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化粧品大手Estee Lauderは生成AIをどう扱うのか MicrosoftとAI専門組織を設立CIO Dive

化粧品大手Estee LauderとMicrosoftは2024年4月26日(現地時間)、継続的なパートナーシップの一環として、AIイノベーションラボを設立すると発表した(注1)。美容業界にどのようにAIを取り入れるのか。

» 2024年06月11日 07時00分 公開
[Lindsey Wilkinsonキーマンズネット]
CIO Dive

 化粧品大手The Estee Lauder Companies(Estee Lauder)とMicrosoftは2024年4月26日(現地時間)、継続的なパートナーシップの一環として、AIイノベーションラボを設立すると発表した(注1)。美容業界にどのようにAIを取り入れるのか。

 Estee Lauderは「Clinique」「Mac」「Too Faced」などの20以上のブランドの販売促進、マーケティングや商品開発に生成AIを導入する。「Azure OpenAI Service」を活用し、Microsoftと協力してソリューションを開発する。

 両社は従業員がプロジェクトや地域、広告キャンペーンに関連する情報を迅速に収集するためにAIチャットbotの開発に取り組んでいる。商品の研究開発プロセスをサポートするための生成AIアプリケーションの可能性も探っている。

 Estee Lauderは2023年に従業員が提出した生成AIのユースケースを選別し(注2)、「ChatGPT Enterprise」を早期導入した後(注3)、AIを強化しようとしている。

 Estee Lauderのマイケル・スミス氏(最高情報責任者)は、2024年4月26日に行ったLinkedInの投稿で「Microsoftとのパートナーシップは、すでに信じられないようなイノベーションを生み出している。新しいAIイノベーションラボを通じてこの連携を維持し、美容の最前線でAIを活用できるようにする」と述べた(注4)。

 Estee Lauderは以前、音声に対応すらメイクアップアシスタント向けアプリのプラットフォームに「Azure AI」を採用し(注5)、2023年にサービスを開始した。パートナーシップの拡大でMicrosoftからリソースの提供を受け、チャットbotなどの最新のAIプロジェクトを推進する。

 スミス氏は2024年4月26日に「CIO Dive」に電子メールで次のように語った。

 「Microsoftと共同開発した生成AIチャットbotは、特定の地域や新興市場に関連する懸念に対処する製品を迅速に見つけるのに役立つ。私たちは、自社の製品や成分などに関する豊富なデータを、生成AIとともに活用する方法を模索し続けている」

 化粧品業界の企業は、効率化や体験の向上、データ分析の拡大に大きな期待を寄せてAIに注力している。フランスの化粧品メーカーであるL’Orealは、10ペタバイトのデータを収容するデータプラットフォームをAIモデルに活用している(注6)。

 業界の他の企業と同様にL’OrealもAIが今後の成長促進に重要な役割を果たすと見ている。テクノロジープロバイダーもその潜在能力を認識している。

Microsoftの成長率が急上昇

 Microsoftの2024年第3四半期の売上高は、前年同期比17%増の619億ドルだった(注7)。Microsoftのクラウド部門の収益は、AIを使ったコンピュートニーズの高まりに後押しされ、前年同期比23%増の351億ドルとなった。

 Microsoftのサティア・ナデラ氏(CEO)は、2024年4月25日の決算説明会の電話会議で次のように述べた(注8)。

 「Azureは再びシェアを拡大し、顧客は独自のAIソリューションを構築するために当社のプラットフォームとツールを利用している。Fortune 500のうち65%以上の企業が、Azure OpenAI Serviceを利用している」

 ナデラ氏によると、Microsoftの企業顧客のシェアは他のAIサービスにも及んでおり、Fortune 500のうち60%近くが「Microsoft 365」の「Copilot」を利用しているという。

 「早期導入者による利用の増加も見られており、『Teams』においてCopilotが支援するインタラクション数はユーザー1人当たり約50%増加し、グループ活動とビジネスプロセスのワークフローや企業ナレッジを結び付けている」(ナデラ氏)

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