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Windows 10終了迫る Windows 11への移行が進まない中小企業の言い分は?

Dellは、Windows 10のサポート終了に向けた中小企業の動向を調査し、3分の1がWindows 11対応を完了し、6割超が半数以上のPCを移行済みと明かした。一方、移行が進まない企業も3割存在する。

» 2025年05月15日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

 デル・テクノロジーズ(以下、Dell)は2025年5月12日、国内中小企業における生成AI活用の現況とITインフラに関する動向をまとめた調査結果「中小企業のPC・IT動向調査2025冬」を公表した。報告書は2025年10月に迫る「Windows 10」のサポート終了に向けた中小企業の対応状況を示している。

中小企業Windows 11導入、対応の温度差鮮明に

 報告書は、全体の約3分の1にあたる333社が既に「Windows 11」対応に積極的に取り組んでおり、サポート終了までに移行を完了させる企業も多いと指摘している。「サポート終了後まで使い続ける」と回答した企業は152社にとどまり、移行への意識の高まりがうかがえる。

 PCの移行状況に関しては、4割の企業が「8割以上のPCでWindows 11への移行を完了している」と回答しており、6割以上の企業が「半数以上のPCをすでに移行済みである」と答えた。これらの結果から、企業の多くがサポート終了を見据えて迅速に対応を進めているといえる。

 一方で、ほとんど移行が進んでいない、あるいは必要な台数を把握できていない企業も3割近く存在する。特にコストや互換性に関する課題が、移行の障壁となっている。旧PCの継続使用を希望する企業も一定数あり、企業によって対応の温度差が見られる。

 Windows 11への対応に際して、約4割の企業は「特に問題ない」と回答しているが、主な課題として「互換性の確認」や「移行コストの大きさ」が挙げられている。OSアップデートの工数や、対象PCが多いことも課題とされており、計画的なリプレースが求められる。

 セキュリティリスクへの懸念も、移行判断の背景にある。Windows 10のサポート終了後は、インターネットに接続されたPCに対して脆弱(ぜいじゃく)性が放置される状態となるため、セキュリティリスクが飛躍的に高まる。企業は事業継続性の観点からも、早急な移行を検討すべきといえる。

 Windows 11対応に合わせて、IT投資を強化する企業も多い。特に「セキュリティ強化」に関心が集まり、Wi-Fi環境の整備やBCP対策、モバイル環境の拡充といった項目が挙げた。これらの投資は新しい働き方への適応を見据えたものであり、ITインフラの刷新の機会にもなっている。

 総じて、Windows 11への移行は多くの中小企業で進行中であり、移行完了を目前に控える企業も多い。ただし、残された課題への対応が不十分な企業も存在し、これらへの支援や啓発が今後の鍵となる。セキュリティを含めた包括的なIT戦略の中で、OSの移行を位置付けることが重要になる。

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