「ChatGPT」で一躍名をはせたOpenAI。生成AIモデルの開発以外で、実は秘密裏に進めている“次なる一手”があるらしい。
対話型の大規模言語AIモデル「GPT」シリーズを筆頭に、画像生成AI「DALL-E」や音声認識AI「Whisper」などで知られるOpenAI。Oracleなどの大手IT企業と提携しながらデータセンターの拡充やさらなるAIモデルの研究開発に取り組んでいる。
そんなOpenAIが、生成AIモデルの開発とは異なる新たな戦略を展開するのではとうわさされている。業界が注目する、次の一手とは?
それは独自AIチップの開発だ。2025年に「Reuters」がこれに関して報道し、それに続いて各Tech系サイトが報道したことで話題となった。
Tech系ニュースサイト「ars TECNICA」によれば、OpenAIはNVIDIAのハードウェアへの依存から脱却することを目指し、独自のAIプロセッサの開発を手掛け、設計の最終段階に移っているという。同社は今後数カ月以内に完成した設計図を台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)へ送り、製造が開始される予定だという。現時点では、OpenAIの独自チップの性能や能力などはまだ不明だ。
MicrosoftやAmazon、Google、Metaといった大手テック企業はAIサービスにかかる運用コストの削減を目指し、データセンター向けの高性能なGPUの供給をほぼ独占しているNVIDIAの影響をできる限り小さくするために独自のAI対応チップを開発してきた。
OpenAIもそれらの企業に続き、独自のAIチップを開発するとみられている。ars TECNICAは2023年20月にその旨を報道し、実際にその通りの展開になっている。
独自チップの開発には多額の資金が必要になるため、2024年初頭からOpenAIのサム・アルトマンCEOは世界中を飛び回り、資金調達を図っている。専門家によれば設計だけでも5億ドル以上の費用が必要で、さらにハードウェアやソフトウェアの開発にはその倍以上の追加費用が必要だという。
Reuterの報道によれば、OpenAIの独自チップ開発プロジェクトには元Googleのチップ設計者のリチャード・ホー氏が率いる40人のメンバーが参画し、Broadcomと共同で設計に取り組んでいるという。チップには3ナノプロセスが採用され、NVIDIAの最新AIチップと同等の広帯域幅メモリとネットワーク機能が搭載される予定だ。
OpenAIが開発中のAIチップはAIモデルの推論に利用されるチップであり、2026年にTSMCでの量産が開始されると予測されている。ただ、OpenAIにとって初めてのテープアウト(チップの設計図が半導体工場へ送られること)となるため、プロジェクトが数カ月程度遅延する可能性もありそうだ。
OpenAIは独自チップを開発することで、NVIDIA製品からの脱却を目指すとともに他のサプライヤーとの交渉力を高める狙いもあるという。ただ、独自チップの開発には高いコストとリスクが必要で、OpenAIの挑戦が完全に成功するかどうかはまだ不透明だ。「成功のためにはさらなるエンジニアの獲得が必要だ」とReuterも懸念を示す。
「ChatGPT」で一躍名をはせたOpenAIが、今度はオリジナルのAIチップで頂上を極めようとしている。今後の展開に注目しようではないか。
上司X: OpenAIが、今度はAI向けの独自チップを開発中らしい、という話だよ。
ブラックピット: もう完全にAIがらみのソフトウェア開発企業という認識でしたからねえ。
上司X: AIのトレーニングや推論は、結局のところNVIDIAのGPUに依存しまくっているからな。
ブラックピット: NVIDIAの生産体制が需要に追い付いていないということですよね。
上司X: ああ、だからGPUのコストは上昇しまくるわけだし、NVIDIAも強気で商売するわけだ。
ブラックピット: だからこそのNVIDIA依存からの脱却ということですね。AIチップのハードウェア領域に殴り込みというか。
上司X: 殴り込みとは穏やかじゃないね。OpenAIに限らず、GoogleやMeta、Microsoft、その他大手IT企業も同じような方策だけどね。ただ、OpenAIの資金力や人材確保は大丈夫かと心配されているようだね。
ブラックピット: まあそうですよねえ。でも生成AIという地平を開いてきたOpenAIですから、きっと独自チップもなんとかなるんじゃないですかね?
上司X: ためらいも少しはあるみたいだけどね。開発するのは推論、つまりAIの実行を支えるチップで、何か策があるのかもしれないよ。クラウドベースだけでなくエッジAI分野でも覇権を握れるかもしれないな。独自チップに最適なAIを開発したら、その影響力は計り知れないかもな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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