多様な領域で生成AIの活用が急速に進んでいる。三井住友カードはコンタクトセンターの対応工数削減のために、生成AIの本番利用を開始した。
キャッシュレス決済の利用が拡大したことで問い合わせが急増し、三井住友カードではコンタクトセンター業務の効率化が課題となっている。オペレーターの応対スピードの向上や問い合わせチャネルの強化を目的に、生成AIの本番利用を開始した。
三井住友カードによれば、2023年の消費全体に占めるキャッシュレス決済比率は39.3%と過去最高を更新した。キャッシュレス決済の利用が拡大し、同社では2023年度の新規申込み件数が500万件を超えた。三井住友カードのコンタクトセンターには利用に関する質問など月間約50万件を超える顧客から問い合わせがあり、対応品質と対応可能件数の向上が急務だった。
この課題を解消するために、三井住友カードはKDDI子会社のELYZAが提供する生成AIの本番利用を始めた。急速に進展する生成AIがコンタクトセンター業務の高度化および効率化に寄与し、ユーザー対応品質の向上にも役立つと考えたからだ。
ELYZAが提供する生成AIは高度な検索拡張生成(RAG)技術を活用でき、独自のLLM活用基盤に支えられた堅牢(けんろう)な環境で利用できる。三井住友カードは、セキュリティ基準の高いコンタクトセンターでもリスクを抑えながら活用できる点を評価した。
ELYZAの生成AIはコンタクトセンターのオペレーターが自然言語で問い合わせをするとRAGを使って社内データを検索し、その結果を基に回答の草案を作成する。2024年内には顧客からのチャットでの問い合わせにも生成AIを展開する予定だ。オペレーターの生産性向上効果として、顧客からの問い合わせ対応にかかる時間を最大約60%短縮できると見込んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。