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AI導入「急ぎ過ぎた」3割、「断念した」4割 後悔する企業が多数CIO Dive

Asanaによると、従業員に対するトレーニングの不足とテクノロジーへの性急な投資が、中途半端なAI導入戦略につながっているという。

» 2025年06月17日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]
CIO Dive

 業務効率化プラットフォームを提供するAsanaが2025年5月6日に発表した調査によると(注1)、AIの利用は増加しているが、投資や試行に後悔しているITリーダーも多いという。同社のリサーチ部門は550人以上の技術系意思決定者を対象に調査を実施した。

AIへの投資についてITリーダーが後悔する理由

 調査に回答したITリーダーの半数以上は、従業員へのトレーニングなしにAIを導入したことを後悔している。約30%の回答者は「AIへの投資を急ぎ過ぎた」と答えており、これは2024年の調査から7ポイント増加している(注2)。さらに、62%は「十分に試行しなかったことを後悔している」と回答しており、こちらは2024年より10ポイント減少している。

 調査によると、2024年にAIに投資したITリーダーのうち3分の1以上は、現在AIが搭載されたツールやサービスをより良い代替手段に置き換えたり、利用を控えたりしているという。

 直近数年間でAIに関連するツールやサービスが次々に登場したが、多くの企業はAIの導入を成功させるための最適な方法をいまだに模索し続けている。そして、かつての熱狂は薄れつつある。

 Anasaはレポートで次のように述べた。

 「2024年に発生したAI導入ブームは現実を突き付ける結果となった。当時の熱狂は、試行プロジェクトや概念実証、中途半端な戦略の山に埋もれてしまった」

 CIO(最高情報責任者)たちは生成AIプロジェクトを本番環境へ移行できないと感じることが多く(注3)、その背景には、データに関する課題やインフラの不備(注4)、人材不足(注5)、コスト面の問題(注6)、セキュリティへの懸念などのさまざまな要因がある(注7)。

 困難な現実が明らかになる中で、企業のAIプロジェクトの失敗も増加している(注8)。情報サービスを提供するS&P Global Market Intelligenceの調査によると、2025年には40%以上の企業が「AIに関連する取り組みの大半を断念した」と回答している。2024年に同様の回答をした企業の割合は17%であり、大幅な増加がみられた。

 一部の企業は、優先度の高いプロジェクトを絞り込み(注9)、AIに関連する取り組みを限定することで成功を収めている。

 Asanaの調査によると、AI関連のプロジェクトを本格展開している企業の大多数が、生産性の向上や業務の質の改善、意思決定の精度向上といった成果を報告している。食品メーカーのGeneral Millsや(注10)、大手金融サービス企業のCharles Schwabをはじめとする初期導入企業は(注11)、AI活用の主な利点としてコスト削減を挙げている。

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