キーマンズネット編集部は2025年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「生成AI/データ分析」「コミュニケーション/コラボレーション」「IT人材」「VMware移行問題」「PC事情(AI PC/Windows 11)」「レガシーモダナイズ」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2024年10月25日〜12月6日、有効回答数427件)。
第7回のテーマは、2024年2月4日にBroadcomがVMware製品のライセンスを刷新したことで話題となった「VMware移行問題」だ。
VMware製品のライセンス形態や製品のラインアップが刷新されてから1年が過ぎた。システム基盤を支えるソリューションでもあるため、新ライセンスへ移行するか他社製品を採用するかはコストや影響範囲を勘案した上で、慎重に判断しなければならない。
勤務先における今後の対応方針について、前回、2024年7月に実施したユーザー調査によると、「VMware製品を使い続ける」とした割合は31.0%、「一部または全部を他の製品に乗り換える」とした割合は33.0%だった。「脱VMware」「続VMware」の議論が交わされている中で、企業の対応方針に進展はあったのだろうか。今回も、前回と同様に勤務における対応方針を尋ね、その結果を図1にまとめた。
その結果、「決まっていない」が大多数を占め45.8%、続いて「SIerなど外部システム会社と検討中」「新ライセンスに移行した(一部の環境)」が同率で(14.6%)、「新ライセンスに移行した(全ての環境)」が13.2%となった。「新ライセンスに移行した」とした割合は回答の約4分の1となった(図1)。
なお、フリーコメントでは一部を新ライセンスに移行し、一部は他社製品に乗り換えたとの回答もあった。
VMware製品から「他製品に移行した」「移行を予定している」とした回答者に製品やサービス名を尋ねたところ、最も多かったのは「Hyper-V」だった。回答のうち約3分の1を占めた。Hyper-V以外に具体的なサービス名を挙げた回答はほとんどない。この傾向は2024年6〜7月にキーマンズネットとITmediaエンタープライズが共同で調査した結果と同じだ。半年が経過しても状況が変わっていない。パブリッククラウドを利用したサービスへ移行したという回答もほとんどなかった。
「他製品に移行した」「移行を予定している」とした回答の裏には、どのような事情があるのだろうか。大きな理由は2つある。
最大の理由は「VMware製品の新ライセンスよりも安価なため」(47.1%)、「VMware製品と同等のことが安価にできるため」(35.3%)の2つが突出して回答割合が高い。従業員数が501人以上の企業に限定すれば、この2つの選択肢が95%を占めた。
「VMware製品で実現できなかったことができるため」や「運用管理の負担が少ない」といったポジティブな理由は少ない。「今までの経緯から今後の良いサービスを期待できない」や「VMwareはこの先不安なため」といったベンダー対応に不安を感じる声もあった。
移行にかかる想定コストを尋ねたところ、500万円以下が35.2%を占めた(図3)。従業員数が5001人以上の中堅企業でも1000万円以上の選択肢を選んだ回答者は少なく、33.3%が500万円以下と答えた。
なお、「分からない」という回答が4割以上を占めた。これは移行費用にSIerのサポートや対応費用、初期費用、製品のライセンス費用など多数の項目が含まれているためかもしれない。
最後にVMware製品ラインアップが変更されたことで生じた困り事をフリーコメント形式で尋ねたところ、回答結果は「コストアップの懸念」「情報不足」「移行への不満」「その他の課題」の4つに分けられる。以降で、回答の一部を紹介しよう。
なお、本調査の回答者(427人)の属性は以下の通りだ。
・業種
「製造業」(36.8%)、「IT関連業」(29.3%)、「サービス業」(10.5%)、「その他」(8.7%)、「流通業」(5.9%)、「官公庁、自治体など」(3.3%)、「医療業」(2.8%)、「教育業」(1.9%)、「金融業」(0.9%)
・従業員規模
100人以下(28.8%)、101〜500人(24.4%)、501〜1000人(8.2%)、1001〜5000人(18.0%)、5001人以上(20.6%)
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