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AIと分析により顧客体験を向上させるための5つの洞察

CXのトップエキスパートが、顧客中心のイノベーションを推進し、変化に対する抵抗を克服し、インパクトのある顧客体験を創出するためのAIの活用方法に関する洞察を共有した。

» 2024年10月17日 08時00分 公開
[Ana Salom-BoiraTechTarget]

 競争が激しい今日のオンラインビジネス環境において、顧客の獲得と維持には顧客体験(CX)が欠かせない。AIやデータ分析などの技術の進歩により、企業は顧客のニーズを理解し、予測するかつてない機会を得ている。しかし、多くの組織はこれらのツールの効果的な統合において課題に直面しており、顧客中心の文化の構築が難しくなっている。

 堅実なCX戦略の策定は、世界中の企業にとって最優先事項だ。調査企業であるForresterによると、ビジネスリーダーの80%以上はCXの取り組みを優先して進めている。これは、混雑した市場においてCXによりブランドを差別化できるという認識の高まりを反映している。

インパクトのある顧客体験をAIでどうやって作り上げるのか

 2024年9月10日から同年9月11日にかけて、Webセミナーを提供するオンラインプラットフォームの「BrightTALK」と、オンラインメディアの「TechTarget Editorial」は、CXを向上させ、インパクトを創出するためのサミットを開催した。このバーチャルサミットでは、さまざまな業界のオピニオンリーダーが、効果的なCX戦略の設計に関する洞察を共有した。

 調査企業であるMetrigyのロビン・ガレイス氏(CEO)は、「AIがサービスと営業担当者に提供する支援と障害」というセッションで、データに基づいたアプローチについて講演した。このセッションでは、コンタクトセンターにおけるAIの影響に関する最新の世界的な調査から得た独占的な洞察が共有された。同氏は「AIを活用した顧客エンゲージメントは、適切に導入され実行されて初めて顧客体験を向上させる」と警告している。同氏は、AIが効率と顧客満足度を向上させる条件や、逆にそれらの目標を損なう可能性がある状況についても議論し、AIの可能性と限界についてバランスの取れた見解を示した。

 個人向けのオンライン金融サービスを提供するBest Eggのトリッシュ・ウェスマン氏(最高顧客責任者)は、組織内のメンバーと顧客との間に強いつながりを築くことが重要だと考えている。同氏のプレゼンテーション「CXの卓越性への道:顧客中心のイノベーションの進め方」では、パンデミック後の数年間において同氏のチームが成功した実績のある戦略を紹介する。この戦略は、顧客のニーズとビジネスの成果をバランス良く両立させるものだ。同氏は、15年以上にわたりさまざまな業界で顧客中心のアプローチを推進してきた経験を生かし、企業が顧客データや市場に関するリアルタイムの洞察を最大限に活用してイノベーションを促進する方法を探った。

 また「生成AIソリューションの爆発的な拡大」に対する興奮について語り、従来では不可能だった生産性と拡張性の向上が可能になると強調している。同氏は「生成AIはあなたのチームのメンバーから仕事を奪うのではない。より実用的な顧客向け製品やサービスを生み出すための重要な業務にメンバーが集中できるようにするものだ」と説明している。

 ハイディ・ガイルク氏は、カスタマーサービスチームの変革について豊富な経験を持つコンサルタントで、「カスタマーサービスの領域における変革に直面した際の抵抗を克服する」という課題に取り組む。同氏は、さまざまな業界での豊富な経験を有しており、現在のカスタマーサービス運営が直面している変化に対する障害について、独自の見解を持っている。同氏は、変化を障害ではなく機会と捉える文化を作り出すことを提唱しており、「変化を日常のものとして受け入れ、その利点に焦点を当てることで、リーダーはダイナミックで回復力のあるカスタマーサービス文化を築くことができる」と述べた。同氏によるプレゼンテーションでは、変化を実行するためのロードマップを提供し、期待の管理やチーム全体において成長志向のマインドセットを築く方法に関する説明がなされた。

 CX領域におけるコンサルティングサービスを提供するCustomer Management Practiceにおいてデジタル領域を担当するブライアン・キャンター氏(マネージングディレクター)は、「ロイヤルティーのためのAI:顧客中心のAI戦略で顧客エンゲージメントを強化する」という講演で、顧客ロイヤルティーの向上にAIを戦略的に活用する方法に焦点を当てる。キャンター氏は、AIが顧客体験を向上させる際の可能性とリスクの両方を強調し、最新の市場調査データを基に、企業がAIを障害としてではなく、長期的な顧客ロイヤルティーを築くための味方として活用する方法を探った。

 リーダーシップに関するアドバイザリーサービスを提供するClifton Butterfieldのロイ・アトキンソン氏(CEO兼主任アドバイザー)は、サービス管理とデジタルリーダーシップに関する深い洞察をもってこのイベントを締めくくった。同氏は、卓越した思考と専門知識で知られており、デジタル時代にビジネスが成功するためのベストプラクティスや将来を見据えた戦略を共有した。

主要テーマと学びのポイント

 このサミットでは、次のような重要なテーマが取り上げられた。

  • 顧客中心のイノベーション。成長を促進するための個別化された戦略にデータと技術を活用する方法を学ぶ
  • 変化に対する抵抗の克服。士気を低下させることなく顧客サービスを変革するための効果的なチェンジマネジメント戦略を学ぶ
  • 顧客エンゲージメントにおけるAIの役割。AIが顧客との対話をどのように再定義しているのか、その効果的な導入方法を学ぶ
  • AI時代におけるロイヤルティー構築。AIを活用して顧客との関係を深める方法を探る

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