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製造業におけるビッグデータの6つの活用例 業務改善に役立てよう

製造業におけるビッグデータの活用例として、需要予測やサプライチェーンの最適化、品質管理、生産ラインの改善、顧客からのフィードバックの分析、価格の最適化について紹介する。

» 2024年11月27日 15時30分 公開
[Paul MaplesdenTechTarget]

 製造業では、生産ラインのパフォーマンスに関する情報から供給と需要の量、顧客のフィードバックまで多くのデータが生成される。製造業者はこれらのデータを活用して、さまざまな形で運営を改善できる。

 製造業で生成される膨大なデータに圧倒されることもあるが、サプライチェーンの運用改善に製造データを活用するきっかけを探している場合、幾つかの具体的な活用例が参考になる。

ビッグデータの6つの活用例

 製造業におけるビッグデータの6つの活用例を紹介する。

1.需要予測

 全ての製造業者は需要と供給のバランスを取らなければならない。需要予測を活用して、顧客のニーズに応じて自社が生産すべき製品の量を予測できる。

 需要予測は、次のようなビッグデータに基づいて実施される。

  • 消費者行動: 消費者行動に関するデータは、顧客が支出や消費習慣を変えているかどうかを明らかにする
  • 市場のトレンド: 市場のトレンドは、競合他社や経済の変動などの市場に影響を与える全体的な要因を指す
  • 過去の販売データ: 過去の販売データは、製品の販売数や収益、利益率を含む製品ラインのパフォーマンスに関連する情報である
  • マーケティングおよびプロモーションの活動: マーケティングとプロモーションに関連する活動のデータには、プロモーションによる販売量の変動や繁忙期、その他の類似の要因が含まれる

 需要予測は、在庫の最適化や製品の利用可能性の最大化、廃棄物の削減に役立つ。

2.サプライチェーンの最適化

 製造業者は、複雑で相互に依存し合うサプライチェーンの要素の一つだ。ビッグデータを活用して上流および下流で起こっている出来事を理解することで、サプライチェーンを形成する各メンバーがより適切に連携できるようになる。

 次のようなタスクにビッグデータを役立てられる。

  • 下流の在庫量を理解し、製品の流れを最適化する
  • 配送を迅速化するための物流ルートを計画する
  • サプライチェーン全体で物流データを共有し、サプライチェーンの可視性を向上させる

 ビッグデータを活用したサプライチェーンの最適化により、製造業者は配送を迅速化し、コストを削減できる。また、業務効率が向上し、サプライチェーンに関連する意思決定をより迅速にできるようになる。

3.品質管理

 不良品は顧客の不満につながり、利益率に悪影響を与え、廃棄物を生じさせる。生産ラインに関連するデータの分析により、製造業者は製品が顧客に発送される前に欠陥を特定できる。

 生産ラインのデータには次の情報が含まれている。

  • 生産ラインで使われている機器の性能および許容誤差
  • 個々の製品に関する検査のデータ
  • 不良品の傾向やリスク、問題
  • 製造不良の根本的な原因

 これらのデータを活用して品質管理を改善できる。

4.生産ラインの改善

 ビッグデータは、製造業者が自社の運営を改善するのに役立つ。それはコストおよび廃棄物の削減につながる。

 製造業におけるビッグデータには、次の情報が含まれる場合がある。

  • 生産プロセス全体における潜在的な障害
  • 設備や従業員などのリソースと、製造業者がそれぞれを現在どのように使用しているか
  • 原材料や部品の位置

 これらの情報を活用して運営を改善できる。例えば、製造プロセスで将来発生する恐れのある問題について洞察を得ることで問題を予防し、生産遅延により生じる追加コストや廃棄物を削減できる。

5.顧客からのフィードバックの分析

 最も重要な製造データの一つは顧客から得られる。顧客からのフィードバックの収集と分析により、消費者の問題を解決し、新しい製品開発に役立てられる。

 従業員が次のタスクを実行する際に、顧客データが役立つ。

  • 顧客の苦情やレビューを分析し、消費者の問題を特定する
  • 顧客の返品データのパターンを特定し、返品の一般的な理由を把握する
  • 顧客のレビューに基づいて既存の製品をさらに改善する方法を特定する
  • 顧客のフィードバックに基づいて新製品に関する潜在的なアイデアを見つける

6.価格の最適化

 価格戦略は、製造業者の戦略における重要な要素だ。市場のトレンドや消費者の行動、競合他社の価格設定などのビッグデータを分析して、自社が利益を確保しながらも価格設定で顧客を引き付けられるようにする必要がある。

 ビッグデータから得た情報を活用して、製品について異なる価格帯での提供を試すなどの価格戦略を実施したり、ダイナミックプライシングを導入したりできる。ダイナミックプライシングにより、製造業者は生産ラインのインプットや運用コストに基づいて価格をリアルタイムで更新できるようになる。

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