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イマイチ活用できてない? SlackやZoomのハドルルームを使うメリットとは

近年、ハドルルームの概念が明確になった。ビデオ会議用のハードウェアを手頃な価格で使用できるようになり、ハドルスペースの土台となったためだ。また、ソフトウェアも高度化し、全ての機能がスムーズに動作するようになった。利用する意味がどこにあるのだろうか。

» 2024年12月06日 12時12分 公開
[David MaldowTechTarget]

 ハドルルームとは、少人数でのディスカッションやブレインストーミングを想定したビデオ対応のバーチャル作業スペースで、チームメンバーはスケジュールされた会議以外でも気軽に集まり、即座にコミュニケーションを取れる。数年前、ハドルルームに関するトレンドがビデオ会議市場を席巻した。全てのハードウェアおよびソフトウェアベンダーがハドルルーム製品を販売し、ショーブースの至るところに「ハドル」という言葉が掲げられていた。

 近年、ハドルルームの概念が明確になった。ビデオ会議用のハードウェアを手頃な価格で使用できるようになり、ハドルスペースの土台となったためだ。また、ソフトウェアも高度化し、全ての機能がスムーズに動作するようになった。利用する意味がどこにあるのだろうか。

イマイチ活用できてない? ハドルルームを使うメリットとは

 ビジネスにおけるビデオ通信は、経営幹部が所属する取締役会での使用や、大規模な会議室での使用に限定されるものではなくなった。作業チームは、より小さなスペースでビデオ通話を使ってリモートにいるチームメンバーと連携し、効果的に会議を実施するようになった。小規模なグループで集まることに誰もが興奮していた。その後、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、集まることで感染が広まるという状況になった。ハドルという概念に逆行するような社会的な距離の取り方が新しい常識になったのだ。

 現在、多くの従業員がオフィスで働くようになったが、状況は以前と異なる。パンデミックは永続的な変化を引き起こした。組織は、以前とは異なるワークフローや作業環境を持つようになった。その結果、今日のモダンな職場に対応するために、ハドルスペースの概念を見直す必要が出てきている。

パンデミック後のコラボレーションのためにハドルルームを調整する

 パンデミック前は、全員が毎日オフィスに出勤していた。そのため、ハドルスペースは主に対面での会議参加者をサポートするために設計されていた。リモートで参加するゲストに対応するために一定のビデオ要素は期待されていたが、大半の作業は現地で実施された。そして、ホワイトボードをはじめとするコラボレーションツールは、オフィスでの使用に最適化されていた。

 今日では、会議に対面で参加するメンバーよりも、リモートで参加するメンバーが多いかもしれない。これは以前とは全く異なる状況だ。会議は現地ではなく、「Zoom」や「Microsoft Teams」で実施されており、部屋は会議に参加するための場所の一つでしかない。ホワイトボードを含むコラボレーションツールは、クラウドからアクセスおよび管理できる必要がある。

 オーディオとビデオの品質はより大きな懸念事項だ。連携のためのビデオ通話は常に1対1のセッションとは限らない。しばしば複数のチームメンバーが同じ通話に参加するため、物理的なハドルルームにいるメンバーの画像や音声を正確に共有する必要がある。チームは単にラップトップを部屋に置いてビデオ通話をするわけにはいかないのだ。質の高いルームシステムが必要だ。

 また、会議スペースにも変化が起きている。以前のハドルスペースは小さな会議室だった。組織はチーム会議で小さなスペースを利用しており、リモートで参加するメンバーにどのように対応し、どのようなコラボレーションツールを追加するかということが問題だった。

 現在、組織は単に指定された会議室にテレワーカーを招くだけではなく、さらに多くの場所に招く必要がある。オフィス内のあらゆるスペースが、リモートやハイブリッドでの連携のための潜在的な場所となり得る。ビデオ通話をあらゆる場所でできるようにすることで、組織はオフィスの全てのスペースをコラボレーションのために利用できるようになる。チームメンバーの大半がリモートで働いている場合、組織はオフィスでリモートアクセスを実現する必要がある。

ハドルルームに関する技術の進化

 幸いにも、ビデオ会議の技術はパンデミック後のニーズに合わせて進化した。ハードウェアとして、ビデオバーやビデオボードが登場している。これらのオールインワンツールは、過去のハドルルームキットよりも格段に設置や統合を容易にする。また、以前の技術よりもはるかに高品質で使いやすくなっている。ほとんどの場合、組織はこれらのツールを接続し、高品質のオーディオとビデオを使ってすぐに通話を開始できる。

 ハードウェアには、新しいワークフローをサポートするためのAI機能も追加されている。組織がほぼ全てのスペースでビデオを有効にしている場合、カメラアングルが問題になるケースがある。しかし、この問題はAIは顔と声の追跡や人物認識、スマートカメラ制御といった機能で解決できる。

 新しい働き方をサポートするためのソフトウェアも進化した。ビデオツールは完全な職場連携を実現する製品へと成長した。会議の共同機能を提供するだけでなく、「Zoom」や「Microsoft Teams」のようなソフトウェアは、会議中や会議後にチームをサポートするためのAIツールを提供している。これには会議の要約やタスクリストの自動作成、AIが生成したホワイトボードコンテンツなどが含まれる。

 その結果、仕事に必要なツールは物理的な部屋ではなく、ソフトウェアの中に存在し、誰もが同じように利用できる。

長く使われるハドルルームを目指して

 今日、ビデオ会議市場では「ハドルルーム」という言葉が使われなくなっている。ハドルはCOVIDの感染リスクを伴うものに感じられるかもしれない。しかし、ハドルルームのトレンドは、正しい方向への前向きな一歩として記憶されるべきだ。ハドルルームのトレンドのおかげで、組織はパンデミックの前から、テレワーカーを含めた会議の準備を整えることができた。

 パンデミック前から、組織はテレワークのためのツールをすでに整備していたのだ。ハドルの概念は、「あらゆる場所でビデオ活用できること」という意味に進化しているが、職場でのビデオ利用を簡素化するという基本的な方向性は変わっていない。そして、幸いにも、今日のハードウェアとソフトウェアはこの課題に対応できる。

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