用主がこれらの会話を新入社員と行う必要がある」と述べた。

 研究によると、L&Dの提供は従業員の定着の促進に役立つことが示されている。クルスベルガラ氏はまた、「これを使って才能を引き寄せることができる」と述べた。

 クルスベルガラ氏は、2024年の卒業生向けの報告書でHandshakeの研究者が共有したデータを引用し、「今後、大学を卒業する人材のほぼ50%は、雇用主がプロフェッショナルとしての成長やスキル向上のためのリソースを提供しており、それらにアクセスしやすい職に応募する」と述べた(注3)。

 「L&Dの機会に対する要望は、特にZ世代に共通している。彼らは、過去と比較して、より迅速にスキルをアップデートする必要があると認識しているためだ」と彼女は付け加えた。

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