人材の流動化や教育コストの課題を背景に、マニュアル作成支援市場が急成長している。2023年度は前年比17.8%増の48.9億円を記録し、2028年には100億円規模に達する見通しだ。
アイ・ティ・アール(ITR)の発表によると、2023年度のマニュアル作成支援市場の売り上げ規模は48億9000万円となり、前年度比で17.8%の成長を記録した。全てのベンダーが売り上げを伸ばす中、特に上位ベンダーは2桁成長を遂げ、市場拡大をけん引した。ITRはこの成長傾向が2024年度も継続すると予測しており、同年の市場成長率は18.4%と見込まれている。
市場拡大の要因として、業務システムの利用者に対する教育コストの軽減や社内サポートコストの削減に加え、人材の流動化・多様化への対応として業務の標準化・効率化へのニーズが高まっている。各ベンダーは、AIによる機能強化に加え、コンサルティングや作成支援などの周辺サービスを組み合わせることで、提案力の向上を図っている。
ITRは2023〜2028年度までの年平均成長率(CAGR)を15.6%と予測しており、2028年度には市場規模が100億円を突破する見通しを示している。
ITRのシニアアナリストの水野慎也氏は次のようにコメントする。
「マニュアル作成支援市場は、コロナ禍を経て業務の標準化やナレッジ共有の重要性が再認識され、新しい働き方においてもそのニーズは引き続き高い水準を保っています。人材の流動化や多様な働き方の広がりを背景に、迅速なオンボーディングの必要性が高まる中、視認性と理解度に優れた動画マニュアルの活用が主流となりつつあります。今後は、AIの応用や動画作成技術の高度化によって、マニュアル作成の効率性と品質がさらに向上し、市場は一層の成長を遂げるでしょう」
この内容は、ITRが発行した市場調査レポート『ITR Market View:人材管理市場2025』に詳しくまとめられている。同レポートでは、人材管理市場とLMS市場、マニュアル作成支援市場の3分野について、国内26のベンダーを対象にした2022〜2023年度の実績および2028年度までの売り上げ予測が掲載されている。
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