広告配信において、見過ごされがちな隠れたリスクがある。それはサイバー犯罪者による、広告を悪用したマルウェアの拡散だ。
デジタルマーケティングにおいて、オンライン広告はモバイルやWeb上の消費者にリーチし、エンゲージメントを高めるために欠かせない存在だ。ターゲット層に効果的にアプローチし関係を深める目的で、ブランドがデジタルプラットフォームへの注力を続けるため、デジタル広告に関連する世界的な支出は今後も増加し続けるだろう。
しかし、サイバー犯罪者がブランドの広告を悪用してマルウェアを拡散しようとするリスクが存在する。この戦術は「マルバタイジング」として知られ、ブランドの信頼性を損ね、顧客からの信頼を危うくする可能性がある。ブランドは、マルバタイジングの仕組みや危険性、特定の方法を理解し、自身と顧客の両方を保護する必要がある。
マルバタイジングとはどのようなもので、なぜ重要なのか。そして最も重要な点として、マルバタイジングがキャンペーンを損なわないようにする方法を学ぼう。
一言で述べると、マルバタイジング(malicious advertising)とは、悪意のある人物が一見正当に見える広告にマルウェアを仕込む行為を指す。この手法は非常に厄介で効果的だ。なぜならば、第三者の広告ネットワークを通じて高い信頼性を持つサイトに悪意のある広告が掲載されることが多く、その危険性を見抜くのが難しいためだ。
サイバー犯罪者は、何の疑いも持たないユーザーに、マルウェアに感染した広告をクリックさせる。または、少なくとも広告を閲覧させるために、さまざまな手法を駆使する。
マルバタイジングの被害に遭うことで、顧客からの信頼を損ない、ブランドの評判がきず付き、潜在的なコンバージョンをセキュリティ上の悪夢に変える可能性がある。
マルバタイジングと広告マルウェアはよく混同されるが、両者には重要な違いがある。広告マルウェアは特に広告プラットフォームを標的にし、無許可の広告を表示させたり、収益を乗っ取ったり、ユーザーデータを盗んだりする。ユーザーのデバイスに感染し、バックグラウンドで潜伏しながら、システム内で広告を表示させたりリダイレクトを行ったりする。
一方、マルバタイジングは正当な広告プラットフォームを利用してマルウェアを仕込む手法だ。巧妙な手法であり、通常の広告ネットワーク内で動作し、目に見える広告コンテンツに悪質なコードを埋め込んで、ユーザーに直接攻撃を仕掛ける。
一言で述べると、広告マルウェアはすでにデバイスに存在するウイルスであり、マルバタイジングは広告ネットワーク自体を攻撃手段として利用するものだ。どちらもリスクを伴うが、その違いを理解することで両方から自らを守る手助けになる。
端的に述べると、マルバタイジングは危険だ。マルバタイジングは個々のユーザーや企業に深刻な影響を与える可能性がある。
マルバタイジングから受ける被害には、次のようなものがある。
・アカウントの侵害: 一部のマルウェアはキーストロークやログインの試行を追跡し、アカウントの乗っ取りを行う。特に使い回しのパスワードや保護されていないアカウントが存在する場合、一度侵害されたアカウントは、広範な情報漏えいにつながる可能性がある
ユーザーが全てのマルバタイジングの事例を見抜くのは難しいかもしれないが、以下の警告サインを知っておくことで回避につながる可能性がある。
マーケティングおよび営業のリーダーは、マルバタイジングがもたらすリスクを軽減するための幾つかの対策を講じることができる。
これらの施策を実施することで、マーケティングおよび営業部門のリーダーはマルバタイジングへの暴露リスクを軽減できる。重要なのは、常に積極的に対策を講じる姿勢である。マルバタイジングの手法は進化し続けるが、組織が注意深く、かつ情報を得続けていれば、防御策もそれに追い付くことが可能だ。
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