Googleの生成AIサービス「NotebookLM」は、ユーザーがアップロードした資料を基に回答を生成できるツールだ。これを活用するとどんなことができるのかレビューしてみた。
Googleの生成AIチャットbotサービスといえば「Gemini」シリーズですが、他にも「NotebookLM」があります。筆者は最近になってこれらのサービスを初めて使ってみたのですが、特にNotebookLMが仕事で役立つように感じました。
NotebookLMは「資料を読んで回答してくれる生成AIチャットbot」です。アップロードされた資料を読み込んで回答を生成することは「ChatGPT」でも「Claude」でもできるのですが、NotebookLMはちょっとしたRAG(検索拡張生成)のように使えます。
NotebookLMはテキストファイルやWebページ、動画や音声などを「ソース」として取り込み、それを基に回答を生成する生成AIチャットbotサービスです。筆者は最初サービス名を見て「『Notion』のようなAI機能付きドキュメント管理ツールなのかな」と思っていましたが違います。AI機能付きドキュメントツールというよりは、ドキュメント機能付きAIツールですね。
ユーザーはまず「ノートブック」という名前のプロジェクトを作ります。ノートブックは「チャット」「ソース」「Studio」の3エリアで構成されています。
ソースはアップロードされたデータを管理するエリアです。追加できるのは「Google ドキュメント」「Google スライド」「Webページ」「YouTube動画」「テキスト」「音声」など。ドキュメントはTXTファイルやPDFファイルの他、Markdownにも対応しています。
チャットエリアはChatGPTやGeminiとほぼ同様の使い方ができます。質問すれば回答が返ってきます。NotebookLMはソースを基に回答できるのですが、必要に応じて参照元を明記できるのが特徴です。生成したテキストには『Wikipedia』のように注釈が表示され、クリックすればソースの該当箇所を開いてくれます。
これがとにかく便利で、そもそも注釈表示がある段階で安心感が出ます。ChatGPTやClaudeにソースを読ませて生成したときは、その回答が正しいかどうかを確認する場合、結局ソースを頑張って読み返す必要があり、むしろ時間がかかることもありました。
こういう資料をNotebookLNに投げ込んで、必要なときにチャットで質問すれば、回答と元資料を引き出せるということです。生成AIチャットbotサービスだと思っていましたが、これは資料検索サービスの側面の方が重要かもしれません。
読み込めるソースは個人向けの無料版「NotebookLM」なら50件、「Google Workspace」などのGoogleのサービスを利用している組織向け「NotebookLM Plus」なら300件です。300件の資料を検索して生成してくれるならそれはもうRAGですよね。
もう一つのStudioエリアではメモを作って保存できます。この機能が一番Notebookっぽいですね。
記者として専門家などを取材して記事を書く場合、取材音声と共有された資料、一般公開されているプレスリリースなどを見ながら執筆します。NotebookLMのソースにこれらを登録してStudioで記事を執筆しつつ、分からないことがあればチャットで生成AIに聞いて、必要に応じてソースを確認すれば、1つの画面で執筆作業が完結します。
普段はソースとなる発言を頑張って探しながら、各種資料を開きっぱなしにしてきょろきょろ見ながら作業しています。音声をたぐりやすいのが一番ありがたいです。認識精度が完璧とは言えない点と、発言者を分けて書いてくれない点が不満点ですね。
営業職の場合も録音を読み込ませて情報をまとめるのにいいのではないでしょうか。日々の会議音声をここに保存して、チャットで議事録を作ってもらえば情報をまとめる作業を圧縮できますし、分からないことがあったときにも気兼ねなく尋ねられますね。
ただの生成AIチャットbotとして使うのもいいですが、地味ながら強力な機能が「共有」です。Google ドキュメントなどの同社ツールには社内での共有ができる機能がありますが、NotebookLMにも同じ機能があります。
これを使えば組織内でノートブックを共有できます。これは議事録を読み込んだAIを部門内で共有するようなもので、共有された人たちがチャットで「誰かが○○って言ってた気がするけど何だったっけ?」なり「○月○日の会議のハイライトを教えて」など質問できますからかなり便利です。どこにあるかも分からない情報を頑張って探さなくていいわけですから。
アイデアとしては、人事部が人事資料をまとめたノートブックを作って社内に公開することで「人事お問合せ窓口bot」のように使えるかもしれません。営業資料をソースにした“商品解説bot”や“商品提案bot”も可能性があります。実際は精度を検証して投入することになりますが、できたら問い合わせ業務の軽減にかなり役立ちそうですよね。
ゴールデンウィーク中に個人用の無料版で遊んでみて、ビジネス活用できる用途がないか妄想してみるのもおすすめです。
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